妊娠中にデーツを食べても大丈夫なのか、1日に何個までならよいのか、気になっている妊婦さんもいるのと考えられます。デーツはナツメヤシの果実を乾燥させたドライフルーツで、自然な甘みが強く、食物繊維やカリウム、マグネシウムなどを含んでいます。一方、乾燥によって糖質やエネルギーが凝縮されているため、食べる量には気を配りたい食品です。
こども家庭庁が公表する「妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針」は、妊娠中の栄養管理について、特定の食品に偏らず、主食・主菜・副菜を組み合わせたバランスのよい食事を基本としています。デーツについても、妊娠中だから一律に避けるのではなく、栄養成分や食べる量、妊娠糖尿病の有無を踏まえて取り入れることが大切です。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 食べてもいい?:一般的に、妊娠中のデーツは一律に禁止されている食品ではありません。
- 1日何個?:公的なデーツ専用の摂取基準はありません。品種や大きさ、ほかの食事の糖質量を考慮しましょう。
- 妊娠糖尿病がある場合:糖質が多いため、食べる量やタイミングを主治医・管理栄養士と相談が必要です。
【結論】妊娠中にデーツを食べても大丈夫?知っておきたい基本

妊娠中にデーツを食べること自体は、一般的には問題ありません。通常の食品として適量を楽しむのであれば、妊娠初期・中期・後期のいずれでも、デーツという理由だけで一律に避ける必要はありません。
ただし、「自然由来の甘みだから食べ放題」「栄養価が高いから毎日たくさん食べたほうがよい」という考え方は適切ではありません。デーツは水分が少ないドライフルーツで、少量でも糖質とエネルギーを摂取しやすい食品です。
妊娠中は、母体の健康と胎児の発育に必要なエネルギーや栄養素を確保しながら、体重や血糖値にも配慮する必要があります。デーツを取り入れる場合も、普段の食事に加えて際限なく食べるのではなく、間食や果物の一部として量を調整するとよいでしょう。
また、妊娠糖尿病と診断されている人、血糖値について医療機関から指導を受けている人、食事療法を行っている人は、一般的な妊婦向けの目安をそのまま当てはめないでください。個々の血糖管理目標や食事計画によって、適切な量は異なります。
妊娠中の食品選びでは、特定の食品だけで健康状態が決まるわけではありません。デーツを食べるかどうかだけでなく、食事全体のバランスと継続できる食習慣を考えることが基本です。
【栄養成分を比較】デーツの糖質・カロリー・食物繊維はどのくらい?
デーツの特徴は、自然な甘みと、食物繊維やミネラルを含むことです。一方、乾燥によって糖質が凝縮されているため、果物だから低カロリーとは限りません。
米国農務省(USDA)のFoodData Centralに掲載されている栄養データでは、メジュール種のデーツは可食部100g当たり約277kcal、炭水化物約75g、食物繊維約6.7gです。大きさによって1個当たりの数値が大きく変わるため、個数だけで判断しないことがポイントです。
| 項目 | メジュール種100g | 大きめの1個(約24g) |
|---|---|---|
| エネルギー | 約277kcal | 約66kcal |
| 炭水化物 | 約75g | 約18g |
| 食物繊維 | 約6.7g | 約1.6g |
| たんぱく質 | 約1.8g | 約0.4g |
| 脂質 | 約0.2g | 約0.04g |
出典:米国農務省(USDA)FoodData Centralのメジュール種データ。数値は概算で、製品や品種、乾燥状態によって異なります。炭水化物は食物繊維を含む値です。
小ぶりのデーツは1個約7gの製品もあり、その場合は1個当たり約20kcal、炭水化物約5.3g、食物繊維約0.6gが目安です。大きめのメジュール種と小ぶりの品種では、同じ「3個」でも摂取量に大きな差が生じます。
