妊娠中のおやつとして人気のデーツ。自然な甘みがあり、食物繊維やミネラルを含むドライフルーツですが、「妊婦が食べても大丈夫?」「1日何個まで?」「出産が楽になるという話は本当?」と疑問を持つ方もいるのと考えられます。
デーツは、一般的には妊娠中でも食べられる食品です。ただし、乾燥によって栄養成分が凝縮されており、糖質やカロリーを摂りすぎない工夫が必要です。特に妊娠糖尿病と診断されている場合は、食べる量やタイミングを主治医や管理栄養士と相談することが大切です。2026年時点で確認できる公的な食品成分データと医学研究をもとに、妊婦が知っておきたいメリット、適量、注意点を解説します。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 妊娠中に食べても大丈夫:一般的には問題ありませんが、食品の衛生状態や持病、医師からの食事指示には注意が必要です。
- 1日の量は重さで考える:まずは10〜20g程度をおやつの目安にすると、カロリーや糖質を管理しやすくなります。妊婦向けに確立された公式の上限量ではありません。
- 出産への効果は確定していない:陣痛や分娩の経過に関する研究はありますが、研究の質に課題があり、効果や安全性が十分に確立されたわけではありません。
【まず結論】妊婦はデーツを食べても大丈夫?妊娠中の基本を解説

デーツは、ナツメヤシの果実を乾燥させた食品です。日本食品標準成分表では「なつめやし・乾」として収載されており、糖質を中心に、食物繊維、カリウム、マグネシウム、鉄などを含みます。
妊娠中だからという理由だけで、デーツを一律に避ける必要はありません。英国の国民保健サービス(NHS)の妊娠中の食事案内でも、ドライフルーツは果物の選択肢に含まれています。砂糖などを追加していない製品を選び、ほかの食品と組み合わせてバランスよく食べることが基本です。
ただし、デーツは生の果物と比べて水分が少なく、少量でもエネルギーや炭水化物を摂取できます。健康によさそうだからと無制限に食べるのではなく、量を決めて楽しみましょう。
また、妊娠糖尿病や血糖値の異常を指摘されている方、食事療法を受けている方は、一般的な目安をそのまま当てはめないでください。食べてよいかどうかだけでなく、1回に食べる量や食事全体の炭水化物量を確認することが大切です。
【栄養成分を数字で確認】デーツの糖質・カロリー・食物繊維・鉄分
デーツの栄養成分を確認する際は、文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」が参考になります。以下は、乾燥デーツと乾燥プルーンを可食部100g当たりで比較したものです。
| 栄養成分 | デーツ(乾) | プルーン(乾) |
|---|---|---|
| エネルギー | 281kcal | 211kcal |
| 炭水化物 | 71.3g | 62.3g |
| 利用可能炭水化物(単糖当量) | 59.0g | 42.2g |
| 食物繊維 | 7.0g | 7.1g |
| 鉄 | 0.8mg | 1.1mg |
| カリウム | 550mg | 730mg |
| マグネシウム | 60mg | 40mg |
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」。数値は可食部100g当たり。利用可能炭水化物(単糖当量)は糖質表示と同一の指標ではありません。
比較からわかるのは、デーツはプルーンよりエネルギーと利用可能炭水化物が多い一方、食物繊維の量はほぼ同程度だということです。鉄分はプルーンのほうが多く、デーツだけが特別に優れているわけではありません。
デーツを20g食べた場合、成分表の数値から計算すると、エネルギーは約56kcal、炭水化物は約14.3g、食物繊維は約1.4g、鉄は約0.16mgです。20gでも炭水化物を相応に摂取するため、血糖値を管理している方は見落とせないポイントです。
なお、実際の栄養成分は品種や乾燥方法、製品によって異なります。購入した商品の栄養成分表示がある場合は、そちらも確認しましょう。
【1日何個?いつから?】妊娠中に食べる量とタイミングの目安
妊婦がデーツを1日何個食べてよいかについて、すべての妊婦に共通する医学的な上限量は確立されていません。そこで、まずは個数よりも重さを基準にすると管理しやすくなります。
一般的な食生活で取り入れるなら、最初は1日10〜20g程度をおやつの目安にし、食事全体のバランスを見ながら調整する方法があります。これは妊婦向けの公式基準ではなく、摂取量を把握するための実用的な目安です。
