2026年10月現在、六代目山口組は、依然として国内最大規模の指定暴力団として警察当局の監視と取締りの対象になっている。2015年の分裂を起点とする対立抗争では、2026年9月に池田組、絆會との特定抗争指定が相次いで解除された。一方、神戸山口組との特定抗争指定は継続しており、対立関係が全面的に解消されたわけではない。
警察庁の公表資料や各都道府県警察の情報によると、六代目山口組の構成員数は2025年末時点で約3,100人。勢力範囲は1都1道2府40県に及ぶ。組長の篠田建市氏が率いる組織の現状を理解するには、人数や地理的な広がりだけでなく、2015年の分裂に至った背景、暴力団対策法による規制、2026年の指定解除が意味するものを整理する必要がある。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 組織の現状:六代目山口組の組長は篠田建市氏で、2025年末の構成員数は約3,100人。
- 分裂と対立:2015年8月に神戸山口組が結成され、その後、池田組や絆會も関係する対立構造へと発展した。
- 2026年の最新動向:池田組との特定抗争指定は10月8日、絆會との指定は9月21日に解除されたが、神戸山口組との指定は2027年1月6日まで延長されている。
【六代目山口組とは】組長・構成員数・勢力範囲を2026年最新データで確認
六代目山口組は、兵庫県神戸市に主たる事務所を置く指定暴力団である。山口組の歴史を引き継ぐ組織として2005年に六代目体制が発足し、現在も篠田建市氏が組長を務めている。篠田氏は「司忍」の通称でも知られる。
大阪府警察の指定暴力団一覧表では、六代目山口組の主たる事務所は神戸市灘区、代表する者は篠田建市氏、勢力範囲は1都1道2府40県、構成員数は約3,100人と公表されている。これらは警察が把握した組織の規模を示す数値であり、組織が各地域を一律に支配しているという意味ではない。
構成員数の最新の年間統計として押さえておきたいのが、2025年末の数字だ。警察庁の公表資料を基にした2026年の集計では、六代目山口組の構成員は約3,100人、準構成員等は約3,200人。合計すると約6,300人となる。準構成員等は、正式な構成員とは区別されるが、暴力団の活動に関係する周辺者などを含む区分である。
同じ2025年末の全国統計では、暴力団構成員は約9,400人、準構成員等を含めた総数は約17,600人だった。六代目山口組の構成員約3,100人は、全国の構成員総数の約3分の1に当たる。全国の暴力団勢力が減少を続けるなかでも、同組が大きな比重を占めていることが分かる。なお、構成員数と準構成員等を合算した勢力数は別の指標であり、混同しないことが重要だ。
出典:大阪府警察「指定暴力団一覧表」、全国暴力追放運動推進センター「暴力団情勢と対策」、警察庁の公表資料に基づく2025年末の統計。
【歴代組長と組織の変遷】六代目体制に至るまでの歩み
山口組の起源は1915年にさかのぼる。初代組長の山口春吉氏が神戸を拠点に組織を立ち上げ、その後、代替わりを経て全国規模へと勢力を広げた。歴代組長の変遷は、組織の拡大だけでなく、内部の権力構造や後継者選びが組織運営に大きな影響を及ぼしてきた歴史でもある。
一般に整理される歴代組長は、初代・山口春吉氏、二代目・山口登氏、三代目・田岡一雄氏、四代目・竹中正久氏、五代目・渡辺芳則氏、六代目・篠田建市氏の6人だ。特に田岡氏の時代には全国への進出が進み、1980年代の四代目継承をめぐっては深刻な抗争が発生した。その後、渡辺氏の五代目体制を経て、2005年に篠田氏が六代目を継承した。
六代目体制の発足から約10年後に起きたのが、2015年の分裂である。山口組の分裂は、単なる名称の変更や一部組員の離脱ではなく、主要な傘下組織が独立して別の指定暴力団を形成する事態となった。その後の対立は、複数の組織を巻き込む長期的な問題へと発展していく。
【2015年の分裂理由】神戸山口組との対立はなぜ長期化したのか
2015年8月27日、山口組の直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成した。神戸山口組では、山健組の井上邦雄氏がトップに就き、兵庫県内を拠点とする新組織が発足した。警察庁の資料も、同年8月末を六代目山口組の分裂の起点として整理している。
分裂の背景については、当時の報道で、篠田氏の出身母体である弘道会を優遇するように見える組織運営への不満や、高額な上納金制度への反発などが指摘された。これらは分裂を理解するうえで重要な要素だが、内部の利害や人事、組織運営をめぐる問題が複合した結果とみる必要がある。
