高級「生」食パン専門店「乃が美」の創業者として知られる阪上雄司氏。全国規模のブランドを築いた経営者が、なぜ2022年に乃が美の経営から退いたのでしょうか。検索では、森野博之氏との対立やクレアシオン・キャピタルとの関係、退任後の活動なども関心を集めています。
阪上氏本人が公表した説明の中心にあるのは、乃が美での事業を「卒業」し、「人にも、農家さんにも、環境にも優しい」事業に取り組みたいという思いです。一方、退任前後の乃が美では、高級食パン市場の変化やフランチャイズ加盟店の経営問題が報じられていました。公式に示された退任の理由と、当時の経営環境を分けて見ることが、真相を理解する手がかりになります。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 退任時期:阪上雄司氏は2022年に乃が美の経営から退いた。報道では同年3月末が退任時期として扱われている。
- 本人が示した理由:「事業を卒業」と表現し、農家や環境にも配慮した新たな事業に挑戦する意向を公表した。
- 対立説の扱い:森野博之氏や投資会社をめぐる報道はあるが、対立が退任の直接原因だったと確定できる公表資料は確認できない。
- 2026年の活動:起源ホールディングスを軸に、食パン、芋菓子、ラーメンなどの事業を展開。ラジオ番組「阪上雄司の縁モーニング!!」への出演も続いている。
【退任理由の核心】阪上雄司氏が乃が美を離れたのはなぜ?

阪上雄司氏の退任理由を考えるうえで、まず押さえたいのは、本人が公表した説明と、周囲から報じられた経営上の問題は同じものではないという点です。
2022年6月6日、株式会社SHI-MIZUは「高級芋菓子しみず」事業を株式会社起源ホールディングスに譲渡したことを発表しました。このプレスリリースには、阪上氏本人のコメントが掲載されています。乃が美について、創業者として全国展開や海外進出を実現し、「本年度より事業を卒業させて頂きました」と説明しました。
さらに阪上氏は、経営者として以前から取り組みたかった「人にも、農家さんにも、環境にも優しい」事業を世界に発信したいという考えを示しています。その具体的な選択肢となったのが、20年来の縁があったSHI-MIZU創業者の水本弥知秀氏から引き継ぐ芋菓子事業でした。
この発言から読み取れるのは、阪上氏が乃が美でのブランド構築を一つの区切りとし、次の経営テーマへ移ろうとしていたことです。少なくとも、本人が公に説明した退任の背景は、新規事業への挑戦と経営者としての方向転換にあります。
ただし、「事業を卒業」という表現だけで、退任のすべての事情が明らかになるわけではありません。経営判断の内部事情や、当時の関係者との協議内容まで詳細に説明した公式発表は見当たりません。したがって、本人が示した新たな事業への意欲と、後に報じられた乃が美の経営問題を区別して捉える必要があります。
【退任の経緯】2013年の創業から2022年の転身までを時系列で整理
阪上氏の経歴をたどると、乃が美の創業は、それまでの飲食店経営で培った経験を生かした新しい挑戦でした。そして退任後も、食の分野を中心に複数の事業へ取り組んでいます。公式プロフィールや企業発表、当時の報道をもとに、主要な節目を整理します。
| 時期 | 主な出来事 | 確認できる内容 |
|---|---|---|
| 1968年 | 兵庫県に生まれる | 起源ホールディングスの公式プロフィールに記載。 |
| 20代 | 飲食店経営を開始 | ダイエー勤務を経て26歳で飲食店を開業。 |
| 2007年 | 大阪プロレスの代表に就任 | 企業プロフィールでは、同団体の経営に携わった経歴を紹介。 |
| 2013年 | 乃が美を創業 | 高級「生」食パン専門店を立ち上げ、全国展開を進める。 |
| 2019年 | 乃が美が投資会社と資本提携 | 当時の報道では、クレアシオン・キャピタルへの株式譲渡と資本提携が伝えられた。 |
| 2022年3月末 | 乃が美の経営から退任 | 退任時期として報じられている。本人は同年の発表で「事業を卒業」と説明。 |
