「茨城大使にはどんな有名人が選ばれているのか」「任期は何年で、実際にどのような活動をしているのか」。茨城県の魅力を全国や海外に発信する「いばらき大使」は、芸能人やスポーツ選手だけでなく、映画プロデューサー、作家、研究者、企業経営者、外交関係者など、幅広い分野の人材が参加する県の広報制度です。
2026年10月時点で確認できる県の公表資料では、令和8年度の事務事業概要に、いばらき大使の委嘱者数は2026年4月1日現在で128名と記載されています。加えて、2025年10月にはアニメーション映画のプロデューサー・齋藤優一郎さんと、韓国の航空会社エアロKの代表取締役・姜秉浩さんが新たに委嘱されました。2026年には制度の運用方針も見直され、活動状況の把握や大使との連携強化が打ち出されています。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 制度の目的:茨城県出身者や県にゆかりのある著名人らが、それぞれの専門分野を通じて県の魅力を国内外に発信する。
- 選任条件・任期:知名度や専門分野での実績、PRに有効な手段などを踏まえて知事が委嘱し、設置要綱上の任期は3年で再任も可能。
- 2026年の最新動向:県資料では委嘱者数128名。2026年7月には継続意向の確認を毎年行うなど、制度の運用見直しが公表された。
【茨城大使とは】県の魅力を国内外へ伝える知事委嘱の制度
いばらき大使は、茨城県のイメージアップと認知度向上を目的に、県知事が委嘱する制度です。制度は1995年度(平成7年度)に創設され、県出身者や県にゆかりのある人が、自身の仕事や社会的な活動を通じて茨城の魅力を広める役割を担っています。
選ばれるのは、テレビに出演するタレントや芸能人だけではありません。研究者、企業経営者、作家、音楽家、アスリート、アナウンサー、さらには茨城との交流に実績がある海外の関係者まで、活動分野は多岐にわたります。
この制度の特徴は、県が一律に同じ広報活動を求めるのではなく、委嘱された人が持つ専門性やネットワークを生かす点にあります。たとえば、スポーツ選手なら競技や大会を通じて茨城の名前が知られる機会をつくり、作家なら作品や文化活動を通じて県とのつながりを伝えることができます。
県の公式サイトでは、いばらき大使を学界・法曹界、実業界、文化・芸術、スポーツ界、マスコミの分野に分けて紹介しています。また、新たに委嘱された人については年度ごとの発表資料が公開されており、現役の大使の紹介と過去の委嘱実績を照らし合わせられる仕組みです。
【選任条件と任期】3年が原則、知事が必要性を判断
茨城県の「いばらき大使設置要綱」第2条には、委嘱の対象者について具体的な条件が定められています。基本となるのは、茨城県出身者、または県にゆかりがあり、原則として県外に住み、各界で幅広く活躍していること。そして、制度の趣旨に賛同していることです。
加えて、次の4つの条件のうち、いずれかに該当し、知事が必要と認めることが大切です。
- 知名度が高く、影響力がある人
- 特定の分野で特に著名な人
- 茨城県のPRに有効な媒体や手段を持っている人
- その他、知事が特に必要と認める人
重要なのは、知名度だけで選ばれる制度ではないという点です。特定の分野で築いた実績や、海外との交流、情報を届けるためのネットワークなども選任につながり得ます。最終的な委嘱は知事が判断するため、一般公募で誰でも応募できる仕組みとは異なります。
任期については、設置要綱第3条で3年と規定され、再任も認められています。また、任期は実際に委嘱した日から単純に3年間を数えるのではなく、委嘱日の属する年度の初日から起算する仕組みです。
一方、本人から辞任の申し出があった場合や、大使としてふさわしくない行為などが発覚した場合には、任期途中でも知事が委嘱を解くことができます。肩書きを付与するだけでなく、制度の信頼性を維持するための規定も設けられています。