分裂後は双方の衝突が相次ぎ、警察庁は2016年3月に対立抗争状態と判断した。同年4月には兵庫県公安委員会が神戸山口組を指定暴力団に指定。その後も銃器を使用した事件などが発生し、2019年以降には対立がさらに深刻化した。警察当局は、組織間の争いが一般市民や周辺地域の安全を脅かす危険性を重視してきた。
さらに2017年4月には、神戸山口組から一部の組織が離脱して任侠山口組の結成を表明した。同組織はその後、任侠山口組へと名称を変更し、2020年2月に絆會へ改称した。また、池田組は2020年7月に神戸山口組からの離脱を表明し、独立した組織として活動するようになった。
こうして、当初は六代目山口組と神戸山口組の対立だった構図が、池田組や絆會を含む複数の組織間の対立へと広がった。分裂の経緯を追う際には、各組織の結成・離脱と、警察による指定の時期を分けて理解することが重要だ。
| 時期 | 主な出来事 | 意味・その後の展開 |
|---|---|---|
| 2015年8月 | 直系組長13人が離脱し、神戸山口組を結成 | 六代目山口組の分裂が表面化 |
| 2016年3~4月 | 警察庁が対立抗争状態と判断。神戸山口組を指定暴力団に指定 | 対立が警察当局による正式な対策の対象となる |
| 2017年4月 | 神戸山口組の一部が任侠山口組の結成を表明 | 分裂後の対立構造がさらに複雑化 |
| 2020年1~2月 | 六代目山口組と神戸山口組が特定抗争指定を受け、任侠山口組は絆會へ改称 | 抗争対策の規制が強化される |
| 2022年12月 | 六代目山口組と池田組が特定抗争指定を受ける | 池田組との対立にも特別な行動制限が適用される |
| 2024年6月 | 六代目山口組と絆會が特定抗争指定を受ける | 対立関係に対する規制対象が拡大 |
| 2026年9月 | 池田組との指定が10月8日、絆會との指定が9月21日に解除 | 両組織との特定抗争指定が終了 |
| 2026年10月 | 神戸山口組との特定抗争指定を2027年1月6日まで延長 | 六代目山口組をめぐる特定抗争指定は継続 |
出典:警察庁「暴力団対策法の運用」、警察庁の組織犯罪情勢に関する公表資料、神戸新聞の山口組分裂関連報道。
【2026年の最新状況】池田組・絆會との指定解除と神戸山口組との対立
2026年の六代目山口組をめぐる最大の変化は、対立する3組織との間で適用されていた特定抗争指定のうち、池田組と絆會に関する指定が解除されたことだ。ただし、解除されたのはそれぞれの組織間に適用されていた特定抗争指定であり、池田組や絆會そのものが指定暴力団ではなくなったという意味ではない。
池田組との指定解除は2026年10月8日付。兵庫県など7府県の公安委員会は、抗争とみられる事件が約2年間発生していないことなどを踏まえ、指定期限を延長しない方針を決めた。池田組は2015年に山口組を離れ、神戸山口組の結成に加わった後、2020年に神戸山口組からの離脱を表明している。六代目山口組との間では2022年12月から特定抗争指定が適用されていた。
絆會との指定解除は2026年9月21日付。兵庫県など8府県の公安委員会は、両組織の抗争とみられる事件が約3年5カ月間発生していないことなどから、指定期限を延長しないと判断した。六代目山口組と絆會の間では2024年6月から特定抗争指定が適用されていた。
一方、神戸山口組との特定抗争指定は継続している。兵庫県公安委員会は2026年10月5日、両組織への指定期限を3カ月延長し、2027年1月6日までとすることを公示した。2020年の指定開始以来、延長は27回目となる。兵庫県内では神戸市、姫路市、尼崎市、高砂市、稲美町などが警戒区域に含まれている。
つまり、2026年10月25日時点の状況は、池田組と絆會との特定抗争指定は解除済みで、神戸山口組との指定は継続中というものだ。3組織すべてとの指定が解除されたわけではない。また、指定解除は警察当局が対立状況を評価した結果であり、組織間のあらゆる問題が消滅したことを保証するものでもない。
出典:神戸新聞の2026年9月の指定解除報道、サンテレビの2026年10月5日付指定期限延長報道、各府県公安委員会の公表情報。
【指定暴力団とは】特定抗争指定の仕組みと一般市民への影響
指定暴力団とは、「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」に基づき、一定の要件を満たす団体として都道府県公安委員会が指定した暴力団を指す。指定を受けると、暴力的な要求行為などに対して中止命令等を出す法的な仕組みが適用され、警察当局による取締りの枠組みが整備される。
