2026年10月30日現在、エレコムのモバイルバッテリーをめぐって確認しておきたいのが、旧フォースメディア製品の自主回収問題です。対象となるのは、26800mAhの大容量モデル「世界超速R版」など3機種。2021年8月26日に発火のおそれが判明して自主回収が始まりましたが、2026年に入ってもエレコムは回収を継続しています。
加えて、エレコムには2015年にも「DE-M01L-10440シリーズ」「DE-M01L-13040シリーズ」の発煙に伴う回収・返金事例があります。両者は対象製品も発生した事象も異なります。2026年2月には旧フォースメディア製品に関する重大製品事故も消費者庁から公表されました。自宅に古いモバイルバッテリーを保管している人は、メーカー名だけで判断せず、型番を確認する必要があります。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 旧フォースメディア製品では「JF-PEACE8K2660」「JF-PEACE8K2660P」「JF-268PD60W」の3機種が発火のおそれによる回収対象。
- 2015年にはエレコム製「DE-M01L-10440」「DE-M01L-13040」シリーズでも発煙事象による回収・返金が実施された。
- 2026年2月6日、消費者庁が旧フォースメディア製品の火災事故を公表。対象製品は使用を中止し、エレコムの指定窓口で回収・返金または異機種交換の手続きを行う。
【2026年最新】エレコムのモバイルバッテリー発火問題とリコールの現状

今回の問題を理解するうえで、まず押さえたいのが、エレコムブランド全体の製品がリコール対象になったわけではないという点です。
対象となっているのは、主に次の2つのリコール案件です。
1. 2021年に発表された旧フォースメディア製品の自主回収
最も注意したいのが、フォースメディアが販売していた26800mAhの大容量モバイルバッテリーです。
2021年8月26日、フォースメディアは対象製品に発火のおそれがあることを公表し、自主回収を開始しました。
対象は「世界超速R版」と「世界超速R版PSE」の名称で販売されていた3機種です。
当時の販売期間は2017年12月1日から2021年8月26日まで。消費者庁のリコール情報サイトにも、発火のおそれを理由とする回収・返金情報が掲載されています。
その後、2024年7月1日にフォースメディアはエレコムと合併しました。
2026年1月14日にはエレコムが自主回収の継続を改めて告知し、1月19日に発表内容を訂正しています。
つまり、2026年の再告知は新しい製品事故が一斉に発生したという意味ではなく、2021年から続くリコールを再周知するものです。
2. 2015年のエレコム製品の発煙問題
もう一つは、エレコム自身が2015年2月23日に公表した旧型モバイルバッテリーの回収です。
対象は「DE-M01L-10440シリーズ」と「DE-M01L-13040シリーズ」。
こちらは発火のおそれを理由とする2021年のフォースメディア案件とは異なり、在庫保管中に発煙する事象が2件発生したことを受けた回収でした。
エレコムの調査・解析では同様の事象を再現できず、通常使用における事故発生の可能性は極めて低いと説明されました。それでも問題を重く受け止め、対象製品の回収と返金を実施しています。
この2つのリコールを混同しないことが、正しい製品確認の第一歩です。
【対象型番の見分け方】世界超速R版3機種と旧エレコム4機種を確認
自宅にあるモバイルバッテリーが対象かどうかを調べる場合、製品の外観やブランド名だけでは判断できません。
最も確実なのは、本体に印字された型番を確認することです。
2026年最新リコール対象型番一覧
| 製品・シリーズ | 対象型番 | 販売期間・対象台数 | 回収理由 |
|---|---|---|---|
| 世界超速R版 | JF-PEACE8K2660 | 2017年12月~2021年8月26日・863台 | 発火のおそれ |
| 世界超速R版PSE | JF-PEACE8K2660P | 同期間・2,797台 | 発火のおそれ |
| 世界超速R版PSE | JF-268PD60W | 同期間・595台 | 発火のおそれ |