【2026年最新】委嘱者数128人、運用は年次確認へ
2026年の最新動向を確認するうえで押さえておきたいのが、委嘱者数と制度運用の見直しです。
茨城県営業戦略部の「令和8年度事務事業概要」では、いばらき大使の委嘱者数を2026年4月1日現在で128名としています。一方、2025年10月31日の新規委嘱に関する県の発表では、同日時点の人数は130名でした。公表された基準日が異なるため、人数を比較する際には、それぞれの時点を区別する必要があります。
もう一つの大きな動きが、2026年7月22日に更新された「いばらき大使制度の運用について」です。県は、委嘱時に本人から取得した情報について、会社の登記や所属先の公式情報への照会などを通じて、原則として客観的な確認を行うと説明しています。
更新手続きについても見直しが公表されました。従来は3年ごとだった継続・退任の意向確認を毎年行い、継続を希望する大使には活動状況も報告してもらう方針です。大使として協力を依頼する内容を具体的に示すことも掲げられています。
加えて、県は大使同士の交流会などの実施や、活動状況を共有する「いばらき大使通信(仮称)」の作成・配布を予定しています。これらは2026年7月の公表時点では実施予定として示されたもので、すべてが完了したことを意味するわけではありません。
なお、設置要綱に記載された任期3年と、毎年の継続意向確認は区別して理解する必要があります。前者は制度上の任期、後者は大使との連携や活動把握に関する運用方針です。
【歴代一覧】2025年度の齋藤優一郎・姜秉浩まで分野別に広がる
いばらき大使の歴代委嘱実績を見ると、文化・芸術、スポーツ、マスコミ、産業、国際交流など、さまざまな分野から人材が選ばれてきたことが分かります。以下は茨城県が公表した年度別の委嘱資料に基づく代表例です。全委嘱者を網羅した一覧ではなく、各年度の新規委嘱者を中心に整理しています。
| 年度 | 主な委嘱者 | 分野・実績 |
|---|---|---|
| 2019年度 | 渡部豪太、野口啓代、七海ひろき、櫻川めぐ、片岡安祐美、緒方湊、武田和歌子 | 俳優、スポーツ、芸術、声優・歌手、マスコミなど |
| 2021年度 | 永瀬貴規、高橋利恵子、トリル・ダイナスティ | 柔道、パラスポーツ、音楽プロデュース |
| 2022年度 | 川﨑誠司、小林正寿、檜山沙耶、今湊敬樹 | 教育・研究、気象、テレビ報道 |
| 2023年度 | マシコタツロウ、黒沢かずこ、安蔵光弘、大久保美織、野尻智紀、リーナ・アンナーブ | 音楽、お笑い、ワイン産業、海外エンタメ、モータースポーツ、国際交流 |
| 2024年度 | ティムラズ・レジャバ、永野雄大、松永K三蔵 | 国際交流、フェンシング、小説・文学 |
| 2025年度 | 齋藤優一郎、姜秉浩 | アニメーション映画、航空・日韓交流 |
2019年度には、俳優の渡部豪太さん、プロフリークライマーの野口啓代さん、元宝塚歌劇団星組の七海ひろきさん、声優・歌手の櫻川めぐさんらが委嘱されています。
2022年度には、気象予報士の小林正寿さんや気象キャスターの檜山沙耶さん、フジテレビのアナウンサーとして活動する今湊敬樹さんらが加わりました。2023年度には、お笑いトリオ「森三中」の黒沢かずこさん、音楽家のマシコタツロウさん、プロレーシングドライバーの野尻智紀さんなど、さらに多様な分野の人材が委嘱されています。
2024年度は、駐日ジョージア特命全権大使のティムラズ・レジャバ氏、パリ2024オリンピックのフェンシング男子フルーレ団体金メダリストの永野雄大さん、第171回芥川龍之介賞を受賞した小説家の松永K三蔵さんが新たに委嘱されました。
