元大関・朝乃山の不祥事とは、2021年に発覚した日本相撲協会の新型コロナウイルス対策ガイドライン違反と、協会の調査に対する虚偽報告をめぐる問題です。キャバクラへの出入りが報じられたことをきっかけに、朝乃山は6場所の出場停止と6カ月間の報酬50%減額という重い懲戒処分を受け、大関の地位を失いました。
しかし、その後の歩みは処分だけでは語れません。三段目からの再出発、2023年の幕内復帰、2024年の左膝の大けが、そして2025年の再十両・再入幕を経て、2026年には再び幕内上位へと番付を上げています。2026年10月28日時点の最新状況を踏まえ、不祥事の真相、処分理由、大関陥落の仕組み、再起の実態を時系列で整理します。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 不祥事の核心:2021年、外出自粛期間中のキャバクラ通いに加え、日本相撲協会への虚偽報告が問題となった。
- 処分の内容:6場所出場停止、6カ月間の報酬50%減額。大関から陥落し、三段目まで番付を落とした。
- 2026年の最新状況:9月場所で10勝5敗を挙げ、11月の九州場所では東前頭筆頭に昇進。三役復帰を狙える位置まで戻っている。
【不祥事の真相】朝乃山のキャバクラ報道で何が起きたのか
朝乃山の不祥事が明るみに出たのは、2021年5月の大相撲夏場所中です。当時、大関だった朝乃山について、週刊文春の報道をきっかけに、新型コロナウイルス感染防止のために設けられていた日本相撲協会のガイドラインに反する外出が問題視されました。
当時の相撲界では、本場所を安全に開催するため、力士や親方らに不要不急の外出を控えるよう求めていました。緊急事態宣言下で、協会員の行動管理と感染防止への協力が求められていた時期です。朝乃山の行動は、単なる私生活上の問題にとどまらず、協会全体の感染対策や規律にも関わる問題として扱われました。
2021年6月11日に懲戒処分が決まった際、コンプライアンス委員会の調査では、朝乃山が外出禁止期間中の2021年1月の初場所前、3月の春場所前および開催中、5月の夏場所前に、計10回キャバクラに通っていたことが明らかになりました。加えて、2020年11月場所前までの外出規制期間中にも、計3回の会食があったと報じられています。
重要なのは、報道されたキャバクラ通いだけでなく、協会の事情聴取に対する説明が問題を深刻化させた点です。
2021年5月18日、協会側が朝乃山から事情を聴いた際、本人は当初、報道内容を否定しました。しかし、翌19日の夏場所11日目の取組後、師匠の高砂親方とともに再度の聴取を受けると、キャバクラ通いを認める方向に転じました。朝乃山は翌20日から休場しました。
日刊スポーツなどの報道によると、協会の調査では、同行した新聞社の記者との口裏合わせや、携帯電話に残っていたメッセージの削除なども問題になりました。こうした説明や証拠の扱いが、処分を重くする要因となりました。
つまり、朝乃山不祥事の真相を理解するうえでは、ガイドライン違反そのものと、発覚後の虚偽報告を分けて考える必要があります。協会が重く見たのは、規則を破った事実に加え、調査の初期段階で正確な説明をしなかったことでした。
【時系列で整理】日本相撲協会の処分から幕内復帰までの経緯
朝乃山は2020年7月場所で大関に昇進しました。将来の横綱候補として期待されていた時期だけに、2021年の不祥事は競技人生を大きく変える転機となりました。
その後の番付の変化には、懲戒処分だけでなく、復帰後の勝敗や、2024年に負った膝のけがも影響しています。主要な出来事を時系列でまとめます。
| 時期 | 出来事 | 結果・意味 |
|---|---|---|
| 2020年7月 | 大関に昇進 | 上位力士として期待を集める |
| 2021年5月 | キャバクラ通いが報じられ、協会の調査で事実を認める | ガイドライン違反と虚偽報告が問題化 |
| 2021年6月11日 | 日本相撲協会が懲戒処分を決定 | 6場所出場停止、6カ月間の報酬50%減額 |
| 2021年7月 | 出場停止中に大関のかど番場所を迎える | 大関から陥落 |
| 2022年7月 | 三段目で本場所に復帰 | 7戦全勝で三段目優勝 |
