「以前はよく見かけたのに、近所のかっぱ寿司がなくなった」「スシローやはま寿司に比べて、店舗が少なくなった気がする」――そんな疑問を持つ人もいるのと考えられます。2026年10月現在、かっぱ寿司では大阪・奈良・和歌山の4店舗が同時に閉店する一方、名古屋や富山では新規出店が続いています。店舗網は一律に縮小しているわけではなく、地域ごとの変化を見極める必要があります。
業績にも課題があります。運営会社のカッパ・クリエイトは、2026年3月期に営業利益が前期比62.9%減となり、最終損益も赤字に転落しました。しかし、2026年9月の既存店売上高は前年同月比105.4%で、客数も103.3%に伸びています。店舗数の減少、客数の落ち込み、会社全体の業績悪化は、それぞれ分けて考えることが大切です。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 店舗数の変化:2026年10月には関西の4店舗が閉店した一方、名古屋や富山では新店がオープンしている。
- 業績悪化の背景:2026年3月期は売上高がほぼ横ばいだったものの、営業利益は約63%減少し、最終赤字となった。
- 人気低迷の実態:2026年4~9月の既存店客数は前年同期比102.0%。客数だけでは説明できず、客単価やコスト、競合との差も見る必要がある。
【結論】かっぱ寿司はなぜ減った?店舗の閉店と人気低迷は別問題
かっぱ寿司が減ったと感じる背景には、近隣店舗の閉店、大手回転寿司チェーンとの競争、そして運営会社の収益力低下という複数の要因があります。ただし、全国的に客が離れ続けていると判断するには、2026年の最新データは異なる姿を示しています。
象徴的なのが、2026年10月12日の関西4店舗の閉店です。大阪府の貝塚店と堺美原店、奈良県の奈良柏木店、和歌山県の和歌山店が同日に営業を終了しました。特定地域で複数店がなくなれば、利用者が「かっぱ寿司を見かけなくなった」と感じるのは自然なことです。
一方、カッパ・クリエイトは2026年6月3日に名古屋市中区の久屋大通店、7月3日に名古屋市港区の名古屋みなと店をオープン。9月10日には富山県射水市にアイタウン射水店を出店しています。
つまり、閉店だけでなく新規出店も進んでいます。重要なのは、閉店した店舗の数だけでブランド全体を評価するのではなく、どの地域から撤退し、どこに投資しているのか、さらに既存店の売上や利益がどう変化しているのかを確認することです。
【店舗数の推移】2026年は関西で閉店、名古屋・富山では新規出店
かっぱ寿司の店舗数は、調査時点や集計方法によって数字が異なります。カッパ・クリエイトの2026年3月期決算短信では、国内回転寿司事業の期末店舗数は299店舗でした。日本ソフト販売のチェーン店舗数調査では、2025年7月の296店舗から2026年7月には301店舗へ増加しています。
ところが、店舗一覧を集計する外部データベース「LocationsDB」では、2026年10月25日時点の国内店舗数は294店舗とされています。決算資料、特定時点のチェーン調査、更新型の店舗データベースでは集計時点や対象の扱いが異なるため、これらを完全に同一条件の連続した統計として扱うことはできません。
2026年10月28日時点で確認できる主な数字を整理すると、次のとおりです。
| 時期・項目 | 確認できる数値・動き | 読み取れるポイント |
|---|---|---|
| 2025年7月 | 296店舗 | 日本ソフト販売によるチェーン店舗数調査 |
| 2026年3月末 | 299店舗 | カッパ・クリエイトの決算資料における期末店舗数 |
| 2026年7月 | 301店舗 | 日本ソフト販売の調査では前年同月から5店舗増加 |
| 2026年10月25日 | 294店舗 | LocationsDBによる店舗一覧の集計。上記の公式期末数とは集計時点・方法が異なる |
| 2026年4~9月 | 既存店売上高99.6%、客数102.0% | 売上高は前年同期をわずかに下回る一方、客数は前年同期を上回った |
| 2026年3月期 | 連結営業利益5億3,200万円、最終損失3億9,400万円 | 売上規模を維持しても利益を確保できていない |
| 2027年3月期第1四半期 | 連結売上高177億5,100万円、営業損失7億700万円 | 2026年4~6月も厳しい収益状況が続いた |
店舗の入れ替わりを示す具体例が、2026年10月12日の関西4店舗の閉店と、愛知県・富山県での出店です。カッパ・クリエイトは決算資料で、「大都市駅前」「郊外型商業施設・ロードサイド」「新規商圏でのポジション確立」の3つを出店の軸に挙げています。
こうした動きからは、全国一律に店を減らすというより、立地や商圏を見直しながら店舗網を組み替えている姿がうかがえます。ただし、個別店舗の閉店理由が公表されていない場合、採算悪化や来店客の減少をその店の直接的な原因と断定することはできません。
【閉店理由】なぜ関西の4店舗がなくなったのか?
