2026年3月、京都府南丹市で11歳の安達結希さんが行方不明となり、約3週間後に山林で遺体となって発見された事件。京都府警の捜査によって、結希さんの養父である安達優季被告が逮捕され、京都地検は5月28日、殺人罪と死体遺棄罪で起訴した。
事件の動機として大きな注目を集めているのが、安達被告が捜査段階で供述したと報じられた「本当のお父さんじゃないのに」と言われたことへの怒りだ。2025年に結希さんの母親と結婚し、養父となった安達被告と結希さんの間で、何が起きていたのか。親子関係をめぐるトラブルが事件にどう関係したのかが焦点になっている。
2026年8月31日には京都地裁で第1回公判前整理手続きが実施された。10月30日現在、注目されるのは、捜査段階で伝えられた動機の供述と、今後の刑事裁判で明らかになる事実との関係だ。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 動機の供述:安達優季被告は、結希さんから「本当のお父さんじゃないのに」と言われたことなどに腹を立てたという趣旨の供述をしたと報じられている。
- 事件の経緯:2026年3月23日に結希さんが行方不明となり、4月13日に遺体を発見。5月28日に養父が殺人・死体遺棄罪で起訴された。
- 裁判の現状:8月31日に京都地裁で公判前整理手続きが始まった。供述の信用性や犯行に至る経緯などが今後の注目点となる。
【事件の概要】京都府南丹市で何が起きた?安達結希さんの行方不明から事件発覚まで

事件が起きたのは、京都府南丹市にある南丹市立園部小学校の周辺地域だ。
安達結希さんは当時11歳。同校に通う児童で、2026年3月23日の朝、父親の車で学校へ向かった後、行方が分からなくなった。
当初、安達優季被告は警察に対し、結希さんを車で小学校まで送り届けたと説明していた。しかし、学校の防犯カメラには結希さんの姿が確認されず、登校したという目撃情報も得られなかった。
学校側が欠席を確認し、母親に連絡したことで行方不明が発覚。正午ごろには安達被告が110番通報し、警察による捜索が始まった。
3月29日には通学用リュックが発見され、4月12日には黒色のスニーカーが見つかった。そして翌13日午後4時45分ごろ、南丹市内の山林で子どもとみられる遺体が発見された。
翌14日、京都府警はDNA型鑑定などから遺体が安達結希さんと確認したと発表。司法解剖では当初、死因は不詳とされ、死亡時期は3月下旬ごろと推定された。
その後、捜査は大きく進展する。4月16日、安達優季容疑者が死体遺棄容疑で逮捕され、5月6日には殺人容疑で再逮捕。京都地検は5月28日に殺人罪と死体遺棄罪で起訴した。
つまり、この事件は単なる行方不明事案から、養父が殺人と死体遺棄の罪で起訴された刑事事件へと発展したのである。
【事件発生から遺体発見まで】2026年3月23日からの重要な時系列
事件の動機を理解するためには、3月23日の朝から4月の逮捕に至るまでの経緯を整理する必要がある。特に、結希さんの所持品が別々の場所で発見されたことや、遺体の移動に関する捜査報道は要点だ。
| 年月日 | 出来事 | 確認された内容 |
|---|---|---|
| 2026年3月23日 | 行方不明 | 父親の車で学校へ向かった後、登校が確認されず。正午ごろ110番通報。 |
| 3月25日 | 公開捜査 | 京都府警が顔写真などを公開して情報提供を呼びかけた。 |
| 3月29日 | リュック発見 | 園部小学校から西約3キロの山中で通学用リュックを発見。 |
| 4月12日 | 靴を発見 | 南丹市内の山中で黒色スニーカーを発見。 |
| 4月13日 | 遺体発見 | 午後4時45分ごろ、園部小学校から南西約2キロの山林で発見。 |
| 4月14日 | 身元確認 | 遺体が安達結希さんと判明。死亡時期は3月下旬ごろ、当初の死因は不詳。 |
| 4月16日 | 養父を逮捕 | 安達優季容疑者を死体遺棄容疑で逮捕。 |
| 5月6日 | 殺人容疑で再逮捕 | 公衆トイレで結希さんを殺害した疑い。 |
