2026年10月30日時点で、広島東洋カープが発表した支配下選手への戦力外通告は合計10人となっている。
10月1日の第1次発表では内野手3人と外野手1人、10月24日の第2次発表では投手5人と外野手1人が対象となった。
10月1日発表:第1次戦力外通告の4人
| 選手名 | 守備位置 | 背景・実績 |
|---|---|---|
| 小園海斗 | 内野手 | 2025年首位打者・最高出塁率 |
| 矢野雅哉 | 内野手 | 2024年ゴールデングラブ賞 |
| 前川誠太 | 内野手 | 2025年に支配下登録 |
| 田村俊介 | 外野手 | 2025年にプロ初本塁打 |
10月24日発表:第2次戦力外通告の6人
| 選手名 | 守備位置 | 背景・実績 |
|---|---|---|
| ケムナ誠 | 投手 | 3年連続40試合以上登板の実績 |
| 長谷部銀次 | 投手 | トヨタ自動車出身の右腕 |
| 松本竜也 | 投手 | 2022年に1軍50試合登板 |
| 日髙暖己 | 投手 | 西川龍馬の人的補償で加入 |
| 辻大雅 | 投手 | 左肘手術後の育成契約打診が焦点 |
| 中村貴浩 | 外野手 | 育成出身、2023年に支配下登録 |
この10人は、いずれも球団から2027年シーズンの契約を結ばないと伝えられた支配下選手だ。発表日と選手名は球団発表やTBSテレビ、日刊スポーツなどの報道で確認できる。
注目すべきなのは、単純に若手選手や出場機会の少ない選手だけが対象になったわけではないことだ。前年のタイトル獲得者や、過去にチームのブルペンを支えた投手も含まれている。
【10月1日の4人】小園海斗・矢野雅哉らの戦力外理由と通告経緯

第1次戦力外通告が大きな衝撃を与えた理由は、実績だけを見れば主力級といえる選手が複数含まれていたためだ。
背景には、2026年に球団を揺るがした指定薬物エトミデートを巡る問題がある。
小園海斗はなぜ戦力外になったのか
さらに2026年春のWBC日本代表にも選ばれており、球団の中心選手として期待されていた。
しかし、2026年シーズンは101試合出場、打率.257、1本塁打、23打点という成績だった。8月18日には出場選手登録を抹消されている。
今回の通告で重要なのは、球団が説明した理由だ。
10月1日、鈴木清明球団本部長は4選手について、来季に向けて新井監督のもとで一丸となるため、球団との信頼関係を築くことが難しいと判断した旨を説明した。
小園本人も取材に対し、球団から信頼できないと言われたと明かしている。
つまり、小園の戦力外は今季の打撃成績だけでは説明できない。球団が問題視したのは、チーム運営における信頼関係だった。
矢野雅哉の戦力外通告はどのような経緯だったのか
守備力には定評があり、2024年には137試合に出場。遊撃手として119試合に先発した実績を持つ。
一方、2026年は44試合出場、打率.169、1本塁打、5打点にとどまった。
通告に至るまでの経緯には、指定薬物エトミデートを巡る問題が関係している。
- 2026年7月:矢野と前川の自宅が家宅捜索を受けたことを球団が公表。
- 9月25日:両選手が医薬品医療機器法違反の疑いで書類送検されたと報道。
- 10月1日:矢野と前川を含む4選手に戦力外通告。
- 10月16日:広島地検が矢野と前川を不起訴処分と発表。
特に重要なのが10月16日の不起訴処分だ。
広島地検は、送致事実を認定するに足りる十分な証拠がないことを理由としている。書類送検されたことと、有罪が確定したことは全く異なる。両選手について有罪判決が出たわけではない。
前川誠太と田村俊介の現在は?