| 2023年1月 | 十両に復帰 | 14勝1敗で十両優勝 |
| 2023年5月 | 幕内に復帰 | 東前頭14枚目で12勝3敗 |
| 2024年7月 | 名古屋場所で左膝に重傷 | 長期休場を余儀なくされる |
| 2025年3月 | 三段目で復帰 | 7戦全勝で三段目優勝 |
| 2025年9月・11月 | 十両に復帰し、2場所連続12勝3敗 | 再入幕につながる成績を残す |
| 2026年1月 | 幕内に復帰 | 東前頭16枚目で9勝6敗 |
| 2026年9月 | 秋場所で10勝5敗 | 翌11月の九州場所で東前頭筆頭に昇進 |
この年表から分かるのは、朝乃山の再起が一度の復帰で完結したわけではないことです。2023年に幕内へ戻ったものの、2024年のけがで再び大きく番付を落としました。その後、2025年に三段目から再び関取へ戻り、2026年には幕内上位まで復帰しています。
【処分理由を解説】なぜ6場所出場停止と報酬50%減額だったのか
日本相撲協会が2021年6月11日に決定した処分は、6場所の出場停止と6カ月間の報酬50%減額でした。師匠の高砂親方にも、3カ月間の報酬20%減額が科されています。
処分の背景には、主に次の3点がありました。
1.感染防止のルールに繰り返し違反したこと
朝乃山の行動は、外出自粛が求められていた期間に複数回行われていました。協会は新型コロナウイルスの感染拡大を防ぎ、本場所を継続するために行動制限を設けていました。個人の行動が、力士本人だけでなく、部屋の関係者や本場所の運営にも影響し得る状況だったのです。
2.協会の調査に当初は事実と異なる説明をしたこと
今回の処分を考えるうえで、特に重い意味を持ったのが虚偽報告です。2021年6月11日の処分決定後、尾車コンプライアンス部長(元大関・琴風)は、朝乃山が大関という模範を示す立場だったことに加え、虚偽報告をしたことが問題だったと説明しています。
これは、規則違反が発覚した場合に、調査への協力や説明責任も処分判断に影響することを示しています。違反の有無だけでなく、その後の対応まで問われたのです。
3.過去の処分例と、大関という地位
2020年には、当時幕内だった阿炎にも外出自粛ルール違反による3場所出場停止と5カ月間の報酬50%減額が科されていました。朝乃山の場合は、違反の繰り返しに加えて虚偽報告があり、さらに大関として高い模範性を求められる立場でした。
こうした事情が重なり、朝乃山には阿炎を上回る6場所の出場停止が決まりました。単にキャバクラへ行ったことだけが処分の理由だったわけではありません。
なお、朝乃山の引退届は2021年5月21日付で師匠から提出されましたが、協会はその場で受理せず、預かる形を取りました。今後、協会に迷惑をかける行為があれば引退届を受理することなどを条件に、現役続行が認められた経緯があります。
師匠の高砂親方は監督責任を問われました。一方、当時の先代師匠である錦島親方(元大関・朝潮)にも別のガイドライン違反が判明し、退職届が受理されています。この2人は立場も処分も異なるため、混同しないことが大切です。
【大関陥落の理由】不祥事による出場停止が番付に与えた影響
朝乃山の大関陥落は、不祥事に対する懲戒処分と、大関の地位を維持するための成績規定が重なった結果です。
大関は、通常の場所で負け越した場合でも、次の場所を「かど番」として迎え、そこで勝ち越せば地位を維持できます。しかし、かど番の場所で負け越すと大関から陥落します。
朝乃山は2021年5月場所を7勝5敗3休で終え、7月の名古屋場所をかど番で迎える状況でした。ところが、6月に6場所の出場停止が決まったため、7月場所に出場できませんでした。その結果、大関の地位を失い、2021年9月場所は関脇となりました。
つまり、大関陥落の直接的な仕組みは、出場停止によってかど番の場所を全休したことです。懲戒処分によって土俵に立てなかったことが、成績上の規定を通じて番付にも反映されたのです。
加えて、出場停止は2021年7月場所から2022年5月場所までの6場所に及びました。復帰時には三段目まで番付が下がっており、大関として積み上げた地位を一度に取り戻せる状況ではありませんでした。
