今回のワールドカップで特に混同されやすかったのが、NHK BSプレミアム4K、NHK ONE、DAZNの3サービスです。
いずれもテレビ以外の視聴環境と関係しますが、放送・配信できる試合数や見逃し視聴の仕組みには明確な違いがありました。
NHK BSプレミアム4Kは全104試合を放送
NHK BSプレミアム4Kの最大の特徴は、大会全104試合を放送対象にしたことです。
NHKの2026年6月8日の発表では、全試合について生中継と録画放送を組み合わせると説明されました。
つまり、104試合すべてがリアルタイムの生中継だったわけではありません。
一方、NHK総合で生中継する34試合については、BSP4Kでも同時生中継する計画でした。
高精細な映像で試合を楽しみたい人や、日本代表以外の強豪国の試合も幅広く追いたい人にとって、魅力の大きい選択肢でした。
NHK ONEはNHK総合の対象34試合を配信
NHK ONEはNHKのインターネットサービスです。
ワールドカップでは、NHK総合で生中継する34試合と大会期間中のハイライト番組を対象に、同時配信と見逃し配信が行われました。
特に便利だったのが、次の2つの機能です。
- 同時配信: テレビの放送時間に合わせてインターネットで視聴する。
- 見逃し配信: 生中継を見られなかった場合に、対象番組を後から視聴する。
ただし、NHK ONEで大会全104試合を見られるわけではありません。
NHK BSやBSプレミアム4Kだけで放送された試合まで、NHK ONEで一律に視聴できると考えるのは誤りです。
NHK ONEの配信対象は地上波の34試合とハイライト番組でした。
DAZNは全104試合のライブ配信を実施
日本代表戦は全試合無料配信
DAZNは日本国内で唯一、全104試合をライブ配信するサービスとして大会を展開しました。
加えて、日本代表戦だけでなく、準決勝、3位決定戦、決勝も無料配信の対象として発表されました。
そのほか、次のような機能も提供されました。
- 全104試合のライブ配信
- 全104試合の見逃し配信
- 複数の長さのハイライト
- 日本語実況・専門家による解説
- マルチアングル
- イマーシブビュー
- データを活用した視聴コンテンツ
ただし、無料配信と全試合無料視聴は別の話です。
日本代表戦などの無料対象試合と、それ以外の有料視聴対象試合は区別する必要があります。
DAZNの公式ヘルプでは、Standardプランは全104試合が対象と案内され、Baseballプランではワールドカップ用の追加契約が必要とされていました。
テレビ放送とネット配信はどちらが便利だった?
それぞれの特徴を整理すると、視聴スタイルによって選ぶべきサービスが変わります。
- テレビ派: NHK総合、日本テレビ系列、フジテレビ系列の地上波中継が便利。
- 高画質・全試合重視: NHK BSプレミアム4Kが選択肢。
- 外出先でも見たい人: DAZNのスマートフォン・タブレット視聴が便利。
- NHKの対象試合を後から見たい人: NHK ONEが便利。
- 大会全体を追いたい人: DAZNの全104試合配信が適している。
特に深夜・早朝の試合が多い北中米大会では、見逃し配信の重要性が高まりました。
リアルタイム視聴にこだわる人と、自分の生活時間に合わせて試合を楽しむ人では、最適なサービスが違っていたのです。
【放映権の仕組み】なぜNHK・民放・DAZNに分かれたのか
ワールドカップのテレビ放送を理解するうえで欠かせないのが、FIFAが管理するメディア放映権の仕組みです。
2026年大会では、電通が日本国内の放送権を取得しました。
2025年12月4日の電通の公式発表によると、取得したのはテレビ放送と動画配信を含む総合的なメディアライツです。
加えて、日本サッカー協会やJリーグ、放送局、動画配信サービス事業者と連携し、日本国内で幅広い視聴環境を構築する方針が示されました。
放映権は単純なテレビ局同士の競争ではない
ワールドカップの放映権は、単にテレビ局が試合を取り合う仕組みではありません。
大会主催者であるFIFAがメディア権利を管理し、各国・地域の放送事業者や配信事業者が契約に基づいて映像を届けます。
日本国内でも、テレビ放送とインターネット配信の両方を含む権利構成が採用されました。
そのため、テレビ局が担当する試合とDAZNが配信する試合には違いが生まれます。
特にDAZNは、全104試合をライブ配信する一方、グループステージでは39試合がDAZN独占配信の対象となりました。
この仕組みにより、地上波で放送されない試合も含めて、大会全体を視聴できる環境が整ったのです。
よくある3つの誤解
誤解1:NHKが全104試合を地上波で生中継した
これは正確ではありません。NHK総合の地上波生中継は34試合です。全104試合という数字はBSプレミアム4Kの放送対象を指します。
誤解2:NHK ONEなら全104試合を見逃し視聴できる
これも違います。NHK ONEの対象はNHK総合の地上波中継34試合とハイライト番組です。
誤解3:DAZNの全104試合はすべて無料だった
全104試合のライブ配信と無料配信は別です。無料対象は日本代表戦や決勝などの指定試合であり、大会全試合を無料で見られる制度ではありませんでした。
この3点を理解しておけば、放送局一覧や配信サービスの情報を見たときに混乱しにくくなります。
【歴代視聴率と2026年の実績】ワールドカップのテレビ人気はどう変わった?
