「騙されてAV」と検索する人の多くは、モデルや芸能関係の仕事だと説明されたのに、アダルトビデオへの出演を求められた場合や、契約後に断ったら高額な違約金を請求された場合、撮影済みの映像を公開された場合に、どう対処すればよいのかを知りたいのと考えられます。
AV出演被害は、撮影現場での強要だけを指すものではありません。勧誘時の説明と実際の仕事内容が異なる、断ると損害賠償を示唆される、公開された映像の削除を求めても応じてもらえないなど、契約前から公開後まで複数の問題が起こり得ます。2026年は、内閣府男女共同参画局が公表した最新の相談状況と、2022年6月23日に施行された「AV出演被害防止・救済法」の契約解除ルールを理解しておくことが重要です。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 要点1:モデル勧誘や高収入アルバイトを入口に、仕事内容を十分に説明しないままAV出演を求める手口に注意が必要。
- 要点2:AV出演被害防止・救済法では、一定の条件のもとで契約の取消し・解除や映像の公表停止を請求できる。法律に基づく任意解除に、原則として違約金や損害賠償の負担は伴わない。
- 要点3:2026年9月公表の内閣府資料では、法施行後のワンストップ支援センターへの相談は累計594件。困ったときは全国共通番号「#8891」で相談できる。
【騙されてAVとは】モデル勧誘や高収入バイトを装う手口の実態
「騙されてAV」とは、一般に、AV出演だと十分に理解しないまま勧誘されたり、説明と異なる条件を提示されたり、断る意思を示したにもかかわらず出演を迫られたりする被害を指す検索上の表現です。法律上の正式な用語ではありませんが、AV出演被害の背景を理解するうえで重要なキーワードです。
内閣府男女共同参画局や国民生活センターが紹介する事例では、モデルやアイドルへの憧れ、高収入への期待などを利用する勧誘が問題になっています。以前からある街頭スカウトだけでなく、SNSの募集広告やインターネットで見つけたオーディションに自分から応募したことが、トラブルの入口になる場合もあります。
典型的な流れとして考えられるのが、最初は芸能活動やモデル撮影の話を持ちかけ、事務所への登録や面談を経た後で、AV出演を勧めるケースです。出演を断ると、契約済みであることや撮影費用、準備費用などを理由に金銭の支払いを求められ、断りづらい状況に追い込まれることもあります。埼玉県警察も、モデルやアイドルへの勧誘を装い、出演拒否後に高額な違約金を請求する事案について注意を呼びかけています。
ここで押さえたいのは、勧誘時に一度でも仕事に興味を示したことと、AVへの出演に同意することは別だという点です。モデル契約や芸能事務所との契約を結んでいても、それだけでAV出演への包括的な同意が成立するわけではありません。AV出演契約には、作品ごとの契約や説明書面の交付など、法律上の特別なルールがあります。
【なぜ勧誘するのか】AV勧誘の理由と高収入アルバイトの見分け方
AV出演を勧める側がモデル・芸能・高収入アルバイトといった入口を使う背景には、応募者の希望や経済的な事情を足がかりに、出演への心理的な抵抗を小さくしようとする構造があります。ただし、広告の表現だけで違法な勧誘だと断定することはできません。重要なのは、募集内容と実際に求められる仕事が一致しているか、断る自由が守られているかという点です。
国民生活センターは、タレント・モデル契約のトラブルについて、活動内容や費用を十分に確認し、その場で契約しないこと、金銭負担を求められた場合には慎重に判断することを呼びかけています。AV出演被害を避けるためにも、次のような兆候が重なった場合は、契約や面談をいったん止めるのが賢明です。
- 仕事内容が曖昧:「撮影モデル」「映像作品」「特別な案件」などの説明に終始し、撮影内容や公開先を具体的に説明しない。
- 即日契約を迫る:契約書を持ち帰って確認することや、家族・知人・専門家への相談を嫌がる。
- 事前の金銭負担を求める:登録料、レッスン料、撮影準備費などの名目で支払いを要求し、借金まで勧める。
- 当初の説明から内容が変わる:一般的なモデル撮影として説明されたのに、現場で下着や裸の撮影、性行為を伴う内容を求められる。