しかし、1軍での通算出場は53試合、打率.160、本塁打なし、11打点にとどまった。
矢野とともにエトミデートを巡る問題で書類送検されたが、10月16日に不起訴処分となっている。
一方、
2025年4月5日のDeNA戦では、代打でプロ初本塁打となるサヨナラ本塁打を記録した。
しかし2026年は4試合出場、12打数1安打、打率.083という結果だった。
ここで整理しておきたいのは、4人の法的な立場は同じではないという点だ。
矢野と前川は書類送検された後、不起訴となった。小園と田村については、当時の報道で写真が取り上げられたものの、矢野・前川と同じ書類送検の経緯ではない。
4人全員が球団から来季契約を結ばないと通告されたことと、それぞれの法的な扱いは分けて理解する必要がある。
【10月24日の6人】ケムナ誠・長谷部銀次・松本竜也らの戦力外理由
10月24日の第2次通告は、投手陣の再編という意味合いが強い。
6人のうち5人が投手であり、ケガによる離脱、1軍登板機会の減少、2軍での成績など、それぞれ異なる事情がある。
ケムナ誠:かつてのブルペンを支えた右腕
2020年から3年連続で40試合以上に登板し、リリーフ陣の一角を担ってきた。
しかし、2023年9月に右肘の手術を受け、2024年の1軍登板は5試合。2025年と2026年は1軍登板がなかった。
2026年の2軍成績は24試合登板、3勝4敗、防御率5.33だった。
ケムナは戦力外通告後、現役続行を希望する姿勢を示した。
本人は、どの球団のユニホームを着てでもマツダスタジアムのマウンドに戻りたいという思いを語っている。
過去の登板実績を考えれば、経験豊富な中継ぎ投手を必要とする球団にとっては、獲得を検討する余地がある選手だ。
長谷部銀次:社会人出身の左腕に厳しい評価
2024年と2025年は、それぞれ1軍で5試合に登板。しかし2026年は1軍登板がなかった。
2軍でも21試合登板で0勝3敗、防御率9.86という厳しい数字に終わっている。
社会人野球で培った経験や制球力を生かせるかが、今後の現役続行に向けたポイントとなる。
松本竜也:プロ1年目の実績から再起を目指す
プロ1年目の2022年には50試合に登板し、4勝2敗、4ホールド、防御率3.56を記録した。
しかし、その後は登板機会が減少。2025年は1軍4試合、2026年はわずか1試合の登板だった。2026年の防御率も54.00と苦しい結果に終わった。
1年目に見せた能力を取り戻せるかが、今後の評価を左右する。
日髙暖己:人的補償で加入した若手右腕
将来性を期待された投手だったが、広島在籍中に1軍登板を果たせないまま戦力外となった。
2026年の2軍では11試合に登板し、防御率3.94を記録している。
まだ若く、他球団や独立リーグで経験を積む選択肢も考えられる。
辻大雅:左肘手術後の育成再契約が焦点
2025年は1軍16試合に登板し、防御率1.13を記録。2026年も中継ぎとして36試合に登板した。
ただし、今季は防御率が4点台となり、9月には左肘のトミー・ジョン手術を受けた。
報道では、球団が育成契約を打診する方針とされている。戦力外通告を受けたものの、リハビリを経てカープに残る道が残されている選手だ。
中村貴浩:育成出身の外野手が再起を目指す
2023年に支配下登録を勝ち取り、1軍15試合に出場。2024年も11試合に出場した。
しかし、2025年と2026年は1軍出場がなかった。故障なども重なり、プロ通算の1軍出場は26試合にとどまった。
長打力を武器とする選手だけに、今後は打撃面でどれだけアピールできるかが重要になる。
【育成選手の自由契約】杉原望来・ラミレス・ロベルト・河野佳の違い
2026年の広島の人事で、もう一つ見落とせないのが育成選手の自由契約だ。
10月26日、球団は育成契約中だった3選手を自由契約とすることを発表した。
10月26日に発表された育成3選手
3人はいずれも育成選手として3年目を終えた選手だった。
育成契約では、連続して3シーズンを経過し、翌年度も支配下契約に移行しない場合、契約上の自由契約に関する規定が適用される。
そのため、今回の発表を通常の支配下選手への戦力外通告と同じ意味で捉えるのは正確ではない。
特に注目したいのがモイセス・ラミレスだ。
2026年は2軍で77試合に出場し、打率.279、7本塁打、35打点を記録。9月度のファーム月間MVP賞も受賞した。
自由契約となったことだけを見て、球団から完全に評価されなくなったと判断するのは早い。
10月30日には河野佳も自由契約選手として公示
さらに10月30日、NPBは2027年度の育成選手保留者名簿を公示した。
この名簿に記載されなかった育成選手は自由契約となる。
広島からは次の4選手がNPBの自由契約選手一覧に掲載された。
- 河野佳(投手)
- 杉原望来(投手)
- モイセス・ラミレス(内野手)
- ネルソン・ロベルト(外野手)
ここで重要なのが河野佳の経緯だ。
河野は2025年オフに一度戦力外通告を受けた後、同年11月に広島と育成選手契約を結んだ選手である。
2026年は支配下復帰を目指し、ファームで25試合に登板。8勝3敗、防御率2.01を記録し、ファーム・リーグ西地区の投手部門で最優秀防御率、最多勝、最高勝率の3冠を獲得した。
今回の自由契約公示は、杉原ら3人の3年経過によるケースとは経緯が異なる。
また、河野と杉原は10月30日に球団が発表した秋季キャンプの参加メンバーにも名前が掲載されている。
ただし、キャンプ参加は再契約が決定したことを意味しない。今後の契約発表が焦点になる。
戦力外通告と自由契約は何が違う?