そして2025年度には、アニメーション映画のプロデューサーである齋藤優一郎さんと、韓国の航空会社エアロKを率いる姜秉浩さんが加わりました。映画を通じた国際的な発信と、航空路線を軸にした地域間交流という、異なる強みを持つ2人が選ばれた点が特徴です。
【選任理由】永野雄大・松永K三蔵らは何を期待されたのか
個別の委嘱理由を考える際には、本人の知名度だけでなく、茨城とのつながりと、その人ならではの発信手段に注目すると制度の狙いが見えてきます。
齋藤優一郎さん:アニメーション映画を通じた国内外への発信
齋藤優一郎さんは茨城県守谷市出身で、2011年に細田守監督とともにアニメーション映画製作会社「スタジオ地図」を設立しました。『おおかみこどもの雨と雪』『竜とそばかすの姫』などの企画・制作に携わり、『未来のミライ』は第91回アカデミー賞の長編アニメーション映画賞にノミネートされています。
県が2025年10月31日に委嘱した際、齋藤さんは守谷市で育ったことに触れ、アニメーション映画を通じて茨城の自然や文化、人の温かさを国内外に伝えたいという考えを示しました。
映画は劇場公開や配信などを通じて幅広い地域の人々に届く表現です。県内の観光地を直接紹介するだけでなく、作品に関わる人物の出身地や思い出の場所として茨城が認知されることも、文化分野の大使ならではの発信方法です。
姜秉浩さん:茨城空港と韓国を結ぶ交流の拡大
姜秉浩(カン・ビョンホ)さんは、2016年5月から韓国の航空会社エアロKの代表取締役を務めています。茨城県の公表資料では、茨城空港と韓国を結ぶ路線の就航に尽力したことや、韓国のインフルエンサーを県内に招へいするなど、韓国との交流拡大に貢献したことが紹介されています。
2025年10月31日の委嘱時、姜さんは清州・茨城、ソウル(仁川)・茨城の路線を通じて、日韓の交流促進と地域発展に努めたいという考えを示しました。
この事例では、SNSなどによる情報発信だけでなく、実際の移動手段や旅行者の往来を支えるネットワークも、県の認知度向上につながる資源として評価されていることが分かります。
永野雄大さん:オリンピックの実績と水戸市とのつながり
永野雄大さんは水戸市出身のフェンシング選手で、パリ2024オリンピックの男子フルーレ団体で金メダルを獲得しました。県は2024年11月13日に大使を委嘱し、本人もフェンサーとしての活動を通じて、地元・茨城の良さをより多くの人に知ってもらいたいという意向を示しています。
国際大会での活躍は、選手の出身地がニュースや競技情報とともに紹介される機会を生みます。競技を通じて地域の名前が広がることは、スポーツ分野の大使に期待される効果の一つです。
松永K三蔵さん:文学賞受賞と茨城に根差した記憶
小説家の松永K三蔵さんは日立市にゆかりがあり、2024年に『バリ山行』で第171回芥川龍之介賞を受賞しました。県の委嘱資料では、水戸市に生まれ、幼少期に日立市で暮らしたことや、母親の郷里である茨城で夏を過ごしてきたことが紹介されています。
松永さんは関西在住者として、関西の地から茨城の魅力を発信したいという考えを示しました。こうした事例は、現在の居住地が県外でも、出身地や家族の故郷、幼少期の経験などを通じて地域との関係を築いている人が制度の対象になることを示しています。
このほか、2023年度には音楽家のマシコタツロウさん、ワインメーカーの安蔵光弘さん、駐日ヨルダン大使のリーナ・アンナーブ氏らも委嘱されています。選任の背景には、それぞれの専門分野で培った実績と、茨城とのつながりを生かした発信への期待があります。
【活動実態】肩書きだけでなく、発信・交流の接点をどう見るか
いばらき大使の役割は、設置要綱第5条で、自身の活動分野や各地域において、さまざまな機会を通じて県のイメージアップと認知度向上に努めることとされています。必ずしも全員が同じイベントに参加したり、同じ頻度でSNSに投稿したりする仕組みではありません。