| DE-M01L-10440シリーズ | DE-M01L-10440BK/WH | 2013年11月27日~2015年1月27日 | 在庫保管中の発煙 |
| DE-M01L-13040シリーズ | DE-M01L-13040BK/WH | 同期間 | 在庫保管中の発煙 |
※フォースメディア製品の販売台数は消費者庁の公表資料によるもの。旧エレコム製品の販売期間は経済産業省のリコール情報によるもの。
「世界超速R版」はPSE表記があっても対象になる
特に見落としやすいのが、JF-PEACE8K2660PとJF-268PD60Wです。
製品名には「PSE」という表記がありますが、いずれも自主回収の対象です。
PSE表記の有無や製品の外観だけで安全性を判断することはできません。
また、対象3機種はすべて26800mAhの大容量モデルです。容量が大きいことや急速充電に対応していることは、リコール対象かどうかとは別の問題です。
2026年に判明した回収率にも注目
消費者庁が2026年2月6日に公表した資料によると、フォースメディア製の対象3機種の合計対象台数は4,255台です。
内訳は次のとおりです。
- JF-PEACE8K2660:863台
- JF-PEACE8K2660P:2,797台
- JF-268PD60W:595台
そして、注目すべき数字が回収率です。
2026年1月21日時点の回収率はわずか0.8%でした。
自主回収の開始から約4年半が経過しても、対象製品が十分に回収されていないことを示しています。
古い製品を引き出しや収納ケースに入れたまま忘れている家庭があれば、改めて型番を確認する意味は大きいでしょう。
なお、エレコムの製品Q&Aは2026年6月12日にも更新されており、フォースメディア製3機種と旧エレコム製4型番をリコール対象製品として案内しています。
【発火事故の実態】2026年2月に消費者庁が公表した火災とは?
2026年のリコール問題で特に重要なのが、消費者庁による重大製品事故の公表です。
2026年2月6日、消費者庁はフォースメディア製のリチウム電池内蔵充電器について、火災事故を公表しました。
他社製ACアダプターで充電中に火災が発生
公表資料によると、事故は対象製品に他社製のACアダプターを接続して充電していた際に発生しました。
当該製品とその周辺が焼損する火災となっています。
ここで重要なのは、事故原因そのものは公表時点で調査中だったことです。
他社製ACアダプターを使っていたという状況は確認されていますが、それだけをもって充電器の違いが直接の原因だったと断定することはできません。
消費者庁は、対象製品に発火のおそれがあることから火災に至ったものと考えられると説明しています。
重大製品事故として報告された件数は?
同資料では、2017年度以降、今回のリコール対象製品について、リコール対象の内容による重大製品事故として報告されたものは本件のみとされています。
ただし、これは消費生活用製品安全法に基づく重大製品事故の報告件数です。
軽微な発熱や発煙など、あらゆるトラブルを含めた総事故件数ではありません。
また、事故が1件だけだから安心して使えるという判断も適切ではありません。メーカー自身が発火のおそれを認め、使用中止と回収を呼びかけているためです。
モバイルバッテリーの火災は他社製品でも発生している
モバイルバッテリーの発火問題は、特定メーカーだけに限られるものではありません。
NITE(製品評価技術基盤機構)の2025年度講座資料では、2025年7月にJR山手線の車内でモバイルバッテリーから出火し、所有者が手にやけどを負った事例が紹介されています。
また、同資料では、韓国の空港での航空機火災や、航空機内でのバッテリー発熱・発火事例なども取り上げられています。
これらはエレコム製品の事故ではありませんが、リチウムイオン電池を使用する製品全般に共通する安全上の課題です。
【エレコムの回収・返金方法】2026年現在の問い合わせ先と手続き
対象製品が手元にある場合、最優先すべきなのは使用を中止することです。
外観に膨張や変形が見られなくても、対象型番であれば使用を続けないでください。
1. 旧フォースメディア製3機種の回収手続き
2026年現在、エレコムが案内している問い合わせ先は以下のとおりです。