かっぱ寿司の閉店理由を考えるうえで、最初に押さえたいのは、閉店の発表とその原因の説明は別だという点です。2026年10月に営業を終了した貝塚店、堺美原店、奈良柏木店、和歌山店について、会社の告知は閉店日を伝えていますが、各店の閉店理由を具体的に説明しているわけではありません。
外食チェーンが店舗の継続・撤退を判断するときには、一般に次のような要素が関係します。
- 立地と商圏:周辺の人口や交通量、買い物客の動きが変化していないか。
- 店舗の収益性:売上高だけでなく、家賃、人件費、光熱費などを差し引いて利益が確保できるか。
- 競合環境:近隣の回転寿司チェーンや飲食店との競争が激しくなっていないか。
- 設備投資の必要性:老朽化した店舗を改装して営業を続けることが、費用に見合うか。
- 出店戦略との整合性:近隣の別店舗や新たな商圏に経営資源を振り向けたほうがよいか。
これらは一般的な経営判断の観点であり、閉店した4店舗について会社が明らかにした個別の理由ではありません。実際の閉店要因を判断するには、店舗別の採算や会社からの説明が必要です。
注目したいのは、閉店と同時に新店への投資も続いていることです。名古屋では久屋大通店と名古屋みなと店を開き、富山ではアイタウン射水店を出店しました。関西の既存店を閉めながら別の商圏に出店する動きは、店舗数そのものの拡大だけでなく、立地ごとの収益性や将来の集客力を重視する戦略として理解できます。
近所の店舗が閉店したからといって、直ちに全国的な撤退や経営破綻を意味するわけではありません。店舗の閉鎖と新規出店を合わせて見ることが、実態を把握するうえで欠かせません。
【業績悪化の真相】客数減少より深刻なのは利益率とコストの問題
「かっぱ寿司は人気が落ちて客が減ったから、業績が悪化した」という見方は、2026年の数字をそのまま説明できるものではありません。売上高と客数、客単価を分けて確認すると、異なる傾向が見えてきます。
カッパ・クリエイトの公式月次レポートによると、2026年4~9月の国内回転寿司事業の既存店売上高は前年同期比99.6%、客数は102.0%、客単価は97.7%でした。客数は前年同期を2.0%上回っていますが、客単価は2.3%下回り、売上高は前年同期にわずかに届いていません。
つまり、2026年度上期の既存店では、客数が一律に落ち込んだというより、客単価の低下が売上高を押し下げる方向に働いていました。
月ごとの動きにも波があります。2026年6月は既存店売上高が前年同月比92.1%、客数が93.5%でしたが、9月には売上高105.4%、客数103.3%、客単価102.1%へ回復しました。9月単月の数字だけで長期的な復調を断定することはできないものの、少なくとも直近の月次データは、客数が一方向に減少し続けているという説明とは一致しません。
一方、会社全体の決算は厳しい状況です。2026年3月期の連結売上高は731億9,300万円で前期とほぼ同水準でしたが、営業利益は5億3,200万円と前期比62.9%減少。経常利益も5億9,200万円に落ち込み、親会社株主に帰属する当期純損益は3億9,400万円の赤字となりました。
この数字が示すのは、売上高が大幅に縮小しなくても、利益は急激に減り得るということです。カッパ・クリエイトの決算資料では、国内回転寿司事業の売上高は592億4,500万円で前期比0.5%減、セグメント利益は5億1,500万円で前期比63.1%減でした。会社は物価上昇や実質賃金の伸び悩みに加え、原材料、エネルギー、物流などのコスト環境や人手不足を経営上の課題に挙げています。
加えて、2026年4~6月の2027年3月期第1四半期は、連結売上高177億5,100万円で前年同期比2.4%減、営業損益は前年同期の3億2,200万円の黒字から7億700万円の赤字に転落しました。売上原価や販売費及び一般管理費も前年同期を上回っています。
ただし、四半期決算は寿司事業だけの数字ではありません。カッパ・クリエイトはデリカ事業なども展開しているため、連結損益をそのまま「かっぱ寿司の客離れによる損失」と読み替えることはできません。店舗の集客力と、会社全体が利益を残す力は、分けて評価する必要があります。
【競合比較】スシロー・はま寿司・くら寿司との差はどこにある?
