ヨドバシカメラのCMや店内で流れる「まあるい緑の山手線」というおなじみのメロディー。耳に残る軽快な曲ですが、実はヨドバシカメラが独自に作曲したメロディーではありません。原曲として知られているのは、アメリカの愛国歌・賛歌「リパブリック讃歌(The Battle Hymn of the Republic)」です。
作詞者はヨドバシカメラの創業者・藤沢昭和氏。加えて、この旋律は童謡「権兵衛さんの赤ちゃん」や「ともだち讃歌」にも使われています。2026年にはマルチメディア池袋のテーマソングも登場し、同じメロディーが地域ごとに姿を変える特徴が改めて注目されました。原曲の歴史から作詞者、歌手名義、店舗別の歌詞、最新バージョンまで整理します。
【この記事の重要ポイントまとめ】
- 原曲:アメリカの愛国歌「リパブリック讃歌(The Battle Hymn of the Republic)」と同じ旋律を使った替え歌。
- 作詞者・歌手:歌詞は藤沢昭和氏によるものとされ、カラオケの楽曲情報では歌手名義がCM NETWORKと登録されている。
- 店舗別・2026年版:基本のメロディーを生かしながら地域に合わせて歌詞を変更。2026年には池袋店の新バージョンも登場した。
【原曲の答え】ヨドバシカメラの歌は「リパブリック讃歌」がルーツ
結論からいうと、ヨドバシカメラのCMソング「ヨドバシカメラの歌」は、アメリカの楽曲「リパブリック讃歌(The Battle Hymn of the Republic)」として知られる旋律を使った替え歌です。
歌い出しの「まあるい緑の山手線」というフレーズを聞けば、すぐに曲が思い浮かぶ人も多いはずです。日本では家電量販店のテーマソングとして定着していますが、旋律そのものは19世紀のアメリカにさかのぼります。
米国議会図書館(Library of Congress)の楽曲解説によると、このメロディーには南北戦争以前の教会集会で歌われた賛美歌の系譜があります。1850年代には「Say, Brothers, Will You Meet Us?」という歌が知られ、南北戦争期には「John Brown's Body」という行進歌として広まりました。
その旋律に、詩人ジュリア・ウォード・ハウが新たな歌詞を付けたのが「The Battle Hymn of the Republic」です。歌詞は1861年に書かれ、1862年2月に雑誌『アトランティック・マンスリー』で発表されました。北軍側の愛国歌として知られるようになり、日本では「リパブリック讃歌」という名前でも親しまれています。
つまり、ヨドバシカメラの歌は、アメリカの賛歌の旋律に日本語の企業広告向けの歌詞を載せたものです。耳に残る理由は、繰り返しの多い旋律と、駅名や店名を組み込んだ覚えやすい言葉の組み合わせにあります。
【作詞者と誕生の背景】藤沢昭和が書いた歌詞、作曲者は誰?