エレコムグループ QNAP/Newline サポートセンター
- 電話番号:0570-00-0865
- メールアドレス:pb-support@elecom.co.jp
- 受付時間:10:00~17:00
- 受付曜日:月曜日~金曜日
- 休業日:祝日、夏期、年末年始の特定休業日
これは2026年1月14日付のエレコム公式告知に掲載されている窓口です。
2021年当初のフォースメディアの案内では、旧カスタマーセンターの電話番号が掲載されていましたが、現在はエレコムグループのサポートセンターが窓口になっています。
古い告知だけを参照して連絡先を判断しないようにしましょう。
2. 回収から返金・交換までの流れ
手続きは次の順序で進めます。
1. 本体に記載されている型番を確認する。
2. 対象型番であれば直ちに使用を中止する。
3. エレコムグループの指定窓口に電話またはメールで連絡する。
4. 対象製品の回収方法と返金・異機種交換の手続きを確認する。
5. メーカーの案内に従って回収に応じる。
消費者庁のリコール情報では、対応方法として回収・返金・エレコム製品への異機種交換が掲載されています。
具体的な返送方法や交換条件については、窓口で最新の案内を受けてください。
特にリチウムイオン電池内蔵製品は輸送上の取り扱いにも注意が必要です。自己判断で一般の宅配便に発送せず、メーカーの指定する方法を確認してから手続きを進めましょう。
3. DE-M01Lシリーズの問い合わせ先
2015年の旧エレコム製品については、別のリコール情報として管理されています。
消費者庁のリコール情報サイトに掲載されている窓口は次のとおりです。
- 窓口:エレコム株式会社 お客様相談室
- 電話番号:0120-502-501
- 受付時間:9:00~12:00、13:00~18:00
- 受付曜日:月曜日~金曜日
- 休業日:祝祭日、夏期、年末年始の特定休業日
こちらの対象製品も、回収後に返金する対応が案内されています。
旧製品の窓口情報とフォースメディア製品の窓口情報は異なるため、型番に応じて問い合わせ先を選んでください。
【エレコムの発火事故の原因】リチウムイオン電池に潜む危険性
モバイルバッテリーの発火を理解するには、内部に使われているリチウムイオン電池の仕組みを知る必要があります。
NITEの技術資料では、発火につながる重要な現象として「熱暴走」が説明されています。
熱暴走とは何か?
熱暴走とは、電池内部で発生した熱がさらなる発熱を引き起こし、温度を制御できなくなる現象です。
内部の温度上昇が進むと、電解液や電極材料などの分解反応が進行し、発煙や発火につながる場合があります。
一般的な原因として挙げられるのは、次のようなものです。
- 内部短絡: 電池内部の絶縁構造が損傷し、正極と負極が異常に接触する。
- 外部からの衝撃: 落下や圧迫によって電池内部が変形する。
- 高温環境: 炎天下の車内や高温になる場所での保管によって温度が上昇する。
- 充電関連の不具合: 充電器の故障や誤接続、過充電保護の不備など。
- 製造上の問題: 電極の巻きずれ、異物混入、部品の不具合など。
こうした要因によって内部短絡や異常発熱が生じ、熱暴走へ進行する可能性があります。
ただし、これらはリチウムイオン電池全般に関する技術的な原因です。今回のフォースメディア製品で、どの要因が直接作用したのかは、消費者庁の公表時点では調査中です。
発火を防ぐために日常生活で気を付けたいこと
消費者庁が2025年10月2日に公表した注意喚起では、リチウムイオン電池使用製品について、次のような対策が推奨されています。
- 強い衝撃や圧力を加えない。
- 高温になる場所で使用・保管しない。
- 充電は安全な場所で、できるだけ起きている時間帯に行う。
- 異常な発熱や膨張、異臭などに気付いたら使用を中止する。
- 製品情報やリコール情報を定期的に確認する。
特に注意したいのが、就寝中の充電です。
充電中の製品を布団や衣類の近くに置くと、異常が発生した際に発見が遅れる可能性があります。
充電する際は、燃えやすいものから離し、異常に気付ける環境を整えることが大切です。
【エレコムのモバイルバッテリーの安全性】現在の製品も危険なのか?
