『それってパクリじゃないですか?』の原作は、作家・奥乃桜子による同名小説シリーズです。正式なタイトルは『それってパクリじゃないですか? ~新米知的財産部員のお仕事~』。集英社オレンジ文庫から刊行され、装画をイラストレーターのU35が担当しています。
作品の特徴は、恋愛や職場の人間関係だけでなく、企業活動に欠かせない知的財産権を物語の中心に据えていることです。
商標の乗っ取り、模倣商品、特許侵害、情報漏洩など、実際の企業でも起こり得る問題を題材にしています。法律の専門知識がない読者でも、主人公と一緒に学べる構成が魅力です。
原作小説の刊行年と全4巻の発売順
原作の第1巻は2019年10月に発売されました。その後、ドラマ化が発表された2023年に第2巻と第3巻が刊行され、2024年7月に第4巻が発売。シリーズは全4巻で完結しています。
| 巻数 | 紙版発売日 | 主な内容 |
|---|---|---|
| 第1巻 | 2019年10月18日 | 亜季の知財部異動と、特許・商標をめぐる問題 |
| 第2巻 | 2023年3月16日 | 立体商標や社内政治など、新たな知財案件 |
| 第3巻 | 2023年9月19日 | 特許の買い取り問題と会社の危機 |
| 第4巻 | 2024年7月18日 | 瀬名良平の策略とシリーズ最大の対立、最終決着 |
発売日は集英社オレンジ文庫の紙版書誌情報に基づく。
第1巻の電子版は2019年11月15日、第2巻は2023年3月23日、第3巻は2023年9月26日、第4巻は2024年7月25日に発売されています。紙版と電子版では発売日が異なるため、購入時には注意が必要です。
作者・奥乃桜子とはどんな作家?
群馬県出身、富山県在住。雑誌Cobalt短編小説新人賞への入選を経て、2017年のノベル大賞で佳作を受賞。『あやしバイオリン工房へようこそ』で文庫デビューしました。
代表作には『神招きの庭』『上毛化学工業メロン課』などがあります。
奥乃桜子は、知財の専門家として働いてきた人物ではなく、理系研究者として大学に在籍していた経験を持つ作家です。
集英社オンラインのインタビューでは、メーカーで知財戦略業務に携わる知人から実際の仕事について話を聞いたことが、作品の着想につながったと説明しています。
特に興味を持ったのが、知財業務における企業同士の駆け引きです。単純に権利を取得して守るだけではなく、企業の利益や戦略を考えながら交渉する世界を小説に取り入れました。
この背景を知ると、作品に登場する企業間の対立が、単純な善悪の構図になっていない理由も理解できます。
【あらすじを解説】新米知的財産部員・藤崎亜季のお仕事とは?

物語の舞台は、群馬県にある中堅飲料メーカー「月夜野ドリンク」。
主人公の藤崎亜季は、真面目で人当たりのよい社員です。開発部で働いていましたが、ある新商品をめぐる情報漏洩疑惑に巻き込まれたことをきっかけに、知的財産部へ異動することになります。
そこで出会うのが、弁理士資格を持つ知財のエリート社員・北脇雅美です。
藤崎亜季が直面する最初の事件
物語の発端は、月夜野ドリンクが社運をかけて開発していた新商品のボトル、通称「キラキラボトル」をめぐるトラブルです。
ライバル企業のハッピースマイルビバレッジが、よく似たデザインの商品を開発していることが発覚します。
加えて、その開発担当者は亜季の大学時代の同級生でした。
そのため、亜季自身が開発情報を外部に漏らしたのではないかという疑いが浮上します。
疑惑を晴らすために現れたのが、親会社から派遣された北脇です。
知識と論理を重視する北脇に対し、亜季は相手の事情や気持ちを考えながら行動するタイプ。仕事の進め方も性格も正反対の2人ですが、さまざまな問題に取り組むうちに、お互いの強みを理解していきます。
原作シリーズで扱われる主な知財トラブル
このシリーズが興味深いのは、事件ごとに扱う知的財産の種類や企業側の事情が異なる点です。
- 商標乗っ取り: 他社が商品名やブランドの権利を不当に取得しようとする問題。
- パロディ商品: 自社商品に似せた商品が販売された場合の対応。
- 立体商標: 商品の形状を商標として保護するための問題。
- 特許侵害: 他社の技術に関する権利と、自社製品の開発・販売との関係。
- 特許の買い取り: 他社から提示された特許の取得をめぐる判断。
- 情報漏洩: 社内の開発情報が外部へ流出した疑いと、その証拠の調査。
第2巻では亜季の仕事上の成長や社内政治、第3巻では特許の買い取り問題、第4巻では瀬名良平の策略によって亜季が内部情報漏洩を疑われる展開が描かれます。
最終巻では、亜季と北脇が会社の看板商品を守るために反撃。仕事上の決着だけでなく、2人の関係にも注目が集まる構成です。
