三重県志摩市の賢島にあった志摩マリンランドは、2021年3月31日に営業を休止した水族館です。「マンボウの泳ぐ水族館」として親しまれ、海女による餌付け実演やペンギンに触れられる催しなど、伊勢志摩ならではの展示・体験で多くの来館者を集めてきました。
2026年10月現在、志摩マリンランドは水族館として営業していません。一方、近鉄グループホールディングスの2026年5月の決算説明資料には、旧水族館など伊勢志摩エリアの保有資産を活用した新たな宿泊・レジャー施設の開発検討に着手したことが記されています。閉館の理由や飼育されていた生き物の移動先、跡地の今後を知るには、営業休止当時の発表と、その後の公式資料を分けて見る必要があります。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 営業状況:志摩マリンランドは2021年3月31日に営業を休止し、2026年10月現在も水族館として営業していません。
- 閉館理由:近鉄グループの公式発表では、建物・設備の著しい老朽化と維持管理の困難さが理由として示されました。新型コロナウイルス感染症による来館者減少も報道されています。
- 跡地の現在:2026年5月、近鉄グループは旧水族館などの資産を活用した宿泊・レジャー施設の開発検討に着手。具体的な施設内容や開業日は公表されていません。
【志摩マリンランドの現在】2026年も水族館は営業していない

志摩マリンランドは、三重県志摩市阿児町神明の賢島に位置していた水族館です。近鉄グループが運営し、1970年3月18日の開業から約51年間にわたって伊勢志摩の観光を支えてきました。
現在の公式サイトには、2021年3月31日をもって営業を休止したことと、長年の利用に対する感謝のメッセージが掲載されています。入館予約や通常営業の案内はなく、以前のように館内の水槽やマンボウ、ペンギンを見学することはできません。
ここで押さえておきたいのは、運営会社が当時使用した正式な表現が「営業休止」だったことです。一般的には「閉館」と呼ばれていますが、2026年10月現在、営業再開の日程が公表されているわけではありません。
また、近鉄グループが旧水族館を含む資産の活用を検討していることと、志摩マリンランドそのものが水族館として再開することは別の話です。2026年5月の決算説明資料が示しているのは、新たな宿泊・レジャー施設の開発検討であり、旧館の再開を決定したという発表ではありません。
「志摩マリンランドは今も営業しているのか」「もう一度マンボウを見られるのか」と気になっている人は、現時点では営業していないことを前提に旅行計画を立てる必要があります。
【歴史と評判】なぜ「マンボウの泳ぐ水族館」と呼ばれたのか
志摩マリンランドの特徴は、一般的な水族館として海の生き物を展示するだけでなく、マンボウの飼育や地域の海洋文化を伝える展示に力を入れていたことです。近鉄グループの営業休止発表でも、開館以来、マンボウを中心とした海洋生物の展示を続けてきたことが紹介されています。
マンボウは独特の体形とゆったりとした泳ぎ方で知られる大型魚です。志摩マリンランドには専用の「マンボウ館」が設けられ、その姿をじっくり観察できました。「マンボウの泳ぐ水族館」という呼び名は、同館をほかの施設と区別する象徴的な看板となっていました。
志摩市長の活動記録にも、同館が「マンボウの泳ぐ水族館」として知られ、賢島のシンボルの一つだったことが記されています。志摩市は、志摩観光ホテルと並ぶ地域になじみ深い施設として紹介し、2021年3月31日の営業休止に際して、その長年の功績をたたえました。
伊勢志摩経済新聞の報道によると、同館は51年間で約1,270万人の来館者を迎えました。開館当初から地域観光の一翼を担い、家族旅行や学校行事、観光客の立ち寄り先として利用されてきた歴史があります。
2016年には施設のリニューアルも行われました。しかし、展示施設の一部を刷新することと、建物全体や水槽、飼育設備の長期的な維持管理を可能にすることは同じではありません。リニューアルから約5年後に営業休止へ至った経緯には、水族館を長期間運営するための設備更新という課題が表れています。
志摩マリンランドの評判を振り返る際は、マンボウという看板展示だけでなく、海女の実演や生き物とのふれあいなど、地域の特色を生かした体験型の展示にも注目したいところです。