- 断ると脅す:「違約金を払え」「家族や勤務先に知らせる」「映像を公開する」などと告げ、出演や支払いを迫る。
一つの兆候だけで相手の違法性が確定するわけではありません。しかし、仕事内容の不明確さ、契約の即決要求、断った際の威圧が組み合わさっている場合は、重大な警戒サインです。身分証やスマートフォンを預けるよう求められたり、帰ることを妨げられたりした場合は、契約内容の検討よりも安全な場所への移動を優先してください。
また、「高収入アルバイト」と書かれていることだけでAV勧誘だと決めつけるのも適切ではありません。求人広告の会社名、実際の雇用主、仕事内容、報酬、費用負担、契約書の有無を確認し、説明と契約内容に食い違いがあれば、署名や撮影に進まないことが判断の基準になります。
【AV出演被害の実態】2026年最新の相談件数と見えてきた課題
2026年の状況を把握するうえで重要なのが、内閣府男女共同参画局が2026年9月25日に開催情報を公表した関係府省対策会議幹事会の資料です。資料によると、AV出演被害防止・救済法の施行後、ワンストップ支援センターに寄せられた相談は、2025年度末までの累計で594件でした。2025年度だけでも94件が報告されています。
相談者の年代では20代が最も多く、5割弱を占めました。性別では女性が約8割、男性が約2割です。AV出演被害は特定の性別だけに限られる問題ではなく、年齢についても20代以外から相談が寄せられています。
加えて、相談内容には、法律の施行前に締結された契約に関するものが183件、施行後の契約に関するものが342件ありました。出演した映像の公開後に寄せられた相談は399件、公開前の相談は88件です。これらは複数回答を含む相談状況の集計であり、各項目の合計が累計相談件数と一致するものではありません。
この数字から読み取れるのは、法律が施行された後も相談が続いており、契約を結ぶ段階だけでなく、映像が公開された後の対応も大きな課題になっていることです。一方、594件は支援センターへの相談件数であって、被害者全体の人数や、AV出演被害そのものの発生総数を示す数字ではありません。相談に至っていないケースの規模を、この数字だけで判断することはできません。
内閣府の資料では、法的支援や弁護士紹介などの説明が167件、映像の差止請求などに関する説明が95件、任意解除についての説明が88件とされています。契約を解除できる制度があっても、その適用条件や手続きを知らなければ、被害を止めるために活用できない場合があることがうかがえます。
なお、これらの数字は2026年7月時点で取りまとめられ、同年9月の資料に掲載されたものです。2026年10月時点での最新の公表資料として参照する際は、この集計時点と対象期間を区別する必要があります。
【契約解除期間を整理】AV出演被害防止・救済法でできること
AV出演被害防止・救済法は、2022年6月15日に成立し、同年6月23日に施行された法律です。出演者の性別や年齢を問わず、出演契約の締結から撮影、公表、契約解除に至るまでのルールを定めています。法律に基づく救済を考える際は、「契約を取り消すこと」「契約を解除すること」「映像の公表を止めること」を分けて理解が必要です。
契約解除の期間は、契約を結んだ日によって異なります。特に、2024年6月23日から2025年6月22日までに締結した契約については、2026年12月22日が経過措置上の重要な日付です。
| 確認項目 | 法律上の主なルール | 実務上のポイント |
|---|---|---|
| 契約書・説明書面 | 契約内容などを記載した書面等を交付し、説明する義務がある | 書面がない、説明が不十分などの場合は、契約の取消しを検討できる |
| 撮影までの期間 | 契約書等と説明書面等の交付から1か月間は撮影できない | 契約直後に撮影を求められた場合は、法律上のルールを確認する |
| 映像の公表までの期間 | すべての撮影が終了してから4か月間は公表できない | 公表前に撮影された映像を確認する機会も設けられる |
| 2022年6月23日~2024年6月22日に締結した契約 | 原則として、公表から2年間は任意解除が可能 | 契約日と公表日を確認し、解除できる期間を計算する |
