「ためしてガッテンで紹介された、タオルを握るだけで血圧が下がる方法は本当に効果があるの?」。高血圧対策を調べていると、そんな疑問からタオルグリップにたどり着く人は少なくありません。特別な器具を購入せず、自宅で取り組める手軽さが、この方法の大きな魅力です。
2014年3月26日放送のNHK「ためしてガッテン」で紹介されたハンドグリップ法は、現在も血圧を下げる方法として検索されています。一方、2025年8月に発行された日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」では、減塩、運動、体重管理、家庭血圧の測定など、複数の生活習慣を組み合わせた血圧管理が重視されています。2026年の研究成果も踏まえ、タオルグリップの医学的根拠から具体的なやり方、注意点まで解説します。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:タオルグリップの基礎となる等尺性ハンドグリップ運動には、血圧を下げる効果を示す研究がある。ただし、タオルを握れば誰でも同じ効果が得られるわけではない。
- 要点2:高血圧の生活習慣改善では、食塩摂取量を1日6g未満に抑えること、適度な有酸素運動、適正体重の維持などが基本となる。
- 要点3:家庭血圧は朝と夜に正しく測定し、記録を続けることが大切。血圧が高い場合は、運動だけに頼らず医療機関で相談する。
【まず確認】ためしてガッテンで紹介されたタオルグリップとは?

タオルグリップは、丸めたタオルを一定時間握り続け、休憩を挟みながら左右の手で繰り返す運動です。一般的なウォーキングとは異なり、筋肉の長さをほとんど変えずに力を発揮する「等尺性運動(アイソメトリック運動)」に分類されます。
NHK「ためしてガッテン」の2014年3月26日放送回では、世界の健康法を取り上げる企画のなかで、カナダで研究されていたハンドグリップ法が紹介されました。当時の番組内容をまとめた記録やJ-CASTニュースの2016年の記事では、専用の握力計を使う方法に加え、家庭のタオルを代用する方法が取り上げられています。
専用器具を使う方法では、握る力を調整しながら一定の負荷をかけます。タオルグリップは、この運動を自宅で実践しやすい形に置き換えたものです。ただし、タオルは握力計のように負荷を数値で確認できません。見た目が同じやり方でも、実際に筋肉へかかる負荷は人によって異なります。
ここで押さえておきたいのは、番組で紹介された健康法と、現在の医学的な標準治療は同じものではないという点です。テレビで紹介された方法をきっかけに生活習慣を見直すことには意味がありますが、紹介当時の説明だけで効果や安全性を判断するのは適切ではありません。
【医学的根拠】タオルグリップは本当に血圧を下げるのか?
タオルグリップの効果を検証するには、タオルそのものの効果と、握る動作を一定の負荷で繰り返す等尺性ハンドグリップ運動の研究を分けて考える必要があります。
2026年4月に学術誌「Journal of Clinical Hypertension」に掲載されたシステマティックレビュー・メタ解析では、等尺性ハンドグリップ運動に関する31研究、計905人のデータが分析されました。その結果、安静時の血圧は平均で、収縮期血圧が約5.38mmHg、拡張期血圧が約2.71mmHg低下しました。
これは、握る運動を継続することで血圧管理に役立つ可能性を示す結果です。ただし、研究間のばらつきは大きく、収縮期血圧の解析ではI²が86%、拡張期血圧では90%でした。運動方法、負荷、参加者の健康状態などが研究ごとに異なるため、平均値がすべての人に当てはまるわけではありません。
また、このメタ解析が調べたのは、負荷を管理したハンドグリップ運動です。家庭のタオルを使った場合に、同じ数値だけ血圧が下がると証明した研究ではありません。
一方、2023年に「Journal of Human Hypertension」で公表された別のシステマティックレビュー・メタ解析では、高血圧のある成人を対象とした継続的なハンドグリップ運動により、収縮期血圧が平均6.7mmHg、拡張期血圧が平均4.5mmHg低下したと報告されています。ただし、対象となったランダム化比較試験は9件で、短時間に一度だけ行う運動では同様の効果が確認されませんでした。
つまり、タオルグリップの医学的根拠を評価する際は、単にタオルを握った直後の数値を見るのではなく、適切な負荷で運動を継続したときの変化を確認する必要があります。
番組の紹介内容にある血圧低下の数値も、実施すれば必ず得られる効果として受け取るべきではありません。2026年の研究を踏まえた現実的な評価は、「等尺性ハンドグリップ運動には降圧効果を示す証拠があるが、タオルグリップ単独の効果や個人差には不確実性が残る」というものです。
【比較表】日本高血圧学会の2025年ガイドラインで見る血圧対策
日本高血圧学会は、2025年7月25日に新しいガイドラインを公表し、同年8月29日から冊子を購入できるようにしました。2026年に高血圧対策を考える際は、この「高血圧管理・治療ガイドライン2025」を基本に据えることが重要です。