| 比較項目 | 戦力外通告 | 自由契約 |
|---|---|---|
| 意味 | 来季契約を結ばないという球団からの通知 | 他球団とも契約できる状態 |
| 主な対象 | 支配下選手など | 支配下・育成選手 |
| 他球団との交渉 | 自由契約などの手続き後 | 原則として可能 |
| 同じ球団との再契約 | 可能 | 可能 |
| 現役引退 | 自動的には決まらない | 自動的には決まらない |
つまり、自由契約は必ずしも球団退団や現役引退を意味しない。
育成選手の場合は、翌年度の保留者名簿に載らなかったことによって自由契約となるケースがある。
その後、同じ球団と育成契約を結び直すことも可能だ。NPBの公示と契約の仕組みを理解しておけば、戦力外と自由契約を混同せずに済む。
【戦力外選手の移籍先と現役続行】2027年に向けた再起の可能性
戦力外通告を受けた選手の進路は、大きく分けて次の4つになる。
1. NPB他球団への移籍
2. 同じ球団との育成再契約
3. 独立リーグや海外リーグでの現役続行
4. 現役引退や球団スタッフなどへの転身
2026年10月30日時点では、10人全員の移籍先が決まったわけではない。
小園・矢野・前川・田村は現役続行を希望
10月1日に通告された4人については、現役続行を希望していると報じられている。
特に小園は2025年のタイトル獲得とWBC出場経験があり、打撃面での実績は大きな評価材料になる。
矢野もゴールデングラブ賞を獲得した守備力が強みだ。守備を重視する球団にとっては、検討対象になり得る選手といえる。
前川は若さと育成出身の成長余地、田村は左打ちの外野手としての打撃面が今後の評価ポイントになる。
第2次通告の6人も現役続行を目指す
10月24日に通告された選手についても、現役続行を希望する意向が報じられている。
特にケムナはNPBでのプレー継続を目指す姿勢を示した。
松本竜也はプロ1年目の50試合登板という実績があり、再起を目指す。日髙暖己もまだ若く、今後の成長を期待できる年齢だ。
一方、辻大雅は左肘手術後のリハビリが最優先となる。球団から育成契約を打診される方針が報じられており、支配下復帰を目指す道が現実的な選択肢となっている。
移籍先を判断するときに注目したいポイント
今後の動向を見るうえでは、単に他球団が獲得するかどうかだけでなく、選手の特徴と球団の補強事情を照らし合わせる必要がある。
- 投手の場合: 直近の登板数、故障歴、球速、制球力、先発・中継ぎの適性。
- 内野手の場合: 守備位置の幅、守備力、打撃成績、年齢。
- 外野手の場合: 長打力、出塁能力、守備範囲、左打ち・右打ちのバランス。
- 育成選手の場合: ファーム成績、成長曲線、支配下登録までの可能性。
NPBの他球団だけでなく、独立リーグや海外リーグも選択肢になる。
現役続行を希望している選手にとっては、トライアウトなどで実力を示し、新しい契約につなげられるかが重要だ。
【2027年広島カープの編成】支配下登録と戦力補強の焦点
今回の戦力外通告は、2027年のチーム構成を考えるうえでも大きな意味を持つ。
10人の内訳は投手5人、内野手3人、外野手2人。投手陣と内野の再構築が必要になる。
2026年ドラフトでは支配下6人・育成3人を指名
広島は10月22日の2026年ドラフト会議で、支配下6人、育成3人の合計9人を指名した。
NPB公式の指名選手一覧は次のとおりだ。
支配下指名
- 1位:山里宝(内野手・亜細亜大学)
- 2位:西野啓也(捕手・立命館大学)
- 3位:野原元気(投手・京都産業大学)
- 4位:𠮷川凌平(投手・千葉商科大学)
- 5位:光弘帆高(内野手・明治大学)
- 6位:森煌誠(投手・NTT東日本)
育成指名
- 1位:車谷仁(内野手・茨城アストロプラネッツ)
- 2位:田代旭(捕手・筑波大学)
- 3位:皆吉海翔(内野手・長崎国際大学)
支配下指名6人の内訳を見ると、投手3人、内野手2人、捕手1人となっている。