| 2024年6月23日~2025年6月22日に締結した契約 | 公表から1年間、または2026年12月22日のいずれか遅い日まで任意解除が可能 | 公表から1年が経過していても、2026年12月22日まで解除できる場合がある |
| 2025年6月23日以降に締結した契約 | 原則として、公表から1年間は任意解除が可能 | 契約日と公表日を確認し、早めに相談する |
| 映像の公表停止 | 法律の要件を満たす場合、制作・公表の停止や予防などを請求できる | 契約解除の通知と、公開済み映像への対応を並行して検討する |
上記は内閣府男女共同参画局の法律解説と任意解除期間の案内に基づく整理です。2022年6月22日以前に締結した契約は、同法に基づく契約の取消し・解除の対象外ですが、映像の公表停止を求められる可能性はあります。適用関係は契約日や事実関係によって異なるため、古い契約であっても相談する意味があります。
任意解除の特徴は、一定期間内であれば出演者が理由を問わず契約を解除できることです。撮影前だけでなく、撮影後で公表前の段階や、法律で定められた期間内の公表後も対象になります。出演に同意して撮影を受けたことだけを理由に、解除できなくなるわけではありません。
また、契約書や説明書面の交付・説明義務に違反している場合には契約の取消しを、撮影や公表に関する法律上の義務に違反している場合には契約の解除を、それぞれ検討できる場合があります。どの制度が適用されるかは状況によって異なるため、契約書ややり取りの記録を持って専門窓口に相談してください。
【違約金請求・公表停止】契約をやめたいときの具体的な対処法
AV出演を断った際に「契約したのだから違約金を払え」「撮影準備に費用がかかった」「断るなら損害賠償を請求する」などと言われても、その請求をそのまま受け入れる必要はありません。AV出演被害防止・救済法に基づく任意解除をしたこと自体を理由に、出演者が違約金や損害賠償を負担することはありません。加えて、任意解除を妨げるために、事実と異なる説明をしたり、威迫して困惑させたりする行為は禁止されています。
ただし、相手が主張する費用の内容や別の契約の有無によって、個別の法的判断が必要になる場合はあります。請求書やメッセージが届いた場合は、すぐに支払ったり、相手の説明だけで債務を認めたりせず、書類ややり取りを保存して専門家に確認してください。
契約を解除したい場合は、相手に解除の意思を明確に伝え、その記録を残すことが大切です。内閣府男女共同参画局は、メールやSNSなどを利用して意思表示する方法を案内しています。通知には、少なくとも「契約を解除します」という文言を入れることが推奨されています。
契約解除の通知例は、次のとおりです。
(契約日)に契約したAV出演契約を解除します。今後、この件について連絡をしてこないでください。
撮影済みの映像について公表を止めたい場合は、次のような文言を加える方法もあります。
(契約日)に契約したAV出演契約を解除します。公表はやめてください。
実際に送信する際は、契約相手や契約日を分かる範囲で記載し、送信日時、相手のアカウント、メールの送信記録、返信内容などを保存してください。相手と直接連絡を取ることに危険を感じる場合や、すでに脅迫を受けている場合は、無理に一人で交渉せず、先に相談窓口や警察に相談する方法があります。
映像がすでにインターネット上で公開されている場合、契約を解除しただけで、あらゆるサイト上のコピーが直ちに自動削除されるわけではありません。法律に基づく制作・公表の停止や予防の請求、販売・配信事業者への対応、インターネット上の削除請求などを組み合わせて検討する必要があります。公開先が複数ある場合や、海外のサイトに掲載されている場合には、対応方法も異なり得ます。
そのため、解除通知を送ることと並行して、公開先の名称、作品タイトル、掲載ページ、発見日時などを記録し、ワンストップ支援センターや弁護士などに相談してください。証拠を保存するために、被害映像そのものを必要以上にダウンロードしたり、第三者へ転送したりすることは避けましょう。
【相談窓口】#8891・消費生活センター・警察に相談する方法