県は活動を支援するため、大使用名刺、県の特産品、県広報紙、観光冊子、イベント情報などを提供すると定めています。大使本人の仕事や人脈と、県から提供される情報を組み合わせることで、茨城の観光、食、文化、産業などを伝えることができます。
実際の活動例も公表されています。茨城県の広報紙「ひばり」2025年4月号では、いばらき大使が帰省時に食べる料理を紹介する特集が掲載されました。2026年1月号では、大使の安蔵光弘さんの協力を得て、県内のワイナリーや茨城のワインの魅力を伝えています。
また、LuckyFM茨城放送は2026年10月、気象予報士の小林正寿さんが「ほしいもシェイクフェア」のPR撮影に参加したと報じました。こうした事例からは、広報紙での情報提供、食や観光の企画への協力、イベントのPRなど、活動が具体的な発信の場につながっていることが分かります。
ただし、こうした個別事例だけで、128名全員の活動頻度や効果を判断することはできません。県が2026年7月に活動状況の報告を求める方針を示した背景には、大使の肩書きや委嘱人数だけでなく、実際の協力内容を把握し、今後の広報活動に生かす狙いがあると考えられます。
制度を評価するうえで注目したいのは、単に著名人を増やすことではなく、それぞれの専門分野や人脈が、茨城の認知度向上にどう結びつくかという点です。2026年の運用見直しは、委嘱後の活動を共有し、県と大使の連携を継続的に深める方向を示しています。
【茨城大使】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:茨城大使にはどんな有名人がいますか?
A1:2025年度の新規委嘱者には、スタジオ地図代表取締役の齋藤優一郎さんと、韓国の航空会社エアロK代表取締役の姜秉浩さんがいます。過去の委嘱例には、フェンシング選手の永野雄大さん、作家の松永K三蔵さん、お笑いトリオ「森三中」の黒沢かずこさん、気象予報士の小林正寿さんなどがいます。
Q2:いばらき大使の任期は何年ですか?
A2:設置要綱では3年と定められており、再任も可能です。任期は委嘱日の属する年度の初日から起算します。2026年には、継続・退任の意向確認を毎年行う運用方針も公表されました。
Q3:いばらき大使になるための公募や応募制度はありますか?
A3:県の設置要綱は、県出身者や県にゆかりのある人の中から、知名度、専門分野での実績、PRに有効な媒体や手段などを踏まえ、知事が必要と認めた人に委嘱する仕組みを定めています。一般公募による応募制度としては規定されていません。
まとめ:今後の動向と失敗しないための判断基準
茨城大使は、県出身者や県にゆかりのある人が、自分の専門分野や社会的なネットワークを生かして、茨城の魅力を国内外に発信する制度です。2026年4月1日現在の委嘱者数は128名で、文化・芸術、スポーツ、報道、産業、国際交流など幅広い分野をカバーしています。
2025年度に委嘱された齋藤優一郎さんはアニメーション映画、姜秉浩さんは航空路線や日韓交流という、それぞれ異なる強みを持っています。永野雄大さんや松永K三蔵さんの事例も含め、選任理由を読み解くと、著名であることだけでなく、茨城とのつながりや、その人ならではの発信力が重視されていることが分かります。
制度の今後を判断する際には、委嘱者の人数や肩書きだけを見るのではなく、県の公式発表で選任理由を確認し、広報紙やイベント、地域間交流などの具体的な活動がどのように生まれているかに注目することが大切です。2026年に公表された運用見直しによって、活動状況の把握や大使同士の交流がどこまで進むかも、今後の注目点となります。
主な参照資料:茨城県「いばらき大使設置要綱」「いばらき大使制度の運用について」「令和7年度『いばらき大使』を委嘱しました」、茨城県営業戦略部「令和8年度事務事業概要」、県広報紙「ひばり」、LuckyFM茨城放送。