今回の戦力外通告では内野手3人が対象になったため、1位の山里宝や5位の光弘帆高には、将来的な内野の競争力を高める役割が期待される。
特に山里は二遊間を守れる選手として注目されている。小園や矢野の退団を受けた編成上の変化とも重なる。
支配下登録の上限70人と補強余地
NPBでは、球団が同一年度に支配下選手として登録できる人数は原則70人までと定められている。
NPBが公表した2026年7月31日時点の広島の登録人数は、支配下68人、育成10人だった。
ただし、これは7月末時点の数字であり、10月の戦力外通告やドラフト指名を反映した2027年の確定人数ではない。
今後の編成で注目されるのは次の3点だ。
1. 投手陣の再構築
ケムナ、長谷部、松本、日髙、辻の5投手が戦力外となった。ドラフトでは3投手を指名しているが、即戦力としてどこまで機能するかは入団後の評価次第だ。
既存の若手投手の成長や育成選手の支配下昇格も重要になる。
2. 二遊間を中心とした内野の再編
小園、矢野、前川の3内野手が対象になったことは、内野の競争環境に大きな変化をもたらす。
ドラフト1位の山里宝をはじめ、新人選手と既存選手によるポジション争いが焦点となる。
3. 外野の選手層と外国人補強
田村俊介と中村貴浩が対象となったことで、外野の選手層も再検討が必要だ。
外国人選手の残留や新規獲得、既存選手の起用法も含め、攻撃力をどのように確保するかが課題になる。
新井監督が掲げるチーム再建を実現するには、単に退団選手の人数を新人で埋めるだけでは足りない。支配下登録の枠を使い、どのポジションに即戦力を投入するかが2027年の編成を左右する。
【広島戦力外2026】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年に広島カープから戦力外通告を受けた選手は何人?
A1:10月1日に4人、10月24日に6人の合計10人です。いずれも支配下選手への戦力外通告です。別枠で、育成選手の自由契約も発表されています。
Q2:小園海斗と矢野雅哉の戦力外理由は同じ?
A2:球団が示した大きな理由は、4選手との信頼関係を築くことが難しいという判断です。ただし、矢野と前川は書類送検後に不起訴となっており、小園とは法的な経緯が異なります。
Q3:杉原望来やラミレスは広島を退団するの?
A3:自由契約となったことだけでは退団確定とはいえません。同じ球団と育成契約を結び直すことも可能です。
Q4:河野佳も戦力外通告を受けたの?
A4:河野は2025年オフに戦力外通告を受け、その後、広島と育成契約を締結しました。2026年10月30日にはNPBの自由契約選手一覧に掲載されています。
Q5:戦力外選手の移籍先は決まっている?
A5:10月30日時点では、全選手の移籍先が決定したわけではありません。現役続行希望者の他球団移籍や、育成再契約などの発表が今後の注目点です。
まとめ:広島カープの戦力外10人と2027年の再建を見守る
2026年の広島東洋カープは、10月1日の4人、10月24日の6人と、支配下選手10人に来季の契約を結ばない旨を通告した。
今回の人事で特に注目されたのは、小園海斗と矢野雅哉という実績のある内野手の退団だ。球団が説明した信頼関係の問題、エトミデートを巡る一連の経緯、そして矢野・前川の不起訴処分は、それぞれ区別して理解する必要がある。
また、ケムナ誠ら投手陣の再編、辻大雅の育成再契約の可能性、杉原望来・モイセス・ラミレス・ネルソン・ロベルト・河野佳の自由契約も見逃せない。
2027年に向けては、ドラフトで獲得した9人の新人、育成選手の支配下昇格、外国人補強、他球団からの戦力獲得がポイントになる。
プロの結論は、今回の戦力外を単なる退団人数で評価しないことだ。
重要なのは、失ったポジションの戦力をどのように補い、若手の成長と即戦力補強を両立させるかである。
小園らの新天地、ケムナら投手陣の現役続行、育成選手の再契約、そして2027年の支配下登録。これらの動向が、カープの次のシーズンを占う重要な材料となる。