AV出演被害について、契約解除や映像の公表停止を考えている場合は、内閣府が案内する性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターに相談できます。全国共通番号は#8891(はやくワンストップ)です。電話をかけると、最寄りのセンターにつながります。
ワンストップ支援センターでは、相談内容に応じて、法律相談や弁護士の紹介、警察への同行支援、心理的な支援、医療的な支援などにつなぐことができます。契約の解除期間が分からない、違約金を請求された、映像を消してほしいといった段階でも、相談を検討してください。地域によって受付時間が異なるため、つながったセンターの案内を確認することが大切です。
- #8891(はやくワンストップ):AV出演契約の取消し・解除、映像の公表停止、性暴力被害に関する相談。
- 188(消費者ホットライン):契約トラブル、モデル事務所の登録料やレッスン料など、消費者問題に関する相談。地域の消費生活センターなどにつながる。
- #9110(警察相談専用電話):脅迫や強引な勧誘などについて、警察に相談したい場合の窓口。
- #8103(性犯罪被害相談電話):性犯罪・性暴力に関する警察の相談窓口。
- 性暴力に関するSNS相談「Cure time」:電話で話すことが難しい場合に、チャットなどで相談できる窓口。
相談する前に、契約書、説明書面、募集広告、SNSのメッセージ、メール、違約金の請求書、振込記録などを手元にまとめておくと、状況を説明しやすくなります。資料がそろっていなくても、相談を先延ばしにする必要はありません。
また、相手から現在進行形で脅迫されている、帰宅を妨げられている、撮影や性行為を強要されているなど、身の安全に関わる状況では、契約解除の通知を作ることよりも安全な場所への移動と警察への連絡を優先してください。
【騙されてAV】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:AV出演契約を結んだ後でも、解除できますか?
A1:できます。AV出演被害防止・救済法では、一定の条件のもとで、撮影前や撮影後・公表前、公表後の所定期間に任意解除が認められています。公表後の解除期間は契約日によって異なるため、契約書と公表日を確認し、#8891などの窓口に相談してください。
Q2:AV出演を断ったら高額な違約金を請求されました。払う必要がありますか?
A2:法律に基づく任意解除をしたこと自体を理由に、違約金や損害賠償を負担することはありません。ただし、相手がどの契約や費用を根拠に請求しているかによって確認が必要な場合もあります。すぐに支払わず、請求書やメッセージを保存し、消費生活センターやワンストップ支援センターなどに相談してください。
Q3:すでにAV映像が公開されています。削除してもらえますか?
A3:法律上の要件を満たす場合、制作・公表の停止や予防などを請求できる可能性があります。契約解除によって公開済みの映像が自動的にすべて削除されるわけではないため、掲載先や作品タイトルを記録し、制作側や配信側への対応を含めて専門窓口に相談してください。
まとめ:AV出演被害を防ぎ、契約解除と救済につなげる判断基準
「騙されてAV」という問題を考えるうえで、まず押さえたいのは、モデルや芸能関係の仕事に応募したことと、AV出演に同意したことは同じではないという点です。募集時の説明と実際の仕事内容が異なる場合や、断ると違約金・損害賠償を示唆される場合は、相手の主張をそのまま受け入れず、契約内容と法律上の権利を確認する必要があります。
AV出演被害防止・救済法では、契約書や説明書面の交付、撮影までの1か月、公表までの4か月、契約の取消し・解除、映像の公表停止などについてルールが定められています。とりわけ2026年は、2024年6月23日から2025年6月22日までに締結した契約について、2026年12月22日まで解除できる場合がある点を知っておくことが重要です。
被害を受けた本人が一人で交渉し続ける必要はありません。契約書やメッセージなどの記録を保存し、#8891、188、警察など、相談内容に合った窓口につながることが、被害の拡大を防ぐ第一歩になります。出演を断りたい場合も、映像の公開を止めたい場合も、できるだけ早く専門的な支援を求めてください。