過去に複数のリコールがあったことから、「エレコムのモバイルバッテリーはすべて危険なのではないか」と心配する人もいる可能性があります。
しかし、ここでは製品単位で考える必要があります。
過去のリコールと現在販売されている製品は区別する
エレコム公式の製品Q&Aでは、2026年6月12日の更新時点で、フォースメディア製3機種とDE-M01Lシリーズ4型番をリコール対象として案内しています。
この情報から、エレコムのモバイルバッテリー全製品が一律にリコール対象になっているわけではないことが分かります。
一方、今回の2つのリコール事例を理由に、現在の製品すべてが安全だと断言することもできません。
新しい製品を購入する場合も、型番ごとのリコール情報、製品表示、メーカーの安全情報を確認する必要があります。
PSEマークだけで安心してはいけない
もう一つの誤解が、PSEマークがあれば発火リスクがないという考え方です。
今回の自主回収対象には、商品名にPSEと記載されたモデルも含まれています。
つまり、製品の安全性を判断する際に、PSE表記だけを根拠にするのは不十分です。
製品の型番、リコールの有無、使用状況、保管状態などを総合的に確認が必要です。
中古品・長期保管品は特に慎重に確認する
中古市場やフリマアプリなどでは、古いモバイルバッテリーが出品されていることがあります。
購入価格や容量だけで選ぶのではなく、次の点を確認してください。
- 本体の型番が明確に確認できるか。
- リコール対象製品に該当しないか。
- 膨張や変形、異臭、異常な発熱がないか。
- メーカーの製品情報や安全情報を確認できるか。
- 使用履歴や保管状況が分かるか。
型番が読めない製品や、製造時期・使用状況が分からない古い製品は、安価でも積極的に購入する理由はありません。
【エレコムモバイルバッテリーの発火】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:エレコムのモバイルバッテリーは2026年現在もリコール対象ですか?
A1:はい。旧フォースメディア製の「JF-PEACE8K2660」「JF-PEACE8K2660P」「JF-268PD60W」は2026年も自主回収が継続しています。また、旧エレコム製のDE-M01L-10440シリーズとDE-M01L-13040シリーズもリコール対象として公式案内に掲載されています。
Q2:世界超速R版のモバイルバッテリーは使い続けても大丈夫ですか?
A2:対象型番に該当する場合は使用を中止してください。外観に異常がなくても発火のおそれがあるとメーカーが公表しています。充電やスマートフォンへの給電も避け、指定窓口へ連絡してください。
Q3:エレコムのリコール対象製品は返金してもらえますか?
A3:旧フォースメディア製品については、消費者庁の情報で回収・返金・エレコム製品への異機種交換が案内されています。DE-M01Lシリーズについても回収・返金の対応が掲載されています。詳しい条件は、それぞれの指定窓口に確認してください。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
2026年10月30日現在、エレコムのモバイルバッテリーに関するリコール問題で最も注意すべきなのは、旧フォースメディア製の「世界超速R版」3機種です。
2021年8月に自主回収が始まり、2024年7月にはフォースメディアがエレコムと合併。その後も2026年1月に再告知され、2月には消費者庁から対象製品に関する火災事故が公表されました。
加えて、2026年1月21日時点の回収率は0.8%にとどまっています。対象製品が今も利用者の手元に残っている可能性は無視できません。
一方、2015年のDE-M01Lシリーズの発煙問題は、別の製品・別のリコール案件です。こちらも対象型番に該当する場合は回収・返金の手続きが必要です。
【プロの結論】
エレコムのモバイルバッテリーを安全に利用するために必要なのは、ブランド名だけで安心したり、不安になってすべての製品を避けたりすることではありません。
大切なのは、次の3点です。
1. 本体の型番を確認し、リコール対象に該当しないか調べる。
2. 対象製品であれば、外観に異常がなくても使用を中止して回収手続きを進める。
3. 対象外の製品でも、異常な発熱や膨張、変形などがあれば使用をやめる。
モバイルバッテリーは便利な反面、内部に大きなエネルギーを蓄えています。何年も前に購入した製品を現在も使っている人ほど、今回のリコール情報を確認しておきたいところです。
メーカーの自主回収情報と消費者庁のリコール情報を定期的に確認し、型番に基づいて判断することが、火災事故を防ぐための確実な第一歩になります。
主な参考資料・公表情報
- エレコム株式会社「フォースメディア社製品の自主回収に関する引き続きのお願い」(2026年1月14日、1月19日訂正)
- エレコム株式会社「リコール対象のモバイルバッテリーを調べたい」(2026年6月12日更新)
- 消費者庁「フォースメディア(現エレコム)製品のリコール情報」
- 消費者庁「消費生活用製品の重大製品事故に係る公表について」(2026年2月6日)
- 消費者庁「リチウムイオン電池使用製品による発火事故に注意しましょう」(2025年10月2日)
- 製品評価技術基盤機構(NITE)「電気分野の事故原因調査手法について」(2025年度講座資料)
- 経済産業省「エレコム製モバイルバッテリーのリコール情報」(2015年2月23日)