かっぱ寿司の存在感を考えるうえでは、回転寿司市場の競争環境も重要です。日本ソフト販売の2026年7月時点の店舗数調査では、はま寿司677店舗、スシロー667店舗、くら寿司557店舗、かっぱ寿司301店舗でした。かっぱ寿司も前年同月の296店舗から増加していますが、大手3ブランドと比べると店舗網の規模に差があります。
店舗数の差は、消費者がブランドに触れる機会にも影響します。通勤・通学先や買い物先、幹線道路沿いで目にする店舗が多ければ、日常的な利用候補になりやすくなります。ただし、店舗数だけで商品の魅力や顧客満足度の優劣が決まるわけではありません。
既存店の売上動向を比較すると、2026年4~9月のカッパ・クリエイトの既存店売上高は前年同期比99.6%でした。一方、はま寿司の公式月次資料では同期間の既存店売上高が108.4%、客数101.8%、客単価106.6%となっています。スシローも公式月次資料で、2026年4~9月の既存店売上高が前年同期を上回る推移を示しています。
なお、月次売上高の集計方法や既存店の定義は各社で異なる場合があります。数値は競争環境を知る参考になりますが、厳密に同じ条件で測定した市場シェアや顧客満足度のランキングではありません。
各ブランドを利用者の視点から比較する場合、確認したい要点は次のとおりです。
- かっぱ寿司:店舗ごとの利用しやすさに加え、期間限定商品、食べ放題、割引施策などが自分の利用目的に合うか。
- スシロー:近隣店舗の立地、利用したい商品のラインアップ、混雑状況や注文のしやすさを確認する。
- はま寿司:近隣店舗の営業時間や価格帯、利用したいメニューを比較する。
- くら寿司:価格やメニューに加え、店舗独自のサービスや家族での利用のしやすさを確認する。
かっぱ寿司の課題は、単に競合より店舗が少ないことだけではありません。競合が店舗網を広げ、既存店売上高を伸ばすなかで、かっぱ寿司が継続して選ばれる理由をどう強めるかが問われています。商品の魅力、価格、接客、注文の利便性を総合的に磨くことが、継続的な集客につながる条件です。
【評判・口コミと経営戦略】かっぱ寿司は今後、人気を取り戻せるのか
かっぱ寿司の評判や口コミを調べるときは、個々の店舗に対する評価とブランド全体への評価を混同しないことが大切です。寿司の品質、商品の提供速度、スタッフの対応、店内の清潔さ、混雑状況などは、店舗や利用時間帯によって評価が変わり得ます。特定の店舗に関する投稿だけで、全国の利用者が一斉に離れていると判断することはできません。
会社側も、集客力の回復と店舗運営の効率化を並行して進めています。2026年3月期の決算資料によると、同年度には22店舗を改装。注文専用の高速レーン、自動案内システム、セルフレジ、スマートフォンによる注文、テイクアウト専用ロッカーなどを導入し、顧客の利便性向上と省力化を進めました。
また、期間限定商品の販売や価格施策、食べ放題、アプリを通じた販促なども実施しています。価格だけで競うのではなく、商品やサービスの価値を高め、再来店につなげることが狙いです。
その背景には、コロワイドグループの経営戦略もあります。カッパ・クリエイトは2014年12月にコロワイドの連結子会社となりました。コロワイドグループは食材の調達、製造、物流などの機能をグループ全体で活用し、商品を適切な価格で提供するための仕組みを掲げています。
こうしたグループの調達力や店舗運営のノウハウは、コストを抑えながら商品やサービスを改善するうえで強みになり得ます。ただし、グループの規模が大きいこと自体が、かっぱ寿司の集客力や利益率の改善を保証するわけではありません。実際の成果は、既存店の売上、客単価、利益、そして店舗ごとの投資効果に表れるかどうかで判断する必要があります。
今後の動向を見る際は、次の4つが重要な判断材料になります。
- 既存店売上高:一時的なキャンペーンだけでなく、前年を上回る状態が継続するか。
- 客数と客単価:値引きで来店客が増えても、客単価が下がりすぎていないか。
- 営業利益:売上高の回復が、原材料費や人件費などを差し引いた利益の改善につながっているか。
- 店舗の純増減:閉店数だけでなく、新規出店や改装の効果を含めて店舗網が改善しているか。
とくに注意したいのは、売上高が伸びても利益が増えるとは限らないことです。値引きや販促で客数を増やす施策と、適切な価格設定や店舗運営の効率化を両立できるかどうかが、かっぱ寿司の再成長を左右します。
【かっぱ寿司なぜ減った】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:かっぱ寿司は2026年に全国で店舗数を減らしているのですか?