【ドラマ化の経緯】2023年4月期の日本テレビ作品として映像化
ドラマ化が正式に発表されたのは、2023年2月23日です。
集英社オレンジ文庫が連続ドラマ化を告知し、日本テレビ系で同年4月から放送されることが明らかになりました。
実際の初回放送日は2023年4月12日。毎週水曜日の22時枠で放送され、6月14日の第10話で最終回を迎えています。
主演は芳根京子。北脇雅美役には重岡大毅が起用されました。
主要キャスト・登場人物の関係一覧
ドラマ版は、知的財産部のメンバーだけでなく、開発部や法務部、競合企業の関係者まで幅広い人物が登場します。
| 登場人物・関係者 | 俳優 | 物語での役割 |
|---|---|---|
| 藤崎亜季 | 芳根京子 | 知財の仕事に挑戦する主人公 |
| 北脇雅美 | 重岡大毅 | 弁理士資格を持つ知財のエリート |
| 五木耕司 | 渡辺大知 | 月夜野ドリンクの総務部員 |
| 根岸ゆみ | 福地桃子 | 亜季の親友 |
| 柚木さやか | 朝倉あき | 月夜野ドリンクの関係者 |
| 窪地育哉 | 豊田裕大 | 月夜野ドリンクの開発関係者 |
| 高梨伊織 | 常盤貴子 | 月夜野ドリンクの開発部長 |
| 又坂市代 | ともさかりえ | 弁理士として知財業務に関わる人物 |
| 田所ジョセフ | 田辺誠一 | 競合企業側の知財部長 |
| 熊井崇 | 野間口徹 | 月夜野ドリンクの法務部長 |
| 篠山瑞生 | 秋元真夏 | 五木に関わる人物 |
| 増田一朗 | 赤井英和 | 月夜野ドリンクの社長 |
このほか、高橋努、相島一之、諏訪雅らも出演しています。
脚本は丑尾健太郎と佃良太、演出は中島悟、内田秀実、鯨岡弘識が担当。制作協力にはAX-ONなどが参加し、日本テレビが製作著作を担いました。
ドラマ化に際して原作者が語った思い
原作者の奥乃桜子は、ドラマ化決定時のコメントで、知財の世界のおもしろさをエンターテインメントとして描きたかったという思いを明かしています。
また、芳根京子と重岡大毅が演じる凸凹コンビのやり取りにも期待を寄せていました。
原作者自身が映像化を楽しみにしていたことからも、作品の核である知財の専門性と、登場人物同士の掛け合いの両方がドラマの見どころとして意識されていたことが分かります。
日本弁理士会から制作チームに感謝状
ドラマ化に関して注目したい出来事が、2023年7月3日に開催された日本弁理士会の記念祝賀会です。
日本弁理士会は、ドラマの制作スタッフに対し、知的財産制度の普及に貢献したとして感謝状を贈呈しました。
また、記念講演会では制作関係者が「それってパクリじゃないですか?」の制作秘話について講演しています。
これはドラマの作品賞や視聴率を評価したものではなく、知的財産制度を広く知ってもらうことへの貢献を評価したものです。
娯楽作品でありながら、専門職団体からも社会的な意義を認められた点は、本作ならではの特徴です。
【原作とドラマの比較】同じ物語でも楽しみ方は異なる
原作小説とドラマ版は、基本的な設定や主人公たちの関係性を共有しています。しかし、メディアの違いによって、物語の伝わり方には特徴があります。
1. 原作は知財の仕事と人物の成長をじっくり描く
小説版の魅力は、亜季が知識を身につけ、北脇との仕事を通じて少しずつ成長していく過程です。
商標や特許の問題が発生した際、どのような権利が関係しているのか、企業がどんな判断を迫られるのかを文章で追うことができます。
また、全4巻という構成を生かして、亜季と北脇の関係や会社の内部事情も段階的に描かれています。
2. ドラマは事件と人物の掛け合いを映像で楽しめる
ドラマ版の強みは、登場人物の表情や会話、会社の雰囲気を視覚的に楽しめることです。
特に、亜季の人情を重視する姿勢と北脇の合理的な考え方の違いは、2人の会話を通して伝わりやすくなっています。
また、複数の部署の社員が登場することで、知財の問題が一人の専門家だけでは解決できないことも表現されています。
3. 放送時期と原作完結時期にも違いがある
ここは検索する際に間違えやすいポイントです。
ドラマの放送期間は2023年4月12日から6月14日。一方、原作シリーズの最終巻は2024年7月18日発売です。
つまり、ドラマが終了した時点では、原作小説のシリーズはまだ完結していません。
ドラマ版は10話の連続作品として構成され、最終話では「カメレオンティー」をめぐる情報漏洩と特許問題に決着をつけます。
原作全4巻の内容をそのまま10話に置き換えた作品と考えるより、共通の世界観や人物を基盤に、テレビドラマとして再構成された作品と捉えると理解しやすくなります。
【知的財産部の仕事内容】ドラマで描かれた仕事は実際に存在する?