同ガイドラインは、知識を伝えるだけでなく、実際に血圧を下げる行動につなげることを重視しています。日々の生活に取り入れる対策を整理すると、次のようになります。
| 対策 | 目安・実践方法 | 評価と注意点 |
|---|---|---|
| タオルグリップ | タオルを握る等尺性運動を継続する | 関連する運動研究には降圧効果の証拠があるが、タオル独自の効果は限定的 |
| 減塩 | 高血圧の人は食塩を1日6g未満にする | 食事全体を見直す基本的な対策 |
| 有酸素運動 | 軽度から中等度の運動を1日30分以上を目安に行う | ウォーキングなどを無理のない範囲で継続する |
| 体重管理 | 適正体重を目指し、BMI25未満を維持することを基本とする | 年齢や持病、筋肉量などを考慮して調整する |
| 家庭血圧の測定 | 朝と夜に測定し、5日以上の記録を残す | 測定条件を統一し、医師の診察に活用する |
| 医療機関での管理 | 血圧値や合併症、全身状態を踏まえて治療する | 必要な場合は降圧薬と生活習慣改善を組み合わせる |
ここで特に注意したいのが、血圧の「診断基準」と「治療目標」は異なるという点です。
日本高血圧学会の2025年ガイドラインでは、一般的な高血圧の基準は診察室血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧が135/85mmHg以上です。一方、治療中の降圧目標として、診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満が示されています。
治療目標は、個々の患者の状態や治療による副作用などを考慮して判断されます。自己判断で数値だけを追いかけたり、血圧が下がったからといって服薬を中断したりすることは避けてください。
【今日から実践】減塩と食事で血圧を下げる方法
高血圧の改善方法として、まず見直したいのが毎日の食事です。日本高血圧学会の2025年ガイドラインでは、高血圧の人の食塩摂取目標を1日6g未満としています。
食塩の摂取量が増えると、体内のナトリウムと水分の調節に影響し、血圧が上昇しやすくなります。日本の食事では、しょうゆ、みそ、漬物、麺類のスープ、加工食品などから食塩を摂取しやすいため、特定の料理だけでなく、1日の食事全体を見直すことが大切です。
例えば、次のような工夫が取り入れやすい方法です。
- しょうゆやソースは料理に直接かけず、少量を小皿に取って使う。
- ラーメンやうどんなどの汁は、できるだけ飲み干さない。
- だし、酢、レモン、香辛料、香味野菜を活用し、塩分以外の味付けを増やす。
- 食品の栄養成分表示で食塩相当量を確認する。
- 野菜、果物、低脂肪乳製品などを取り入れ、食事全体のバランスを整える。
ガイドラインでは、野菜や果物などに含まれるカリウムを積極的に摂取することや、DASH食・地中海食に代表される食事パターンも推奨されています。食塩を減らし、カリウムを含む食品を適切に取り入れることは、ナトリウムとカリウムのバランスを整えるうえでも役立ちます。
ただし、腎機能が低下している人や、血液中のカリウム濃度に影響する薬を服用している人は注意が必要です。カリウムを多く含む食品や減塩用の塩を積極的に使う前に、医師や管理栄養士へ相談してください。
もう一つの要点は、体重管理です。過体重や肥満がある場合は、無理のない減量によって血圧改善が期待できます。短期間で大きく体重を落とそうとするより、食事量、間食、飲酒、日常の活動量を少しずつ調整するほうが継続しやすくなります。
タオルグリップを毎日行っていても、塩分の多い食事や過度な飲酒などが続けば、生活習慣全体の改善にはつながりません。握る運動だけに期待するのではなく、毎日の食事を降圧対策の中心に置きましょう。
【続けやすさ重視】血圧を下げる運動とタオルグリップのやり方
血圧を下げる運動として、日本高血圧学会の2025年ガイドラインが推奨するのは、軽度から中等度の有酸素運動を1日30分以上行うことです。ウォーキングや自転車こぎなど、自分の体力に合わせて継続できる運動を選びましょう。
筋力トレーニングなどのレジスタンス運動にも降圧効果が期待できますが、息を止めて力を入れる動作や、過度に強い負荷は血圧を大きく上昇させる可能性があります。タオルグリップも、強く握りしめればよいというものではありません。
タオルグリップの基本的なやり方
- 普通のタオルを四つ折りにし、端から丸めて棒状にする。
- 軽く握ったとき、親指とほかの指が完全に触れ合わない程度の太さを目安に調整する。
- 椅子に座り、肩の力を抜いて、呼吸を止めずに握る。
- 番組で紹介された方法を参考に、片手で2分間握ったあと、1分間休む。
- この「2分握る・1分休む」を同じ手で2回行い、反対の手も同様に行う。
この方法は、2014年の番組内容をまとめた記録や当時の報道で紹介されたタオルグリップの手順を参考にしたものです。タオルでは負荷を正確に測定できず、上記の回数や時間がすべての人に適していると確認されているわけではありません。