【閉館理由と経緯】2021年3月31日までに何が起きたのか
志摩マリンランドの営業休止が発表されたのは、2021年1月29日です。近鉄レジャーサービス株式会社と近畿日本鉄道株式会社が公表した資料では、建物・設備の老朽化が著しく、これ以上の維持管理は困難と判断したことが、営業休止の理由として明示されました。
閉館理由を理解するうえでは、公式発表に書かれた直接的な理由と、当時の経営環境を分けて考えることが大切です。運営側が正式に示したのは施設の老朽化と維持管理の困難さです。一方、営業休止をめぐる報道では、新型コロナウイルス感染症の影響による入館者の減少も伝えられています。
CBCの報道では、来館者数はピーク時の年間約40万人から、近年は約15万人程度に減少していたとされています。また、2020年度の来館者数は約10万4,000人となる見込みでした。来館者の減少が設備の老朽化と並んで経営環境を厳しくしたことはうかがえますが、公式発表の理由そのものを「赤字」や「人気低迷」と置き換えるのは正確ではありません。
営業休止までの主な出来事を整理すると、次のとおりです。
| 時期 | 出来事 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| 1970年3月18日 | 開業 | 三重県志摩市の賢島で水族館として営業を開始。 |
| 2016年3月 | 施設をリニューアル | 伊勢志摩サミット開催年に施設のリニューアルを実施。 |
| 2021年1月29日 | 営業休止を発表 | 近鉄グループが建物・設備の老朽化と維持管理の困難さを理由に公表。 |
| 2021年3月31日 | 営業休止 | 約51年間の一般営業を終了。飼育動物の受け入れ先を探す取り組みへ。 |
| 2021年5月〜10月 | 飼育動物の移送 | 鳥羽水族館や四国水族館など、複数の施設への受け入れが進む。 |
| 2026年5月18日 | 跡地を含む資産活用を検討 | 近鉄グループが旧水族館などを活用した新たな宿泊・レジャー施設の開発検討に着手したと公表。 |
営業休止の発表から実際の営業終了までは約2か月でした。最後の営業期間には、3月1日から特別展「見て!知って!スタッフおススメの生きものたち」が開催され、来館者が最後の展示を楽しみました。
伊勢志摩経済新聞は、閉館を前に施設内に感謝のメッセージカードが並んだことも報じています。志摩市の記録にも、来館者から「これまでありがとう」などの言葉が寄せられた様子が記されています。営業休止は単に一つの観光施設が営業を終えたというだけでなく、地域の思い出の場所が失われる出来事でもありました。
【閉館後の実態】マンボウ・ペンギン・ニシキアナゴはどうなった?
志摩マリンランドの営業休止後、館内で飼育されていた生き物は、営業終了と同時にすべて姿を消したわけではありません。運営側は休止後も飼育を続けながら、複数の水族館などに受け入れを依頼する方針を示していました。その後、魚類やペンギンなどの移送が実施されています。
伊勢志摩経済新聞の2021年9月の報道によると、鳥羽水族館には魚類を中心に67種1,576点の生き物が順次移送されました。同年9月にはフンボルトペンギン4羽の移送も報じられています。
また、四国水族館は2021年5月、志摩マリンランドからケープペンギン5羽を受け入れると公式に発表しました。同館は受け入れたペンギンを飼育環境に慣らしたうえで、同年6月に展示公開しています。
和歌山県のすさみ町立エビとカニの水族館でも、志摩マリンランドから来たケープペンギン4羽の展示が2021年5月に始まりました。このように、飼育されていた生き物の一部は別の水族館へ移り、新たな環境で飼育されることになりました。
一方、個体ごとの現在の飼育状況は移送先や時期によって異なります。かつて志摩マリンランドにいた生き物が、2026年現在もすべて同じ場所で展示されているとは限りません。特定の個体を見たい場合は、移送先の水族館が公開する最新の展示案内を確認する必要があります。
ニシキアナゴとの関わりも、志摩マリンランドを語るうえで見逃せません。ニシキアナゴは、白とオレンジ色の縞模様が特徴的なアナゴの仲間です。毎日新聞の「毎日動画」は2017年の生き物紹介で、志摩マリンランドがニシキアナゴの和名を命名したことを紹介しています。展示するだけでなく、生き物の名称が広く知られる過程にも関わった施設だったのです。