作品を見て「知的財産部とは何をする部署なのか」と疑問を持った人も多いはずです。
知的財産部は、企業が生み出した技術や商品デザイン、ブランドなどを保護し、事業に活用するための専門部署です。
特許庁の説明によると、知的財産権には特許権、実用新案権、意匠権、商標権のほか、著作権などがあります。
単に他社の模倣を防ぐだけでなく、企業の競争力や事業上の価値を高める役割も担っています。
知的財産部が担当する代表的な業務
実際の企業の採用情報や業務紹介を見ると、知財部の仕事は幅広いことが分かります。
① 特許・商標・意匠の調査と出願
自社で開発した技術や商品名、デザインについて、既存の権利と重複していないかを調査します。そのうえで、必要な権利を取得するための出願手続きを進めます。
② 他社の知的財産権の調査
新商品を発売する前に、他社の特許や商標などを侵害していないか確認します。
発売直前になって問題が発覚すると、製品の設計変更や販売停止など大きな損失につながるため、開発段階からの調査が重要です。
③ ライセンス契約・権利交渉
他社の特許やブランドを利用する場合には、使用許諾の条件や契約内容を調整します。
④ 模倣品・権利侵害への対応
自社の技術やブランドが無断で利用されていないかを確認し、必要に応じて交渉や法的措置を検討します。
⑤ 社内教育と知財戦略
開発部門や営業部門などに知財の基本知識を伝え、社員が権利侵害を起こさないための仕組みを整えます。
こうした業務は、パナソニックやタニタなどの企業が公開している知的財産関連の仕事内容にも記載されています。
弁理士と知的財産部員は同じ仕事?
ドラマでは北脇が弁理士資格を持つ専門家として描かれています。
しかし、弁理士と企業の知的財産部員は必ずしも同じではありません。
- 弁理士: 特許や商標などの出願代理、知的財産に関する専門的な手続きや相談を担う国家資格者。
- 知的財産部員: 企業の知財管理や調査、契約、社内調整、戦略立案などを担当する社員。
企業の知財部員が全員弁理士資格を持っているわけではありません。
一方、弁理士資格を持つ社員が社内の専門家として活躍するケースもあります。
この違いを理解すると、亜季が知識ゼロから専門業務を学んでいく姿や、北脇が専門家として支える構図がより分かりやすくなります。
【作品の評判と2026年最新情報】今から原作・ドラマを見る価値は?