| 2022年5〜6月 | 起源ホールディングス設立・芋菓子事業の譲受 | 同社は2022年5月設立。高級芋菓子しみず事業は同年6月1日付で譲渡された。 |
| 2024年 | 新たな食パン・ラーメン事業を展開 | 「生」食パン創業家や「生わんたんらぁめん専門店 赤黄緑」の事業を発表。 |
| 2025〜2026年 | 複数事業とラジオ活動を継続 | 起源ホールディングスは2025年の経営承継を告知。ラジオ大阪では2026年10月の番組放送を確認できる。 |
この年表で注目したいのは、乃が美の退任から間を置かず、新しい会社と事業の立ち上げが進んでいることです。起源ホールディングスは2022年5月に設立され、翌6月には高級芋菓子しみず事業を引き継ぎました。
この流れは、阪上氏が退任後の活動を具体的に準備していたことを示しています。ただし、新会社の設立や事業譲受が進んでいた事実だけで、乃が美を離れることになった経緯のすべてを説明できるわけではありません。
【森野博之氏との対立説】乃が美の内紛報道は退任理由と直結するのか
阪上雄司氏の退任をめぐって注目されるのが、森野博之氏との関係や、投資会社クレアシオン・キャピタルを含む乃が美の経営体制です。
2019年、乃が美はクレアシオン・キャピタルに株式の約半数を譲渡して資本提携を結び、上場を目指す方針を進めたと報じられています。創業者が事業を立ち上げ、成長させる段階から、投資会社と連携して経営を拡大する段階へ移ったことは、経営体制を考えるうえで重要な背景です。
その後、乃が美ではフランチャイズ加盟店の経営難や本部との対立が複数のメディアで報じられました。2023年の週刊女性PRIMEの記事では、加盟店側からロイヤリティーの負担や経営状況について厳しい声が上がり、本部をめぐるトラブルが取り上げられています。森野氏やクレアシオン・キャピタルとの関係についても、関係者の証言を交えた報道がありました。
また、フードリンクニュースの2023年の記事では、元加盟店運営者の見方として、阪上氏の退任とフランチャイズ側の動きが結び付けて論じられています。ただし、これは関係者の証言や取材に基づく報道であり、退任の直接原因を確定する公式資料とは性質が異なります。
一方、2023年4月の週刊女性PRIMEの記事では、乃が美をめぐる匿名文書の内容について、本部側が「事実無根」であると否定したことも報じられています。記事では、文書の内容や関係者の主張だけでなく、会社側の説明も掲載されていました。匿名文書に書かれた疑惑を、そのまま確定した事実として扱うことはできません。
ここから導けるのは、退任前後に乃が美の経営をめぐる緊張が報じられていたことと、それが阪上氏の退任を直接引き起こしたと断定できることは別だという点です。対立があったとする報道は存在しますが、本人が公表した退任理由は新たな事業への挑戦であり、両者を結び付ける決定的な公式説明は確認できません。
【事業環境から検証】乃が美はなぜ難しい局面を迎えていたのか
退任の背景を理解するには、阪上氏個人の判断だけでなく、乃が美を取り巻いていた市場環境にも目を向ける必要があります。高級食パン市場は一時的なブームを経て、2021年前後から競争の激化や店舗の閉鎖が目立つようになりました。
乃が美は2013年の創業後、耳まで柔らかい食感や甘みを特徴とする高級「生」食パンで知名度を高めました。起源ホールディングスの公式プロフィールによれば、2022年には国内255店舗、台湾1店舗にまで展開していました。短期間で全国規模のブランドに成長したことは、阪上氏の経営者としての実績を示しています。
しかし、店舗数が拡大した時期には、高級食パン市場そのものにも変化が起きていました。MARRオンラインの2022年の記事は、2021年ごろから高級食パン店の閉店が相次ぎ、競合の増加や供給過多が市場の課題になっていたと分析しています。価格の高い食パンを日常的に買い続ける顧客が限られるなか、目新しさだけでは成長を維持しにくい状況が生まれていました。
加えて、2023年の報道では、新型コロナウイルスの影響や売り上げの低下、フランチャイズ加盟店のロイヤリティー負担などが問題として取り上げられています。加盟店側の主張には、本部側の説明や反論があるため、すべてを会社全体の確定した経営実態として一般化することはできません。それでも、店舗の拡大を続けるだけでは難しい局面に直面していたことは、当時の報道からうかがえます。