| 5月28日 | 正式起訴 | 京都地検が殺人罪・死体遺棄罪で起訴。 |
| 8月31日 | 公判前整理手続き | 京都地裁で第1回手続き。安達被告も出席。 |
この時系列で重要なのは、リュック、靴、遺体が同じ場所で一度に発見されたわけではない点だ。
京都府警の捜査では、スマートフォンの位置情報なども分析され、捜索範囲が絞り込まれていったと報じられている。
また、5月の再逮捕に関する報道では、安達被告が殺害後、遺体を自宅裏の山中、リュックの発見場所、スニーカーの発見場所などに移動させた疑いが伝えられた。所持品についても、遺体を移動させた後に回収して別々の場所へ捨てたという趣旨の説明が報じられている。
最終的な遺体の遺棄場所や移動の詳しい経緯については、京都地検が提出した起訴状の内容と、今後の裁判での証拠調べを区別して見る必要がある。
【父親の動機】「本当のお父さんじゃないのに」と言われた供述の真相
この事件で最も注目されているのが、安達優季被告の動機に関する供述だ。
2026年5月7日付の毎日新聞などの報道によると、安達被告は逮捕前の任意聴取で、結希さんから「本当の父親じゃないのに」と言われたことなどに腹を立て、殺害したという趣旨の説明をしていたとされる。
「本当のお父さんじゃないのに」と言われたことなどに腹が立って殺した。
これは捜査関係者への取材をもとに報じられた供述の趣旨であり、法廷で確定した事実や、裁判で正式に認定された動機ではない。
「父親じゃない」という言葉が事件の引き金になったのか
報道によれば、安達被告は結希さんの母親と2025年に結婚し、養父となった。結希さんとの間には、実父と養父という親子関係の違いがあった。
捜査関係者による説明として報じられた内容では、事件当日の3月23日、学校へ向かう途中の車内などで結希さんとの間に口論があり、父親ではないという趣旨の言葉に立腹したとされている。
一方、安達被告は逮捕前の任意聴取で「衝動的に首を絞めて殺してしまった」という趣旨の供述もしていたとFNNなどが報じた。
この二つの情報から見えてくるのは、被告側の説明では、親子関係をめぐる言葉のやり取りが犯行のきっかけとして位置づけられていることだ。
「衝動的だった」という説明と遺体移動の関係
もう一つ注目されるのが、殺害に至るまでの経緯と、その後の行動との関係である。
捜査報道では、殺害後に遺体を複数の地点へ移動させたことや、所持品を別々の場所に捨てたことが伝えられている。
また、一部報道では、遺体を移動させた理由について、捜索が及ぶ可能性を考えたという趣旨の供述も紹介された。
ここで裁判上重要になるのは、殺害に至った経緯と、その後の遺体移動という行動をどのように評価するかという点だ。
「衝動的だった」という供述だけで、事件全体の計画性や犯行の意図が判断できるわけではない。実際の行動、移動の時期、位置情報、車両の記録などを総合的に検証する必要がある。
【養父と継子の親子関係】安達優季被告と結希さんの間に何があったのか
今回の事件を理解するうえで欠かせないのが、安達被告と結希さんの法的・家庭的な関係だ。
報道によると、結希さんの母親は実父と離婚した後、2025年に安達優季被告と再婚した。安達被告は結希さんと養子縁組をしており、単なる同居人ではなく、法律上の養父にあたる。
この関係は、事件の動機を考えるうえで重要な背景となる。
養父という立場と実父という立場の違い
養子縁組が成立すると、法律上は養親と養子の間に親子関係が生じる。血縁関係があるかどうかと、法律上の親子関係が成立しているかどうかは別の問題だ。
したがって、安達被告は法律上の父親であり、結希さんの養父だった。
ただし、法律上の親子関係が成立していることと、子どもがその相手を心理的に父親として受け入れているかどうかは同じではない。
親子としての信頼関係がどのように築かれていたのか、家庭内でどのようなやり取りがあったのかは、今回の動機を検証するうえで重要な背景になる。
親子関係をめぐるトラブルは以前からあったのか