デーツは品種によって大きさが大きく異なります。小粒のものなら2〜3粒程度でも、大粒のものは1粒で20g前後になる場合があります。粒数だけで判断せず、初めて食べる製品はキッチンスケールで量ってみると安心です。
妊娠何週から食べられるかについても、デーツを食べ始めるべき特定の週数が定められているわけではありません。妊娠初期・中期・後期のいずれも、食事制限などの個別事情がなければ、一般的な食品として適量を取り入れられます。
ただし、出産への効果を期待して妊娠後期から急に大量に食べることはおすすめできません。後述する分娩に関する研究は、特定の時期や量を用いたものですが、その方法がすべての妊婦に適していると証明されたわけではないためです。
妊婦のおやつは、デーツだけに偏らせる必要もありません。無糖ヨーグルト、ナッツ、果物なども組み合わせながら、食事全体の栄養バランスを整えましょう。
【便秘対策や鉄分補給に役立つ?】妊娠中に期待できるメリット
1. 食物繊維を補える
妊娠中は、ホルモンの変化や生活習慣の変化などによって便秘に悩むことがあります。デーツに含まれる食物繊維は、便通を整えるための食生活を支える栄養素の一つです。
ただし、デーツを食べるだけで便秘が解消するとは限りません。水分を十分に取り、野菜や豆類、ほかの果物、全粒穀物などからも食物繊維を摂取することが大切です。食物繊維を急に増やすと、お腹の張りやガスが気になる場合もあります。
2. カリウムやマグネシウムを摂取できる
デーツには、体内の水分バランスや筋肉・神経の働きなどに関係するカリウムやマグネシウムも含まれています。ただし、20g当たりではカリウム約110mg、マグネシウム約12mgです。これらの栄養素をデーツだけで十分に補えるわけではありません。
3. 鉄分の補給を少し補助できる
妊娠中は、胎児の成長や母体の血液量の増加などに伴い、鉄の必要量が増えます。こども家庭庁の妊娠・出産に関する情報でも、妊娠中は鉄分不足に注意する必要があると案内されています。
一方、デーツの鉄は可食部100g当たり0.8mgです。20gでは約0.16mgにとどまるため、貧血対策の主役として考えるのは適切ではありません。肉や魚、大豆製品、緑黄色野菜なども取り入れ、健診で貧血を指摘された場合は医療機関の指示に従いましょう。
4. 自然な甘みを楽しめる
デーツは濃厚な甘みがあるため、砂糖を追加したお菓子とは異なる選択肢になります。ただし、「自然の甘さ」であることと「糖質が少ない」ことは別です。加糖されていないデーツでも、炭水化物は多く含まれています。
【妊娠糖尿病・食べ過ぎに注意】控えたほうがよいケースとは
妊娠中のデーツで特に注意したいのが、糖質の摂取量です。乾燥デーツは水分が少なく、少量でも炭水化物を摂取しやすい食品です。何粒も続けて食べたり、ほかの甘い飲食物と重ねたりすると、意図せず摂取量が増えることがあります。
妊娠糖尿病と診断されている場合は、デーツを一律に禁止する必要があると決まっているわけではありませんが、一般的な妊婦向けの量をそのまま適用することもできません。
国立健康危機管理研究機構の糖尿病情報センターが案内する妊娠中の食事療法では、食後血糖値や食事全体のエネルギー量に応じて、食事を分割する方法などが紹介されています。間食も食事計画の一部として考え、主治医や管理栄養士と相談しながら調整することが基本です。
デーツを食べる場合は、次の点を確認しましょう。
- 商品の栄養成分表示で炭水化物量を確認する。
- 食事やほかの間食で摂る炭水化物も含めて考える。
- 医療機関から指示された間食の量や血糖管理の方法を優先する。
- 自己判断で食事を抜いたり、必要な栄養を極端に減らしたりしない。
また、デーツを一度に大量に食べると、食物繊維や糖質の摂取量が増え、お腹の張りや不快感につながることがあります。体重管理を指示されている場合も、カロリーを把握して食事全体を調整しましょう。
腎臓の病気などでカリウムの摂取制限を受けている方も、自己判断で食べる量を増やさず、医療機関に確認してください。
【出産を促す効果は本当?】デーツと分娩に関する科学的根拠
デーツについては、妊娠後期に食べると子宮口の開きや陣痛、分娩時間に影響する可能性があるとして、医学研究が行われています。妊婦向けの情報で「出産が楽になる」と紹介される背景には、こうした研究があります。