ここで重要なのは、処分期間が終われば自動的に元の番付へ戻れるわけではないという点です。力士は本場所の成績を積み重ね、番付を一段ずつ上げなければなりません。朝乃山にとって、2022年7月からの再出発は、実力だけでなく長期のブランクを乗り越える過程でもありました。
【幕内復帰の経緯】三段目からの再出発と、2024年の大けが
朝乃山は2022年7月場所、三段目で土俵に復帰しました。初めての復帰場所で7戦全勝の三段目優勝を果たし、続く幕下でも好成績を重ねます。2023年1月場所では十両に復帰し、14勝1敗で十両優勝を達成。翌3月場所も13勝2敗と好成績を残しました。
そして2023年5月場所、朝乃山は東前頭14枚目として幕内に復帰します。この場所は12勝3敗。優勝争いにも加わり、懲戒処分によって三段目まで落ちた力士が、土俵上の結果で幕内へ戻ったことを印象づけました。
ただし、再起は順調な右肩上がりではありませんでした。2024年5月場所は右膝の負傷で全休し、同年7月の名古屋場所では左膝前十字靱帯断裂などの重傷を負いました。手術とリハビリを必要とする大けがで、同年9月場所、11月場所も休場。さらに2025年1月場所も休場し、番付は再び三段目まで落ちました。
2025年3月場所、朝乃山は三段目で復帰し、7戦全勝で優勝します。5月場所は幕下で6勝1敗、7月場所は5勝2敗。7月30日に発表された秋場所の番付編成では十両復帰が決まり、9月場所と11月場所はいずれも12勝3敗と安定した成績を残しました。
2026年1月場所には東前頭16枚目で幕内に復帰し、9勝6敗で勝ち越し。2026年7月場所は9勝6敗、9月場所は10勝5敗と、幕内で勝ち越しを続けています。
この復帰過程で注目すべきなのは、不祥事による出場停止と、けがによる長期離脱という異なる試練を経験したことです。2021年の処分は本人の行動に対する懲戒でしたが、2024年以降の番付降下は、負傷によって本場所に出場できなかったことが大きく影響しています。両者を同じ理由による転落として扱うのは正確ではありません。
【世間の評判と再起の実態】ファンの信頼は戻ったのか
朝乃山の不祥事が発覚した当初、報道各社は、協会の看板力士だった大関がガイドラインに違反し、調査でも当初は否定していたことを大きく伝えました。処分決定時の報道でも、相撲ファンや協会関係者の信頼を損なったことが指摘されています。
ただし、世間の評価を一つの意見にまとめることはできません。処分への批判、失望、競技復帰を望む気持ちは、それぞれ別のものです。特定のSNS投稿や匿名掲示板の書き込みを、世間全体の総意として扱うのも適切ではありません。
復帰後の朝乃山については、土俵上の成績を通じて再評価する動きも報じられてきました。2023年の幕内復帰では、初場所の十両優勝に続いて幕内でも12勝3敗を挙げ、館内からの拍手や祝福の声が伝えられています。2025年には再び三段目から関取へ戻り、2026年には幕内上位まで番付を上げました。
ここで区別したいのは、競技者としての評価と、過去の行為に対する評価です。勝ち星を積み重ねたからといって、2021年の問題がなかったことになるわけではありません。一方で、過去の不祥事だけを理由に、その後の競技成績や努力を評価対象から外す必要もありません。
朝乃山の再起を評価する際には、少なくとも次の3点を分けて見る必要があります。
- 競技面:番付、勝敗、優勝実績、上位力士との対戦でどのような結果を残しているか。
- 責任面:2021年のガイドライン違反と虚偽報告に対し、協会が処分を行った事実をどう受け止めるか。
- 継続性:一場所の好成績だけでなく、複数場所にわたって安定した相撲を取れるか。
2026年に幕内上位へ戻ってきたことは、競技者としての再起を示す明確な材料です。一方、信頼回復は一度の勝ち越しや番付上昇だけで完了するものではありません。土俵上の結果と、力士としての規律ある行動の両方が、今後も評価の対象になります。
【2026年最新】朝乃山の現在地と三役復帰への展望
2026年10月28日時点で、朝乃山は幕内力士として現役を続けています。日本相撲協会の公式プロフィールによると、9月の秋場所は東前頭6枚目で10勝5敗。翌10月26日に発表された11月の九州場所の新番付では、5枚上がって東前頭筆頭となりました。