2026年10月現在、本作は原作全4巻の完結と、2023年に放送されたテレビドラマという2つの形で楽しめる作品です。
知財という専門的な題材を扱っていることから、一般的な恋愛ドラマや職場コメディとは異なる魅力があります。
原作小説の評判
原作の評価につながっているのは、専門的なテーマを物語に自然に組み込んでいる点です。
集英社と日本テレビの作品紹介では、知的財産に関する問題を分かりやすく描いていることが特徴として紹介されています。
加えて、ドラマ公式の原作紹介では、大手飲料メーカーで知財部に異動した社員に参考文献として配布された事例も紹介されています。
これは、作品が娯楽としてだけでなく、実務への理解を深める読み物としても受け止められていたことを示すエピソードです。
ドラマ版の評判
ドラマ版については、視聴者の評価が一様ではありません。
Filmarksの作品ページでは、総合評価3.3点、レビュー2,604件という表示が確認できます(掲載データの確認時点)。
知財という普段触れる機会の少ない仕事を扱う点に関心を持つ視聴者がいる一方、専門用語や企業内の駆け引きが多い作品であるため、気軽な娯楽ドラマを期待する人とは好みが分かれる面もあります。
また、芳根京子と重岡大毅の凸凹コンビを中心に、福地桃子、渡辺大知、常盤貴子らが演じる個性豊かな登場人物も見どころです。
2026年にチェックしておきたい基本情報
原作小説
最終巻:2024年7月18日
テレビドラマ
2023年4月12日~6月14日
放送局
日本テレビ系・水曜22時枠
原作出版社
集英社オレンジ文庫
2026年10月時点
原作は全4巻の完結シリーズとして刊行。ドラマの公式作品情報や配信作品ページも確認できます。
ドラマについては、日本テレビの公式番組ページに作品情報や各話のストーリーが掲載されています。Huluにも作品ページがあります。視聴する際は、利用時点の配信状況を確認するとよいでしょう。
こんな人におすすめ
原作小説がおすすめの人
- 企業の知的財産や法律に興味がある人
- 登場人物の成長をじっくり読みたい人
- 商標や特許の仕組みを物語から学びたい人
- 全4巻で完結する作品を探している人
ドラマ版がおすすめの人
- 芳根京子や重岡大毅の出演作を見たい人
- 仕事を題材にしたコメディが好きな人
- 専門的なテーマを映像で気軽に楽しみたい人
- 個性豊かな登場人物の掛け合いが好きな人
反対に、恋愛を中心にした作品や、専門的な説明が少ないテンポ重視のドラマを探している人には、期待する内容と少し異なる可能性があります。
【それってパクリじゃないですか?】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:それってパクリじゃないですか?の原作は漫画ですか?
A1:漫画ではなく、奥乃桜子による小説です。集英社オレンジ文庫から刊行され、イラストはU35が担当しています。2026年10月時点で全4巻が完結しています。
Q2:それってパクリじゃないですか?の原作はいつ発売されましたか?
A2:第1巻の紙版は2019年10月18日に発売されました。第2巻は2023年3月16日、第3巻は2023年9月19日、第4巻は2024年7月18日に発売されています。
Q3:ドラマ版の主演は誰ですか?
A3:芳根京子です。主人公の藤崎亜季を演じ、知財のエリートである北脇雅美役を重岡大毅が担当しました。
Q4:ドラマ版はいつ放送されましたか?
A4:2023年4月12日から6月14日まで、日本テレビ系の水曜22時枠で放送されました。全10話です。
Q5:原作とドラマは同じストーリーですか?
A5:基本設定や主要人物は共通していますが、ドラマはテレビ向けに再構成されています。原作は全4巻の長期的な成長物語で、ドラマは全10話の連続作品として展開されています。
Q6:原作小説は全4巻で完結していますか?
A6:はい。第4巻が2024年7月18日に発売され、集英社オレンジ文庫の公式シリーズ情報でも全4巻の完結シリーズとして案内されています。
Q7:2026年現在、ドラマはどこで見られますか?
A7:Huluに作品ページが掲載されています。実際に視聴できるかどうかは、契約プランや配信状況を確認してください。
まとめ:『それってパクリじゃないですか?』は知財の世界を楽しめるお仕事エンタメ
『それってパクリじゃないですか?』は、奥乃桜子が手がけた集英社オレンジ文庫の小説シリーズを原作とする作品です。
2019年10月に第1巻が刊行され、2023年には芳根京子と重岡大毅の共演によって日本テレビ系でドラマ化。2024年7月発売の第4巻をもって、原作シリーズも完結しました。
この作品の魅力は、商標や特許といった難しい知識を、企業で働く人々の悩みや成長と結びつけて描いていることです。単純にパクリを見つけて相手を責めるのではなく、権利を守ることと企業として適切な判断をすることの難しさも伝わってきます。
原作では亜季と北脇の長期的な成長を、ドラマでは2人の掛け合いや知財事件の展開を楽しめます。初めて作品に触れるなら、まずは第1巻から読み進め、その後にドラマ版を視聴すると、人物や仕事の背景をより深く理解できるはずです。
2026年に改めて注目したいのは、知的財産という専門分野を身近なエンターテインメントに変えた、この作品ならではの視点です。仕事ドラマとしても、知財の入門的な読み物としても、長く楽しめるシリーズです。