2024年に公表されたシステマティックレビュー・メタ解析では、2023年4月30日までの研究を対象に、妊娠後期や分娩時などにデーツを摂取することの効果が検討されました。48研究、55件の公表報告がレビューに含まれ、妊娠後期の摂取については、分娩開始時の子宮口の開きや分娩誘発の必要性、分娩経過などに関連する結果が報告されています。
ただし、同レビューは、研究全体のエビデンスの質が不十分で、バイアスのリスクも高いと評価しています。安全性についても、記録があったのは4試験に限られていました。研究結果だけをもって、デーツが出産を確実に促進すると断定することはできません。
特に注意したいのは、「研究で効果が示唆された」ことと「すべての妊婦に効果がある」ことは違うという点です。研究ごとに摂取量、摂取期間、対象者の条件などが異なるため、妊娠後期になったら必ず食べるべき食品という位置づけにはなっていません。
陣痛を促したい、予定日が近づいているので何かできることを試したい、と考えている場合も、デーツを大量に食べることで自己流の陣痛誘発を試みるのは避けましょう。妊娠経過や分娩方針については、担当の産婦人科医や助産師に相談してください。
【無添加デーツの選び方】妊婦のおやつに取り入れるコツ
妊娠中にデーツを選ぶなら、まずは原材料表示と保存状態を確認しましょう。無添加の商品は選択肢の一つですが、「無添加」と書かれているだけで、糖質が少ない、あるいは妊婦に特別な健康効果があると判断することはできません。
購入時には、次のポイントをチェックしてください。
- 原材料がシンプル:デーツのみを原材料とする商品なら、砂糖などの追加を避けやすくなります。
- 栄養成分表示がある:エネルギー、炭水化物、食物繊維などを確認し、食べる量を決めやすい商品を選びます。
- 包装と保存方法が明確:密封状態や賞味期限、開封後の保存方法を確認します。
- 清潔な状態を保てる:開封後は商品表示に従って保存し、カビや異臭などの異常があるものは食べません。
デーツとプルーンのどちらがよいかは、目的によって変わります。食物繊維は両者で大きな差がありませんが、成分表ではプルーンのほうがエネルギーと炭水化物が少なく、鉄分はやや多い値です。一方、デーツは甘みが強く、少量でも満足感を得やすいと感じる人もいます。
どちらか一方に限定する必要はありません。便秘が気になるなら食物繊維や水分の摂り方を総合的に見直し、甘いものが食べたいときは量を決めて楽しむなど、目的に応じて使い分けましょう。
【デーツ妊婦】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:妊娠初期にデーツを食べても大丈夫ですか?
A1:一般的には、妊娠初期だからという理由だけで避ける必要はありません。適量を守り、清潔に保存された商品を選びましょう。医師から食事制限を受けている場合は、その指示を優先してください。
Q2:妊婦はデーツを1日何個食べればよいですか?
A2:妊婦向けに確立された公式の個数基準はありません。まずは10〜20g程度を一つの目安にし、品種や粒の大きさに応じて調整すると管理しやすくなります。妊娠糖尿病などがある場合は、主治医や管理栄養士に確認してください。
Q3:デーツを食べると出産が楽になりますか?
A3:妊娠後期のデーツ摂取と分娩経過の関連を示唆する研究はありますが、エビデンスの質や安全性の評価には課題があります。出産を促す効果が確立されているわけではなく、デーツを食べることで分娩が必ず楽になるとはいえません。
まとめ:妊娠中のデーツは量と体調に合わせて取り入れよう
デーツは、妊娠中でも一般的には食べられるドライフルーツです。食物繊維やカリウム、マグネシウムなどを含み、自然な甘みを楽しめる一方、乾燥によって糖質やエネルギーが凝縮されています。
まずは10〜20g程度をおやつの目安にし、粒数ではなく重さや栄養成分表示を確認すると、食べ過ぎを防ぎやすくなります。ただし、この量は妊婦向けの公的な上限ではありません。妊娠糖尿病や食事制限がある場合は、個別の食事計画を優先してください。
便秘対策や鉄分補給についても、デーツだけに頼るのではなく、食事全体のバランスを整えることが大切です。また、出産への効果を示唆する研究はあるものの、現時点では確実な効果が証明されたとはいえません。
【プロの結論】妊娠中のおやつ選びで大切なのは、特定の食品を「妊婦によいもの」と決めつけることではなく、栄養成分、食べる量、自分の健康状態を合わせて判断することです。デーツは適量なら食生活に取り入れられる選択肢の一つ。無理なく楽しみながら、必要な栄養はさまざまな食品から補い、気になる症状や食事制限については医療機関に相談しましょう。