事件後の報道では、結希さんと安達被告の関係について、周囲の人から見た印象や、家庭内でのやり取りに関する証言も取り上げられた。
一部報道では、結希さんが安達被告の言動を嫌がっていたという同級生らの証言も紹介されている。
しかし、個々の証言がどのような状況で得られたのか、家庭内で実際にどのような問題があったのかについては、供述や客観的な記録との照合が必要になる。
また、TBS NEWS DIGなどの報道によれば、京都府警は当時、家庭内のトラブルについて警察への相談は把握していなかったと説明していた。
警察への相談記録がないことは、家庭内に問題が一切なかったことを意味するわけではない。一方、報道された証言だけで家庭内の状況全体を断定することもできない。
今後の裁判では、事件当日の口論だけでなく、それ以前の親子関係や被告の供述に至った背景がどのように扱われるかが注目される。
【殺人・死体遺棄罪で起訴】京都地裁の公判前整理手続きと今後の裁判の焦点
2026年5月28日、京都地検は安達優季被告を殺人罪と死体遺棄罪で起訴した。
起訴状によると、安達被告は3月23日、京都府南丹市内の駐車場近くにある多目的トイレ内で、結希さんの首を両手で絞めつけ、窒息させて殺害したとされる。
その後、遺体を車で市内の複数地点に移動させ、最終的に3月29日に山林へ遺棄したというのが検察側の主張だ。
なお、京都地検は起訴内容に対する安達被告の認否について、公判を考慮して回答を控えると説明していた。
2026年8月31日、京都地裁で第1回公判前整理手続き
共同通信の2026年8月31日付報道によると、京都地裁で安達被告の第1回公判前整理手続きが実施された。
この手続きには裁判官、検察側、弁護側が参加し、安達被告本人も出席した。
公判前整理手続きとは、刑事裁判を効率的かつ適切に進めるため、検察側と弁護側が主張や証拠を整理し、裁判で何を争うのかを明確にする手続きだ。
この手続き自体は非公開で行われ、初公判の期日は当時未定と報じられた。
2026年10月30日時点でも、確認できる公表情報では、本件の初公判日や判決は明らかになっていない。京都地裁の10月28日更新の裁判員裁判開廷期日情報にも本件の公判予定は掲載されていないが、同裁判所は事件の内容によって掲載しない場合があると説明している。
今後の裁判で検証されるべき5つのポイント
今後の審理で特に注目されるのは、次の点だ。
- 1. 殺害に至る経緯:3月23日の朝、結希さんと安達被告の間で何が起きたのか。
- 2. 動機の信用性:「父親じゃない」と言われたという供述は、どのような状況で生まれたものなのか。
- 3. 殺意の認定:殺害行為の具体的な状況や、医学的・科学的な証拠がどのように評価されるのか。
- 4. 遺体と所持品の移動:複数の場所に移動させたとされる経緯や、各地点での行動がどの証拠によって裏付けられるのか。
- 5. 供述と客観的証拠の整合性:スマートフォンの位置情報、車両の記録、防犯カメラなどと被告の説明が一致するのか。
特に、動機の問題と殺人罪の成立は区別して考える必要がある。殺人罪の成立に特定の動機が必須というわけではない。犯行の実行行為や故意などが証拠によって立証されるかが中心となる。
一方、動機や犯行に至る背景は、供述の信用性や犯行の経緯、量刑を判断するうえで重要な事情になり得る。
したがって、「父親じゃないと言われたから殺害した」という一つの説明だけで、事件の全容を理解したことにはならない。
【SNS上のデマと報道の事実確認】京都小学生行方不明事件で拡散した誤情報
今回の事件では、行方不明となった直後からSNS上でさまざまな情報が拡散した。特に問題となったのは、警察や報道機関が確認していない情報が、確定事項のように広まったことだ。
父親の年齢や国籍をめぐる誤情報
FNNプライムオンラインの2026年4月21日付報道によると、安達容疑者の年齢について、逮捕前にはSNS上で「24歳」という誤った情報が広がっていた。実際に報道された年齢は37歳だった。
また、父親の国籍についても誤情報が拡散した。台湾の一部テレビ局が養父を中国人とする内容を報じたが、その後、情報が誤りだったとして謝罪している。