一方、特定抗争指定暴力団等の指定は、暴力団間の対立抗争が激化し、市民生活に重大な危険を及ぼすおそれがある場合に、抗争の抑止を目的として行われる措置だ。通常の指定暴力団としての指定とは別の制度であり、対立する組織の活動を警戒区域内で制限する点に特徴がある。
具体的には、警戒区域内での事務所の使用や新設、対立する組員へのつきまとい、事務所周辺でのうろつき、おおむね5人以上での集結など、一定の行為が禁止される。違反した場合には、法律に基づく命令や罰則の対象となることがある。規制の対象地域や具体的な制限は、指定の内容や警戒区域によって異なる。
ここで注意したいのは、「特定抗争指定が解除された」というニュースを「暴力団の指定そのものが解除された」と読み替えないことだ。今回の池田組・絆會との指定解除は、六代目山口組との関係における特定抗争指定が終了したという意味であり、各組織の法的な指定状況とは別に考えなければならない。
また、指定解除が行われた地域でも、一般市民が暴力団関係者と関わることを推奨するものではない。暴力団排除条例や各種法令による規制は別途存在する。事業者や住民にとっては、指定の有無だけで安全性を判断せず、警察や自治体が発信する情報を確認することが重要になる。
出典:e-Gov法令検索「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」、兵庫県警察の暴力団対策法の運用に関する案内。
【今後の動向】指定解除は抗争終結を意味するのか
六代目山口組の今後を考えるうえで、まず注目すべきなのは神戸山口組との特定抗争指定が続いている点だ。池田組・絆會との指定解除は、対立とみられる事件が一定期間発生していないことなどを受けた措置だが、神戸山口組との関係については、公安委員会が対立抗争の終結を認めていない。
また、構成員数の推移も見逃せない。六代目山口組の構成員は2025年末に約3,100人となり、前年から約200人減少した。準構成員等も減少傾向にあり、全国の暴力団勢力全体でも縮小が続いている。こうした数字は組織の規模を測る材料になるが、人数の減少だけで抗争リスクや資金獲得活動の実態まで判断することはできない。
警察庁は暴力団対策に加え、SNSや求人サイトなどを通じて実行役を集める匿名・流動型犯罪グループへの対策も進めている。暴力団と関係を持つ集団が存在する場合もあるため、従来型の暴力団の構成員数だけでは、組織犯罪全体の動向を把握しきれないという課題もある。
今後の判断材料となるのは、神戸山口組との指定が延長されるかどうか、警戒区域や規制内容が変更されるか、対立に起因するとみられる事件が発生するか、そして警察が公表する構成員数や周辺勢力の動向だ。単発の報道やSNS上の未確認情報だけで「抗争が終わった」「組織が弱体化した」と断定するのは適切ではない。
【六代目山口組】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年現在、六代目山口組の組長は誰ですか?
A1:組長は篠田建市氏で、「司忍」の通称でも知られています。大阪府警察の指定暴力団一覧表でも、代表する者として篠田氏が掲載されています。
Q2:六代目山口組の構成員数は何人ですか?
A2:2025年末時点の公表統計では、構成員数は約3,100人です。準構成員等は約3,200人で、両者を合わせた勢力は約6,300人となります。構成員数と準構成員等を含む総数は異なる指標です。
Q3:池田組・絆會との特定抗争指定が解除されたのはなぜですか?
A3:両組織との間で抗争とみられる事件が一定期間発生していないことなどを踏まえ、関係する公安委員会が指定期限を延長しないと判断したためです。池田組との指定は2026年10月8日、絆會との指定は同年9月21日に解除されました。ただし、神戸山口組との特定抗争指定は継続しています。
まとめ:2026年の六代目山口組を正しく理解するために
六代目山口組は、篠田建市氏を組長とする指定暴力団で、2025年末の構成員数は約3,100人、勢力範囲は1都1道2府40県と公表されている。2015年8月の分裂以降、神戸山口組との対立を軸に、池田組や絆會を含む複数の組織間で抗争対策が取られてきた。
2026年は、池田組との特定抗争指定が10月8日、絆會との指定が9月21日に解除された一方、神戸山口組との指定は2027年1月6日まで延長された年となった。この違いを理解することが、最新情勢を読み解くうえでの出発点になる。
今後は、指定の延長・解除だけでなく、警察庁が公表する構成員数、対立抗争に起因するとみられる事件の発生状況、警戒区域の変更を総合的に確認することが重要だ。指定解除を全面的な抗争終結と混同せず、公的資料と確認された報道に基づいて状況を判断する必要がある。