食物繊維は便秘対策の選択肢になる
妊娠中はホルモンの変化や大きくなる子宮の影響などから、便秘になりやすくなります。こども家庭庁の妊娠・出産に関する情報でも、便秘の予防には水分摂取、食物繊維を含む食品、適度な運動などが勧められています。
デーツに含まれる食物繊維は、普段の食事で不足しがちな食物繊維を補う選択肢の一つです。ただし、デーツだけで便秘が解消するわけではありません。野菜、豆類、海藻、きのこ、ほかの果物なども組み合わせ、十分な水分を摂ることが大切です。
食物繊維を急に増やすと、お腹の張りやガスが気になる人もいます。食べ慣れていない場合は少量から始め、体調に合わせて調整してください。便秘が続く場合や腹痛を伴う場合は、妊婦健診で医師に相談しましょう。
カリウムやマグネシウムなどのミネラルも含まれる
デーツには、カリウムやマグネシウムのほか、銅や鉄などのミネラルも含まれています。カリウムは体内の水分・電解質バランスに関係し、マグネシウムは筋肉や神経の働きなどに関わる栄養素です。
ただし、含有量は食べる量に左右されます。デーツを1個食べたからといって、妊娠中に必要なミネラルを十分に補えるわけではありません。また、デーツに鉄が含まれていても、妊娠中の貧血対策をデーツだけに頼るのは不十分です。鉄を含む食品や、必要に応じて医療機関から指示された治療・サプリメントを組み合わせましょう。
【妊娠初期・中期・後期】時期によってデーツの食べ方は変わる?
デーツに関して、妊娠初期は何個、中期は何個、後期は何個という公的な摂取基準は設けられていません。妊娠時期によって一律に食べる量を変えるというより、つわりの状態、食事全体の栄養バランス、血糖値、体調に応じて判断することが大切です。
妊娠初期:つわりと食べやすさを優先する
妊娠初期は、吐き気や食欲の変化によって食べられるものが限られることがあります。デーツの甘みが食べやすいと感じる人もいれば、濃厚な甘さで気持ち悪くなる人もいます。
無理に食べる必要はありません。食べられる場合は少量から試し、主食やたんぱく質を含む食品なども含めて、できる範囲で食事を整えましょう。水分が摂れない、嘔吐が続く、体重が大きく減るといった症状がある場合は、早めに産婦人科に相談してください。
妊娠中期:間食の一つとして取り入れる
妊娠中期は、食欲が戻って食事や間食を楽しめるようになる人もいます。デーツを食べる場合は、食事量や体重の変化も考慮し、間食の一部として取り入れるとよいでしょう。
例えば、デーツを少量食べる際に、無糖ヨーグルトや無塩のナッツなどを組み合わせる方法があります。ただし、組み合わせた食品の分だけエネルギーも増えるため、間食全体の量を調整してください。
妊娠後期:糖質量と出産への過度な期待に注意する
妊娠後期は、妊娠に伴うインスリン抵抗性が強くなり、血糖値が上がりやすくなる時期です。これは妊娠中の生理的な変化であり、デーツを食べたことだけが原因ではありませんが、糖質の多い食品を摂る際には量への配慮が必要です。
また、出産が近づくと「デーツを食べると陣痛が始まりやすくなる」「予定日どおりに出産できる」といった情報を見かけることがあります。しかし、デーツに出産日を調整する確実な効果があるとは確認されていません。出産準備のために大量に食べる必要はなく、食べるかどうかは体調と食事管理を優先して判断しましょう。
【1日何個が目安?】妊婦のデーツ摂取量は個数より重さで考える
妊娠中にデーツを1日何個食べてよいのかという疑問に対して、すべての妊婦さんに共通する公的な上限はありません。こども家庭庁の妊産婦向け食生活指針にも、デーツ専用の摂取量は示されていません。
そのため、以下は一般的な食事管理のための実用的な考え方であり、医学的に定められた安全上限ではありません。
- 大きめのメジュール種なら、まずは1個程度を間食の一部として考える。
- 小ぶりの品種なら、個数だけでなくパッケージの重量や栄養成分表示を確認する。