A1:地域によって状況が異なります。2026年10月12日には関西の4店舗が閉店しましたが、同年には名古屋や富山で新規出店もありました。店舗数の推移を判断する際は、閉店と出店の両方を確認する必要があります。
Q2:2026年現在、かっぱ寿司は何店舗ありますか?
A2:カッパ・クリエイトの2026年3月期決算資料では、期末店舗数は299店舗です。日本ソフト販売の調査では2026年7月に301店舗、LocationsDBの2026年10月25日時点の集計では294店舗となっています。基準日や集計方法が異なるため、数字を比較する際は出典と時点を確認してください。
Q3:かっぱ寿司は客数が減って人気がなくなったのでしょうか?
A3:2026年4~9月の既存店客数は前年同期比102.0%で、9月単月も103.3%でした。一方、同期間の既存店売上高は99.6%、客単価は97.7%です。客数の減少だけで人気低迷や業績悪化を説明することはできません。
Q4:かっぱ寿司の業績が悪化した最大の理由は何ですか?
A4:2026年3月期は売上高がほぼ横ばいだった一方、営業利益が前期比62.9%減少しました。会社は原材料費やエネルギー価格の上昇、人手不足などのコスト課題を挙げています。店舗の集客だけでなく、コスト管理や客単価、店舗運営の効率も重要な要素です。
Q5:かっぱ寿司は今後、閉店がさらに増えるのでしょうか?
A5:2026年10月28日時点で、今後の閉店数を確定的に示す情報はありません。会社は新規出店や店舗改装も進めています。今後は閉店の発表だけでなく、既存店売上高、営業利益、新規出店の状況を合わせて判断するのが適切です。
まとめ:かっぱ寿司の今後は店舗数より収益力と顧客体験がカギ
「かっぱ寿司はなぜ減ったのか」という疑問に対する答えは、店舗数の変化だけでは説明できません。2026年10月には関西の4店舗が閉店した一方、名古屋や富山では新規出店が続いています。特定の地域で店舗が減ったことと、ブランド全体の人気が落ちたことは、同じ意味ではありません。
業績面では、2026年3月期の営業利益が前期比62.9%減となり、最終赤字に転落した点が大きな課題です。ただし、2026年4~9月の既存店客数は前年同期を上回っており、客数の減少だけで経営状況を説明することもできません。客単価やコスト、店舗ごとの収益性を併せて見る必要があります。
【プロの結論】 かっぱ寿司の今後を見極めるうえで注目すべきなのは、店舗が何店あるかという数字だけではなく、既存店で継続して客を集められるか、売上高を利益につなげられるか、そして新規出店や改装が成果を生んでいるかという3点です。
利用者にとっても、近所の店舗が閉店したという事実だけでブランド全体を評価する必要はありません。実際に利用する店舗のメニュー、価格、混雑状況、サービスを比較すれば、自分に合った店を選びやすくなります。かっぱ寿司が競合との差を縮められるかどうかは、これからの月次売上高と決算に表れてくるはずです。