こうした事業環境を踏まえると、阪上氏の退任をめぐっては、本人が示した新規事業への意欲と、乃が美の経営が直面していた課題を別々に考える必要があります。市場の変化が退任の判断にどの程度影響したのか、あるいは経営陣との関係がどの程度関係したのかは、公表情報だけでは確定できません。
一つ確かなのは、阪上氏が乃が美を離れた後も、食のブランドを育てる仕事から離れたわけではないということです。むしろ、芋菓子や新しい食パン、ラーメンへと領域を広げており、経営者としての活動を継続しています。
【2026年最新】阪上雄司氏の現在と退任後の活動
2026年10月時点で、阪上雄司氏は起源ホールディングスの代表者として企業活動を続けています。同社の公式サイトでは、飲食店やスイーツブランドの企画・運営に加え、不動産、宅配、EC、経営コンサルティングなど幅広い事業が紹介されています。
乃が美の退任後に進めた事業のうち、特に注目されるのが「高級芋菓子しみず」です。2022年6月1日付で起源ホールディングスに事業が譲渡され、阪上氏は、農家とのつながりや環境への配慮を重視した事業として成長させたいという考えを示しました。これは、退任時に本人が語った新たな経営テーマと一致しています。
2024年には、兵庫県西宮市今津に「生」食パン創業家をオープンする計画が公表されました。起源ホールディングスの告知では、朝焼きにこだわった食パンを通じて、100年先まで受け継がれる商品を残したいという阪上氏の考えが紹介されています。乃が美を退任した後も、食パンそのものへの関心は続いていることが分かります。
加えて、2024年3月には、ラーメン店「人類みな麺類」の創業者・松村貴大氏と協力し、「生わんたんらぁめん専門店 赤黄緑」を開業しました。自家製麺と生わんたんを特徴とする新ブランドで、起源ホールディングスの公式サイトでは複数の店舗が紹介されています。食パンで培ったブランドづくりの経験を、異なる飲食分野へ展開する取り組みです。
また、起源ホールディングスは2025年5月、フレンチレストランの経営承継についても告知しています。こうした動きからは、単一ブランドを大きくする経営から、複数の食関連事業や周辺分野を組み合わせる経営へと活動の幅を広げている様子が見て取れます。
ラジオ活動も続いています。ラジオ大阪の「阪上雄司の縁モーニング!!」は、2026年10月24日放送分がradikoに掲載されています。番組では身近な物価高や地域の変化などを話題にしており、退任後も経営以外の発信活動を継続していることが確認できます。
以上を踏まえると、阪上氏の現在を「乃が美を辞めた後、表舞台から姿を消した」と捉えるのは正確ではありません。新たな食ブランドの立ち上げ、既存事業の承継、複数分野への展開、ラジオ出演という形で、経営者としての活動を続けています。
【阪上雄司の評判】経営実績と退任後の評価をどう見るべきか
阪上雄司氏の評判を判断する際には、乃が美を成長させた実績と、その後に同社をめぐって報じられた問題を切り分けることが大切です。
経歴面では、2013年に乃が美を創業し、全国展開を進めたことが大きな実績です。起源ホールディングスのプロフィールでは、乃が美が全国255店舗と台湾1店舗にまで拡大したことや、2016年の「パン・オブ・ザ・イヤー」金賞、2017〜2019年の「Yahoo!検索大賞」飲食部門受賞などが紹介されています。これらはブランドが広く認知されたことを示す具体的な材料です。
一方、乃が美のフランチャイズ加盟店をめぐっては、ロイヤリティーや店舗運営、契約解除などの問題が報じられました。こうした問題は、ブランドの知名度や商品の評価とは別に、フランチャイズ本部と加盟店の関係、出店計画、収益構造を検討する必要があることを示しています。報道で取り上げられた加盟店側の主張と、本部側の説明を区別して読むことも欠かせません。