こうした飼育・展示の実績は、志摩マリンランドが長年蓄積してきた専門性の一端を示しています。営業休止によって施設としての活動は止まりましたが、飼育個体の移送や展示を通じて、その役割の一部はほかの水族館へ引き継がれました。
【海女の餌付け実演・ペンギンに触れる催し】人気を集めた独自の体験
志摩マリンランドの魅力は、珍しい魚を水槽越しに眺めることだけではありませんでした。伊勢志摩の海と文化を身近に感じられる実演や、生き物とのふれあい体験も特徴でした。
代表的なものが、回遊水槽で行われていた海女の餌付け実演です。三重県の観光情報サイト「観光三重」の取材レポートでは、磯着姿の海女が水槽内に潜り、魚たちに餌を与える様子が紹介されています。ブリやサメなどの魚が集まる光景は、海女文化を伝える伊勢志摩ならではの展示でした。
この実演は、単なるショーとは異なる意味も持っていました。海女漁は鳥羽・志摩の海辺で受け継がれてきた技術と文化です。三重県の文化財関連資料でも、海女の潜水技術や漁具、地域社会を通じた技術継承が紹介されています。志摩マリンランドの実演は、そうした地域の文化を、水族館という観光施設を通じて来館者に伝える役割を担っていました。
もう一つの人気企画が、ペンギンに触れられる「ペンギンタッチ」です。観光三重の過去の取材記事では、ペンギンの背中にやさしく触れたり、記念撮影をしたりする体験が紹介されています。実施日や参加条件が設けられていた催しであり、すべての来館者がいつでも参加できたわけではありません。
こうした体験は、子どもにとっては生き物を身近に感じる機会になり、大人にとっても地域の特色を発見するきっかけになりました。マンボウの展示、ニシキアナゴの和名に関わった実績、海女の実演、ペンギンとのふれあいを組み合わせた点が、志摩マリンランドの個性を形づくっていたのです。
ただし、これらは営業していた当時の展示・イベント情報です。2026年現在、旧施設で同じ体験を楽しむことはできません。海女文化に関心がある人は、三重県や志摩市が紹介する現役の海女漁文化に関する施設・体験情報を調べると、別の形で地域の魅力に触れられます。
【志摩マリンランド跡地の現在】近鉄グループの再開発はどうなる?
志摩マリンランド跡地の今後を考えるうえで重要なのが、近鉄グループホールディングスが2026年5月18日に公表した決算説明資料です。資料では、伊勢志摩エリアが持つ歴史・文化・自然・食などの観光資源を生かす方針とともに、グループが保有する資産を活用した新たな宿泊・レジャー施設の開発検討に着手したことが示されています。
対象となる資産の例には、宇治山田駅周辺、旧水族館、賢島宝生苑の旧館などが挙げられています。つまり、志摩マリンランド跡地は、閉館後も近鉄グループが保有する観光関連資産の活用という観点から検討対象になっています。
ただし、資料が示すのは開発の検討開始です。志摩マリンランド跡地にどのような施設を建設するのか、ホテルやレジャー施設の規模はどれほどか、いつ着工・開業するのかといった具体的な内容は、同資料には示されていません。
したがって、2026年10月時点での整理は次のようになります。
- 志摩マリンランドは水族館として営業していない。
- 近鉄グループは旧水族館などの資産を活用した宿泊・レジャー施設の開発検討に着手している。
- 志摩マリンランド跡地に導入される具体的な施設や開業時期は、公表資料からは確定できない。
ここで注意したいのは、「跡地の活用が検討されている」という情報と、「新しい施設の開業が決定した」という情報を混同しないことです。開発検討は今後の方向性を示すものですが、計画の詳細や実施時期が固まったことを意味するわけではありません。
また、旧水族館の建物や敷地の現況についても、決算説明資料だけで具体的な状態を判断することはできません。現地の様子を見に行く場合は、旧施設が観光客向けに公開されている場所ではないことを踏まえ、敷地内へ立ち入らないようにしましょう。
賢島は英虞湾の景観や伊勢志摩の観光拠点として知られる地域です。今後、旧水族館跡地がどのように活用されるかは、近鉄グループの事業展開だけでなく、賢島周辺の観光のあり方を考えるうえでも注目されます。
【プロの結論】志摩マリンランドの閉館から読み取れること
志摩マリンランドの歴史を振り返ると、長く親しまれた観光施設であっても、建物や設備の老朽化という課題を避けられないことが分かります。約51年間にわたって営業し、累計約1,270万人が訪れた施設であっても、飼育環境の維持と設備更新を続けられなければ、営業の継続は難しくなります。