- すでに果物や甘い飲み物、お菓子を摂っている日は、間食全体の糖質とエネルギーを考慮する。
- 血糖値や体重について指導を受けている場合は、一般的な目安よりも個別の食事指導を優先する。
大きめのメジュール種を1個約24gとすると、約66kcal、炭水化物約18gです。2個なら約132kcal、炭水化物約36gとなります。自然な甘みで食べやすい反面、個数が増えると糖質も積み上がることが分かります。
一方、小ぶりのデーツは1個当たりの重量がかなり少ない場合があります。「1日2個まで」と個数だけを決めるよりも、実際に食べる重量と栄養成分を確認するほうが、摂取量を把握しやすくなります。
また、デーツを食べるために主食を極端に減らす方法はおすすめできません。妊娠中は母体と胎児に必要なエネルギーや栄養素を確保が必要です。特定の食品に合わせて食事を過度に制限するのではなく、主食・主菜・副菜を基本に全体のバランスを整えましょう。
【妊娠糖尿病は要注意】デーツと血糖値の関係、食べ過ぎのリスク
デーツは果実由来の食品ですが、糖質が多く、食べる量によっては食後血糖値に影響します。「砂糖を加えていないから血糖値は上がらない」という理解は正しくありません。自然に含まれる糖質も、血糖管理では考慮する必要があります。
妊娠糖尿病と診断されている場合
妊娠糖尿病は、妊娠中に初めて発見される糖代謝異常の一つです。国立健康危機管理研究機構の糖尿病情報センターは、妊娠中は胎盤から分泌されるホルモンの影響でインスリン抵抗性が強くなり、とくに妊娠後期に血糖値を正常に保つための管理が重要になると説明しています。
妊娠糖尿病の食事療法では、胎児の健全な発育に必要な栄養を確保しながら、食後の高血糖を防ぐことが大切です。日本糖尿病・妊娠学会の食事療法に関する解説でも、妊娠中に必要なエネルギーを確保し、食事を分けるなどして血糖を管理する考え方が示されています。
妊娠糖尿病がある場合、デーツを必ず禁止しなければならないわけではありません。ただし、糖質量が多いため、食べる量やタイミングを自己判断で決めず、主治医や管理栄養士に相談することをおすすめします。血糖自己測定を行っている人は、医療機関から指示された測定方法と管理目標に従ってください。
食べ過ぎると何が問題になる?
妊娠中にデーツを食べ過ぎた場合、主に気をつけたいのは次の点です。
- 糖質・エネルギーの過剰摂取:デーツを何個も食べると、間食だけで相当量の糖質やカロリーを摂ることがあります。
- 血糖値への影響:妊娠糖尿病がある人や血糖値が上がりやすい人は、食べる量によって食後血糖値が高くなる可能性があります。
- お腹の張りや不快感:食物繊維を多く摂ることに慣れていない人は、量によってガスや腹部の不快感が出ることがあります。
- 食事バランスの偏り:デーツで満腹になり、主食やたんぱく質、野菜など必要な食品を十分に食べられなくなるのは避けたいところです。
なお、デーツを食べること自体が妊娠糖尿病を直接引き起こすと断定することはできません。妊娠糖尿病には妊娠に伴うホルモン変化やさまざまなリスク因子が関係します。大切なのは、デーツだけを原因と決めつけることでも、健康的な食品だからと量を気にしないことでもなく、食事全体の糖質と血糖管理を考えることです。
ドライフルーツを選ぶときの注意点
市販のデーツを購入するときは、原材料表示を確認しましょう。砂糖やシロップが追加されている製品は、果実のみを原材料とする製品と栄養成分が異なる可能性があります。栄養成分表示があれば、1袋当たりのエネルギーや炭水化物も確認してください。
また、開封後は製品の表示に従って保存し、カビや異臭などの異常があるものは食べないでください。種が残っている商品では、種を取り除いてから食べましょう。デーツを含め、妊娠中の食品選びでは適量と衛生面の両方に気を配ることが大切です。
【出産予定日への効果は?】デーツで陣痛が始まるという説を検証