無関係な市の施設にも風評被害
加えて、安達容疑者が南丹市の有害鳥獣処理施設の職員だったという情報もSNS上で拡散した。
しかし、FNNが南丹市に取材したところ、施設は地元猟友会に業務委託されており、常駐の職員はいないと説明。SNSの情報は虚偽だと否定した。
この誤情報を含む投稿は1830万回以上表示され、施設には問い合わせが相次ぎ、業務にも支障が生じたと報じられている。
無関係な動画を事件と結びつける投稿も
弁護士ドットコムの2026年4月7日付報道では、今回の事件とは無関係とみられる過去の虐待動画が、事件に関連する映像であるかのようにSNSへ投稿された問題も取り上げられた。
また、日本ファクトチェックセンターは4月21日、無関係な人物を事件関係者として扱う投稿や、根拠のない国籍情報などを検証している。
これらの事例から分かるのは、事件への関心が高まるほど、未確認情報や誤った推測が急速に広がる危険があるということだ。
事件に関する情報を確認するときは、次の基準が役立つ。
- 警察・検察の発表:逮捕、起訴、捜査状況などの公式情報を確認する。
- 複数の報道機関:朝日新聞、共同通信、NHK、FNNなどで同じ事実が報じられているか比較する。
- 供述の出所:本人の法廷での発言なのか、捜査関係者への取材で報じられた内容なのかを区別する。
- 画像・動画の出所:撮影時期や事件との関係が確認できない映像を証拠として扱わない。
- 情報の更新日:逮捕前の古い情報を、起訴後の最新状況と混同しない。
事件の関係者や無関係な施設、第三者を根拠なく犯人扱いする投稿は、名誉やプライバシーを侵害する可能性もある。SNS上の話題性と、捜査や裁判で裏付けられた事実は明確に分けておきたい。
【京都小学生行方不明事件の父親の動機】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:安達優季被告が安達結希さんを殺害した動機は何ですか?
A1:捜査関係者への取材をもとにした報道では、結希さんから「本当のお父さんじゃないのに」と言われたことなどに腹を立てたという趣旨の供述が伝えられている。ただし、これは捜査段階の説明であり、裁判で確定した動機ではない。
Q2:安達優季被告は実父ではなく養父だったのですか?
A2:はい。報道によると、安達被告は2025年に結希さんの母親と結婚し、結希さんと養子縁組をした養父だった。法律上の親子関係が成立していた。
Q3:安達優季被告の裁判はいつ始まりますか?
A3:2026年8月31日に京都地裁で第1回公判前整理手続きが行われた。共同通信の報道では初公判期日は未定とされており、10月30日時点で確認できる公表情報からは具体的な初公判日を特定できない。
まとめ:父親の動機供述だけでは分からない事件の全容と今後の焦点
京都府南丹市で発生した安達結希さんの事件は、2026年3月23日の行方不明から4月13日の遺体発見、そして養父・安達優季被告の逮捕と起訴へと進展した。
動機については、結希さんから「本当のお父さんじゃないのに」と言われたことなどに腹を立てたという趣旨の供述が報じられている。2025年に結希さんの母親と結婚し、養父となった被告と結希さんの親子関係が、事件の背景として注目されている。
しかし、捜査段階で伝えられた供述と、裁判で証拠に基づいて認定される事実は同じではない。
京都地検による殺人・死体遺棄罪での起訴、8月31日の公判前整理手続きを経て、今後は殺害に至る具体的な経緯、被告の供述の信用性、遺体や所持品の移動に関する証拠などが審理の焦点となる。
とりわけ重要なのは、動機をめぐる一つの言葉だけで事件全体を説明しないことだ。結希さんに何が起きたのか、被告の説明は客観的な証拠と整合するのか、そして裁判所がどのような事実を認定するのか。
2026年10月30日現在、この事件は刑事裁判に向けた準備が進む段階にある。今後の公判で示される証拠と司法判断が、事件の全容を明らかにするうえで重要な意味を持つ。