研究で用いられる代表的なハンドグリップ運動では、最大随意収縮の約30%の力で2分間握り、1分休むセットを左右それぞれ行い、週3回程度、少なくとも8週間継続する方法などが使われています。ただし、これは負荷を管理した運動プロトコルであり、家庭でタオルを握るだけで同じ負荷を再現できるとは限りません。
タオルグリップを実践するなら、最初から強い力を入れず、体調に合わせて取り組むことが大切です。血圧が十分に管理できていない人、心臓や血管の病気がある人、運動を制限されている人は、開始前に医療従事者へ相談してください。運動中に胸痛、息苦しさ、めまいなどが現れた場合は、直ちに中止して必要な医療を受けましょう。
また、運動を一つだけ追加するよりも、歩く時間を確保する、長時間座り続けない、適正体重を保つ、飲酒を控える、禁煙するなど、複数の生活習慣を組み合わせることが重要です。血圧の改善は、短期間の運動で数値を変えることよりも、長期的な管理を続けることに意味があります。
【見落とし厳禁】家庭血圧の正しい測り方と受診の目安
高血圧は、症状がほとんどないまま進行することがあります。頭痛や肩こりなどの自覚症状だけで判断せず、家庭血圧を測定して普段の数値を把握することが大切です。
日本高血圧学会の2025年ガイドラインでは、家庭血圧を適切に測定することが重視されています。測定には、精度が確認された上腕式血圧計を使用するのが基本です。
家庭血圧を正しく測る手順
- 朝:起床後1時間以内、排尿後、朝食や服薬の前に測る。
- 夜:就寝前に測る。
- 姿勢:背もたれのある椅子に座り、足を組最初に、足裏を床につける。
- 安静:測定前に1〜2分程度、静かに座って落ち着く。
- 腕の位置:カフを正しく巻き、腕と血圧計の位置を心臓の高さに合わせる。
- 測定中:会話をせず、力を抜いて測る。直前の運動、喫煙、カフェイン摂取などは避ける。
- 記録:朝と夜の数値を記録し、少なくとも5日間、できれば7日間続ける。
1回の測定値だけで一喜一憂せず、朝と夜の傾向を確認してください。測定時に複数回測った場合は、すべての値を記録し、医師の指示に従って平均値などを評価します。低い値だけを選んで記録することは避けましょう。
家庭血圧の平均が135/85mmHg以上であれば、高血圧の可能性があるため医療機関への相談が勧められます。健康診断などの診察室血圧が140/90mmHg以上の場合も、受診して評価を受けましょう。数値が大きく変動する場合や、血圧計が不整脈などの警告を示す場合も相談が必要です。
血圧が著しく高く、胸痛、強い息苦しさ、片側の手足の麻痺、言葉が出にくいなどの症状がある場合は、タオルグリップや家庭での運動で様子を見ず、直ちに救急要請を検討してください。
高血圧と診断され、降圧薬を処方されている人は、血圧が改善したように見えても自己判断で薬を減らしたり、中断したりしてはいけません。家庭血圧の記録を診察時に持参し、生活習慣の改善と薬物療法をどのように組み合わせるか、担当医と相談が必要です。
【ためしてガッテン血圧を下げる方法】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ためしてガッテンのタオルグリップは毎日行えば血圧が下がりますか?
A1:必ず下がるとは限りません。等尺性ハンドグリップ運動には降圧効果を示す研究がありますが、効果には個人差があり、家庭のタオルで同じ結果が得られる保証はありません。無理のない負荷で継続し、家庭血圧の記録で変化を確認しましょう。
Q2:タオルグリップだけで降圧薬をやめてもよいですか?
A2:いいえ。タオルグリップは医師による診断や処方薬の代わりにはなりません。血圧が下がってきた場合も、薬の減量や中止は自己判断せず、担当医に相談してください。
Q3:血圧を下げるために最初に取り組むべきことは何ですか?
A3:まずは家庭血圧を正しく測って記録し、食塩摂取量を見直すことから始めましょう。高血圧の人は食塩を1日6g未満に抑えることが目標です。体調に合わせた有酸素運動も取り入れ、測定値が高い場合は医療機関で相談してください。
【プロの結論】まとめ:2026年に失敗しない血圧改善の判断基準
「ためしてガッテン」で紹介されたタオルグリップは、特別な器具を必要とせず、自宅で取り組める点が魅力です。2026年に公表された研究を含め、等尺性ハンドグリップ運動には血圧を下げる効果を示す科学的根拠があります。ただし、研究で確認された結果を、そのままタオルグリップの効果として当てはめることはできません。
高血圧対策の基本は、日本高血圧学会の「高血圧管理・治療ガイドライン2025」に沿って、減塩、適度な有酸素運動、体重管理、節酒、禁煙などを組み合わせることです。特に、食塩を1日6g未満に抑えることと、家庭血圧を継続して測定することは、日常生活で取り組みやすい具体的な目標になります。
タオルグリップを試すなら、強く握りしめることを目標にせず、無理のない方法で継続し、血圧の変化を記録してください。効果が出ないからといって負荷を急に強める必要はありません。
血圧改善で最も重視したいのは、一時的に数値を下げることではなく、長期的に心臓や血管への負担を減らすことです。家庭での測定結果をもとに医療機関と連携し、自分の体調や治療方針に合った方法を選ぶことが、2026年の高血圧対策で失敗しないための判断基準です。