妊娠後期のデーツについては、出産までの期間や陣痛、子宮頸管の状態などとの関係を調べた研究があります。こうした研究があることから、出産予定日が近づいた妊婦さんの間でも、デーツを食べることへの関心が高まっています。
2024年に公表された系統的レビュー・メタ解析では、妊娠後期や分娩期などにデーツを摂取した研究をまとめ、分娩時間や陣痛促進に関する介入の必要性など、一部の結果に関連が認められたと報告しています。
ただし、同レビューでは研究の質に問題があり、多くの研究でバイアスのリスクが高かったこと、安全性を評価できる試験も限られていたことが指摘されています。結果をそのまま一般の妊婦さんに当てはめることはできず、デーツによって出産が確実に早まる、予定日どおりに陣痛が始まるといった効果が証明されたわけではありません。
つまり、研究で示された可能性と、医学的に確立した効果は分けて考える必要があります。デーツを食べることを出産準備の必須事項にしたり、予定日が近いからといって急に大量に食べたりする必要はありません。
出産予定日が近づいて不安がある場合や、陣痛を促す方法を検討している場合は、自己流の食事療法に頼らず、妊婦健診で医師に相談しましょう。出産の時期は妊娠経過や母体・胎児の状態などによって異なります。
【デーツ妊娠中】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:妊娠初期からデーツを食べても大丈夫ですか?
A1:一般的には、妊娠初期だからという理由だけでデーツを避ける必要はありません。つわりなどで食べにくい場合は無理をせず、食べられる場合も少量から取り入れましょう。妊娠糖尿病などで食事指導を受けている場合は、医療機関の指示を優先してください。
Q2:妊婦はデーツを1日何個まで食べてよいですか?
A2:デーツ専用の公的な上限はありません。大きめのメジュール種なら1個約66kcal、炭水化物約18gが目安です。品種や大きさによって差があるため、個数だけでなく重量や栄養成分表示を確認し、間食全体の量を調整しましょう。
Q3:デーツは妊娠糖尿病があっても食べられますか?
A3:一律に禁止されているわけではありませんが、糖質が多いため注意が必要です。血糖管理の目標や食事計画によって適切な摂取量は異なります。自己判断で食べる量を決めず、主治医や管理栄養士に相談してください。
Q4:デーツを食べると便秘は改善しますか?
A4:デーツには食物繊維が含まれているため、食物繊維を補う食品の一つになります。ただし、デーツだけで便秘が治るわけではありません。水分を十分に摂り、野菜や豆類なども組み合わせ、必要に応じて医師に相談しましょう。
Q5:妊娠後期にデーツを食べると陣痛が早まりますか?
A5:関連を調べた研究はありますが、効果を確実に証明するにはエビデンスが不十分です。デーツを食べれば陣痛が始まる、予定日どおりに出産できるといった保証はありません。出産を促す目的で大量に食べることは避けましょう。
まとめ:妊娠中のデーツは適量と糖質管理を意識して取り入れよう
妊娠中のデーツは、一般的には一律に禁止されている食品ではありません。食物繊維やカリウム、マグネシウムなどを含み、間食の選択肢として取り入れられます。一方で、乾燥によって糖質とエネルギーが凝縮されているため、食べ過ぎには注意が必要です。
妊婦さんがデーツを取り入れる際は、次の3点を意識しましょう。
- 量を把握する:「1日何個」と決めつけず、品種や大きさ、重量、炭水化物量を確認する。
- 食事全体で考える:デーツだけに栄養を頼らず、主食・主菜・副菜を組み合わせた食生活を基本にする。
- 個別の健康状態を優先する:妊娠糖尿病や血糖値の問題がある場合は、主治医や管理栄養士の指導に従う。
妊娠初期・中期・後期のいずれでも、デーツを無理に食べる必要はありません。出産予定日への効果についても、確実な効果が証明されているわけではありません。公的な妊産婦の食生活指針を基本に、体調や食事内容に合わせて適量を楽しみ、気になる症状や食事管理の悩みは妊婦健診で相談しましょう。