水族館の価値は、入館者数や知名度だけで決まるものではありません。生き物を適切に飼育する設備、専門的な知識を持つスタッフ、展示を維持するための管理体制、そして来館者が体験できる独自の魅力がそろって初めて成り立ちます。志摩マリンランドの営業休止は、観光施設が長期的に存続するための条件を考える事例でもあります。
また、閉館後に生き物を複数の水族館へ移送したことは、施設の営業終了と飼育個体のその後を分けて考える必要性を示しています。施設がなくなっても、飼育・展示の経験や生き物に関する知見が、移送先で引き継がれる場合があります。
跡地については、2026年5月に近鉄グループが宿泊・レジャー施設の開発検討に着手したことが新たな動きです。ただし、旧水族館の再開が決まったわけではなく、具体的な施設計画も明らかになっていません。今後の動向を知るには、近鉄グループの公式発表や決算説明資料など、事業主体が公表する情報を確認することが判断の基準になります。
志摩マリンランドは、マンボウの展示だけでなく、ニシキアナゴの和名、海女の餌付け実演、ペンギンとのふれあいなど、地域の自然と文化を伝えた水族館でした。その歴史を知ることは、閉館した施設を懐かしむだけでなく、観光施設が地域に何を残し、どのように次の世代へ引き継がれるのかを考える手がかりになります。
【志摩マリンランド現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:志摩マリンランドは2026年現在も営業していますか?
A1:営業していません。2021年3月31日に営業を休止しており、2026年10月現在も水族館としての営業再開は公表されていません。
Q2:志摩マリンランドが閉館した理由は何ですか?
A2:近鉄グループの公式発表では、建物・設備の著しい老朽化と、これ以上の維持管理が困難であることが理由として示されました。当時は新型コロナウイルス感染症の影響による来館者減少も報道されています。
Q3:志摩マリンランドの跡地には何ができる予定ですか?
A3:近鉄グループホールディングスは2026年5月、旧水族館などの保有資産を活用した新たな宿泊・レジャー施設の開発検討に着手したと公表しました。ただし、志摩マリンランド跡地の具体的な施設内容や開業時期は公表されていません。
Q4:志摩マリンランドにいたマンボウやペンギンはどこへ行きましたか?
A4:飼育されていた生き物は、営業休止後に複数の水族館などへ移送されました。ペンギンは鳥羽水族館、四国水族館、すさみ町立エビとカニの水族館などで受け入れが行われています。個体ごとの現在の飼育状況は、各施設の最新情報を確認してください。
Q5:志摩マリンランドはニシキアナゴとどのような関係がありましたか?
A5:毎日新聞の生き物紹介では、志摩マリンランドがニシキアナゴの和名の命名に携わったことが紹介されています。ニシキアナゴは、白とオレンジ色の縞模様を持つアナゴの仲間です。
Q6:志摩マリンランドで人気だった海女の餌付け実演やペンギンタッチは、今も体験できますか?
A6:旧施設では体験できません。海女の餌付け実演やペンギンタッチは営業していた当時の企画です。海女文化や生き物とのふれあいを楽しみたい場合は、現在営業している観光施設や体験プログラムを探す必要があります。
まとめ:志摩マリンランドの現在と今後の動向
志摩マリンランドは、2021年3月31日に営業を休止した後も、「マンボウの泳ぐ水族館」として多くの人に記憶されている施設です。海女の餌付け実演やペンギンに触れる催し、ニシキアナゴの和名に関わった実績など、独自の展示と地域文化を伝えてきた歴史があります。
2026年10月現在、水族館としての営業再開は発表されていません。一方で、近鉄グループは旧水族館などの資産を活用した新たな宿泊・レジャー施設の開発検討に着手しています。具体的な跡地利用の内容や開業時期は、今後の公式発表を待つ必要があります。
志摩マリンランドの現在を把握するうえで重要なのは、営業休止の事実、飼育動物の移送先、跡地活用の検討状況を区別して理解することです。かつて賢島の観光を支えた水族館の歴史を振り返りながら、跡地がこれからどのような形で伊勢志摩の観光に関わっていくのか、近鉄グループの発表に注目したいところです。