2026年の成績を振り返ると、初場所は9勝6敗、春場所は8勝7敗、夏場所は7勝5敗3休、名古屋場所は9勝6敗、秋場所は10勝5敗です。5月場所には休場がありましたが、その後は勝ち越しを続け、秋場所では初の2桁勝利を挙げました。
九州場所は2026年11月8日に福岡国際センターで初日を迎えます。東前頭筆頭は三役に近い位置であり、上位力士との対戦が増えることが見込まれます。秋場所の成績を踏まえれば、三役復帰を目指すうえで重要な場所になるでしょう。
もっとも、前頭筆頭に上がったことと、三役復帰が確定したことは別です。三役の地位は、対戦相手や場所全体の成績、番付編成などによって決まります。九州場所で上位力士を相手にどのような成績を残せるかが、次の番付を考えるうえでの焦点です。
朝乃山の現在を理解するうえでは、2021年の不祥事だけでなく、その後の番付推移も欠かせません。6場所出場停止によって三段目まで落ちた後、2023年に幕内へ復帰。2024年の大けがで再び三段目まで落ちた後、2025年に十両へ復帰し、2026年には幕内筆頭まで上がりました。
不祥事を起点とした転落からの再起という意味でも、負傷を乗り越えた競技復帰という意味でも、朝乃山は現在、新たな節目を迎えています。今後の焦点は、番付を戻した事実だけではなく、幕内上位で勝ち越しを続け、三役復帰につなげられるかどうかです。
【朝乃山不祥事】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:朝乃山の不祥事とは、具体的に何をしたのですか?
A1:2021年、新型コロナウイルス対策の外出自粛期間中にキャバクラへ通うなど、協会のガイドラインに違反しました。加えて、協会の事情聴取に当初は事実を否定し、その後に認めたことも処分理由となりました。
Q2:朝乃山の処分はなぜ6場所出場停止だったのですか?
A2:外出自粛期間中の違反が繰り返されていたことに加え、協会への虚偽報告が重く見られたためです。日本相撲協会は2021年6月11日、6場所出場停止と6カ月間の報酬50%減額を決定しました。
Q3:朝乃山はなぜ大関から陥落したのですか?
A3:2021年5月場所で7勝5敗3休となり、次の7月場所をかど番で迎える状況でした。ところが、出場停止によって7月場所に出場できず、大関の地位を失いました。
Q4:朝乃山はいつ幕内に復帰しましたか?
A4:2023年5月場所に幕内へ復帰し、12勝3敗を記録しました。その後、2024年の膝の大けがで再び番付を落としましたが、2025年に十両へ復帰し、2026年1月場所に再入幕を果たしました。
Q5:2026年現在、朝乃山はどの番付にいますか?
A5:2026年9月場所は東前頭6枚目で10勝5敗でした。10月26日に発表された11月の九州場所の番付では、東前頭筆頭に昇進しています。三役復帰を狙える位置まで戻っていますが、復帰が決まったわけではありません。
まとめ:【プロの結論】朝乃山の不祥事と再起をどう評価するべきか
朝乃山不祥事の本質は、2021年の新型コロナ対策ガイドライン違反だけではありません。繰り返された外出自粛ルール違反に加え、協会の調査に対する虚偽報告が重なったことで、6場所出場停止と報酬50%減額という重い処分に至りました。大関陥落と三段目への降下は、その処分が競技人生に及ぼした大きな影響でした。
一方、朝乃山は2022年に土俵へ復帰し、2023年に幕内へ戻りました。2024年の左膝の大けがによって再び番付を落としたものの、2025年に関取復帰を果たし、2026年には東前頭筆頭まで上がっています。これは、長期休場と番付降下を経験しながら、実際の取組結果によって地位を取り戻してきた経過です。
朝乃山の現在を判断する際は、過去の不祥事への責任と、現在の競技成績を切り分けて考えることが大切です。過去の違反をなかったことにする必要はありませんが、その後の復帰や成績まで否定する理由にもなりません。評価の基準は、処分に至った事実、本人が土俵で残している結果、そして今後も安定して力を発揮できるかどうかです。
2026年11月の九州場所は、朝乃山にとって三役復帰への可能性を探る重要な舞台となります。東前頭筆頭という位置から上位力士と対戦し、勝ち越しを重ねられるか。かつての大関がどこまで番付を戻せるのか、その結果が今後の評価を左右することになります。