また、阪上氏の退任後の活動を評価するうえでは、新しい事業が発表されたという事実と、事業が長期的に成功したかどうかを混同しないことも重要です。新ブランドの立ち上げや事業承継は活動の継続を示しますが、それだけで売り上げや収益性、加盟店の満足度まで判断することはできません。
経営者としての評価は、一つの成功や一つの問題だけで決められるものではありません。ブランドを成長させる力、市場の変化に対応する力、事業を持続可能な形で運営する力という複数の観点から見ることで、阪上氏の実績と今後の課題をより立体的に理解できます。
【プロの結論】阪上雄司氏の退任の真相を判断する3つのポイント
阪上雄司氏の退任理由を整理すると、最も確かな手がかりは、本人が2022年に公表した「事業を卒業」という説明と、新たな事業に取り組みたいという意思です。高級芋菓子しみず事業の譲受や、起源ホールディングスの設立は、その意思が具体的な経営行動につながったことを示しています。
一方で、退任前後の乃が美では、市場の縮小やフランチャイズ加盟店の経営難、経営陣をめぐる報道がありました。こうした状況が退任の背景を考えるうえで無関係とは言い切れませんが、本人が説明した理由と、関係者が語った対立説を同じ確度の情報として扱うことはできません。
「阪上雄司の退任の真相」を調べる読者が押さえたい判断基準は、次の3点です。
- 本人の発言:2022年の本人コメントでは、新たな事業への挑戦が明確に示されている。
- 経営環境:乃が美では高級食パン市場の変化や加盟店の経営問題が報じられ、事業上の難しさが表面化していた。
- 対立説の根拠:関係者の証言や報道は存在するが、それだけで退任の直接原因を確定することはできない。
この3点を区別すると、退任を単純な「円満退任」あるいは「対立による追放」と決め付けることなく、公開情報から分かる範囲を整理できます。阪上氏の退任後の活動を見ても、事業から身を引いたというより、新たなブランドや経営領域へ軸足を移したと捉える方が、本人の発信やその後の行動と整合します。
【阪上雄司退任理由】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:阪上雄司氏が乃が美を退任したのはいつですか?
A1:2022年に乃が美の経営から退いており、報道では同年3月末が退任時期として扱われています。同年6月に公表された高級芋菓子しみず事業の譲渡に関する本人コメントでも、「事業を卒業」と説明しています。
Q2:阪上雄司氏の退任理由は、森野博之氏との対立だったのですか?
A2:森野博之氏や乃が美の経営体制をめぐる対立説は、関係者の証言を含む報道で取り上げられています。ただし、対立が退任の直接原因だったと確定できる公式発表は確認できません。本人が公表した説明では、新しい事業への挑戦が退任後の方向性として示されています。
Q3:阪上雄司氏は2026年現在、何をしているのですか?
A3:起源ホールディングスを軸に、芋菓子、食パン、ラーメンなどの事業に取り組んでいます。また、ラジオ大阪の「阪上雄司の縁モーニング!!」は2026年10月24日放送分が確認でき、ラジオでの発信も続いています。
まとめ:阪上雄司氏の退任理由と今後の活動を正しく理解するために
阪上雄司氏が乃が美の経営から退いた背景について、本人が公表した説明の中心は「事業を卒業」し、農家や環境にも配慮した新たな事業に取り組むというものでした。2022年には高級芋菓子しみず事業を引き継ぎ、その後も新しい食パンブランドやラーメン事業などへ活動を広げています。2026年現在も、起源ホールディングスの代表者としての活動やラジオ出演が確認できます。
乃が美をめぐっては、森野博之氏との関係やクレアシオン・キャピタルとの資本提携、フランチャイズ加盟店の経営問題など、退任の背景を考えるうえで見逃せない報道もありました。ただし、報道された問題が退任の直接原因だったと断定することはできません。
退任の真相を知るうえで重要なのは、本人が実際に公表した発言、企業の公式発表、関係者の証言に基づく報道を区別することです。阪上氏の退任は、乃が美の創業者としての役割に一区切りを付け、別の事業へ挑戦する転換点だったと理解できます。その選択が今後どのような成果につながるのか、起源ホールディングスの事業展開とあわせて注目されます。