ワールドカップは日本のスポーツ中継でも特別な存在です。
その象徴ともいえるのが、2002年日韓大会の日本対ロシア戦です。
ビデオリサーチの関東地区の世帯視聴率データによると、2002年6月9日にフジテレビ系列で放送された同試合は、世帯視聴率66.1%を記録しました。
これは同社が公表するサッカー番組の歴代高世帯視聴率ランキングで1位の記録です。
2026年大会の日本代表戦の視聴率
2026年大会でも、日本代表戦は高い視聴率を記録しました。
ビデオリサーチが公表した関東地区の番組平均視聴率は次のとおりです。
2026年日本代表戦・世帯視聴率
日本対オランダ
日本対チュニジア
日本対スウェーデン
特に注目したいのが、6月26日の日本対スウェーデン戦です。
午前8時開始という時間帯ながら、世帯視聴率は35.0%に達しました。
また、決勝トーナメントの日本対ブラジル戦も、フジテレビで世帯視聴率15.5%を記録しています。
2002年の66.1%と2026年の35.0%は単純比較できない
ここで注意したいのが、視聴率の数字だけでテレビ人気を判断しないことです。
2002年の日韓大会は日本国内で開催され、ゴールデンタイムの試合も多くありました。
一方、2026年は北米開催で、日本との時差によって早朝の試合が中心になりました。
加えて、テレビだけでなくスマートフォンやパソコン、インターネット配信を通じて観戦する人も増えています。
FIFAが公表した2018年ロシア大会の世界視聴者データでは、テレビ、自宅外、デジタル視聴を合わせて35億7,200万人が大会を視聴したと報告されています。これは日本のテレビ世帯視聴率とは異なる世界規模の指標です。
DAZNが公表した2026年大会の視聴実績
DAZNの2026年8月の大会総括レポートでは、次の実績が公表されました。
- 大会を通じた延べ視聴者数は6,700万人。
- 大会全体の総視聴数は4億5,000万超。
- SNS関連動画の総再生回数は18.4億回超。
- 全国1,000カ所以上のパブリックビューイングに20万人以上が参加。
- ライブ視聴の割合は54%。
- テレビでの視聴割合は41%。
特に興味深いのは、日本代表戦以外の試合がDAZN全体の視聴の80%を占めたという点です。
日本代表の試合をきっかけに大会へ関心を持ち、その後は海外の強豪国同士の対戦や決勝トーナメントまで楽しむ視聴者が多かったことがうかがえます。
また、DAZNのテレビ視聴割合が41%だったことからも、ネット配信はスマートフォンだけのものではなく、リビングの大画面テレビでも利用されていたことが分かります。
【サッカーワールドカップ2026のテレビ放送】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年ワールドカップを地上波で放送したテレビ局はどこですか?
A1:NHK、日本テレビ系列、フジテレビ系列の3つです。NHK総合が34試合、日本テレビ系列が15試合、フジテレビ系列が10試合を生中継しました。
Q2:日本代表戦はすべて無料で視聴できましたか?
A2:日本代表のグループステージ3試合は、NHK総合、日本テレビ系列、NHK BSでテレビ中継されました。また、DAZNでも日本代表戦全試合が無料ライブ配信の対象でした。
Q3:NHK BSプレミアム4KとNHK ONEでは全104試合を見られましたか?
A3:NHK BSプレミアム4Kは全104試合を生中継と録画で放送しました。一方、NHK ONEはNHK総合で中継する34試合と大会関連のハイライト番組が配信対象でした。両者の視聴範囲は異なります。
まとめ:2026年大会から見えたサッカー中継の新しい形
2026年のFIFAワールドカップは、NHK・日本テレビ系列・フジテレビ系列による地上波中継と、DAZNによる全104試合のライブ配信が共存した大会でした。
NHKは地上波34試合とBSプレミアム4Kの全104試合放送、NHK ONEの同時・見逃し配信を展開。日本テレビ系列は15試合、フジテレビ系列は10試合を担当しました。
一方、DAZNは全104試合をライブ配信し、日本代表戦や決勝などの無料配信も実施。見逃し配信やマルチアングルなど、テレビとは異なる観戦体験を提供しました。
今回の大会で分かったのは、テレビ放送とネット配信は必ずしも競合するものではないということです。テレビは誰もがアクセスしやすい大画面での観戦を支え、配信サービスは全試合へのアクセスや時間に縛られない視聴を実現しました。
今後のワールドカップでも、放送局の担当試合数だけでなく、BS・4K・同時配信・見逃し配信・無料視聴の条件まで確認することが、観戦方法を選ぶうえで大切になります。