ヨドバシカメラの歌の作詞者として知られているのは、同社の創業者である藤沢昭和氏です。カラオケ配信のJOYSOUNDでも、楽曲情報には「作詞:藤沢昭和」「作曲:リパブリック讃歌」と登録されています。
ここで注意したいのは、「藤沢昭和氏が作詞した」という情報と、「藤沢氏がメロディーまで作曲した」という話は別だという点です。藤沢氏の役割は歌詞を作ることであり、旋律の土台は既存の賛歌にあります。
また、楽曲データベースで作曲欄に「リパブリック讃歌」と記載されていることは、ヨドバシカメラ版のために新しい旋律を作った人物がいるという意味ではありません。原曲の旋律を使っていることを示す登録と理解するのが適切です。
では、リパブリック讃歌そのものの作曲者は誰なのでしょうか。一般にはウィリアム・ステッフ(William Steffe)の名前が挙げられます。ただし、米国の音楽資料には、彼が完全に新しい旋律を創作したというより、当時伝承されていた歌を採譜・整理した可能性を指摘する説明もあります。旋律の起源は、単純に一人の作曲家だけで説明できるものではありません。
藤沢昭和氏は、1960年に東京・渋谷で写真用品販売業を創業し、ヨドバシカメラを全国的な家電量販店へ成長させた経営者でもあります。2020年7月1日付で同社の社長を退き、代表取締役会長に就任。後任社長には藤沢和則氏が就きました。現在の会社概要でも、昭和氏は会長、和則氏は社長として掲載されています。
なお、ヨドバシカメラの歌が最初に作られた正確な年月や、初期の広告でどのように採用されたのかという詳細な制作年表は、一般に参照できる楽曲情報だけでは整理しきれません。歌の由来を調べる際は、作詞者のクレジット、旋律の歴史、店舗ごとの歌詞展開を分けて捉えることが大切です。
【混同しやすい3曲】「権兵衛さんの赤ちゃん」「ともだち讃歌」との関係
ヨドバシカメラの歌を調べていると、「権兵衛さんの赤ちゃん」や「ともだち讃歌」も同じメロディーだと気づくことがあります。これは偶然ではありません。これらの曲は、同じ旋律の系譜を共有する替え歌・翻案として知られています。
「権兵衛さんの赤ちゃん」は、英語圏の「John Brown's Baby」と結び付けられる子どもの歌です。日本では、赤ちゃんが風邪をひき、手当てをするというユーモラスな歌詞で親しまれています。旋律の系譜をさかのぼると、「John Brown's Body」やリパブリック讃歌とつながります。
「ともだち讃歌」も同じ旋律を使う日本語の歌です。「1人と1人が腕組めば」という歌い出しで知られ、友達同士のつながりを歌います。子どもの遊び歌と、店舗の宣伝ソングでは歌詞も目的も異なりますが、メロディーが共通しているため、聞き比べると同じ曲のように感じられます。
関係を整理するうえで重要なのは、「ヨドバシカメラの歌は権兵衛さんの赤ちゃんを原曲にした」という説明だけでは、旋律の歴史を正確に捉えられないことです。両者は同じ旋律の系譜に属していますが、ヨドバシカメラの楽曲情報では原曲として「リパブリック讃歌」が挙げられています。
また、リパブリック讃歌はイギリス民謡ではなく、アメリカで広まった愛国歌・賛歌です。旋律のルーツには教会音楽や伝承歌があり、そこから行進歌、愛国歌、子どもの歌、企業のCMソングへと用途が広がっていきました。
ひとつの旋律が、時代や地域、歌う人の目的に応じて別の意味を持つ。この変化こそが、ヨドバシカメラの歌を単なるCMソング以上に興味深い存在にしています。
【店舗別・歴代バージョン】歌詞はなぜ違う?2026年の池袋版も解説
ヨドバシカメラの歌の特徴は、店舗や地域によって歌詞が変わることです。J-CASTトレンドが2022年にヨドバシカメラ広報へ取材した記事でも、店内BGMは共通のメロディーを土台にしながら、地域に合わせた歌詞を一部に盛り込んで制作していると紹介されています。
東京では山手線や中央線、新宿西口といった場所が歌詞に登場します。一方、秋葉原ではつくばエクスプレス、名古屋では地下鉄の名城線や東山線、栄・矢場町といった地名が使われてきました。京都版では京都駅前の楽しさや、親切・丁寧な接客を打ち出す歌詞が知られています。
店舗ごとに違うのは、単に地名を入れ替えるためだけではありません。交通アクセス、周辺地域の特徴、店舗が訴求したい魅力を歌詞に盛り込むことで、共通の旋律を使いながら地域ごとの個性を伝えられます。
2026年の新しい例が、マルチメディア池袋のテーマソングです。ITmedia NEWSやASCII.jpの2026年6月の報道によると、ヨドバシカメラは6月23日に池袋店のオープン告知動画を公開し、新しいテーマソングを披露しました。従来の東京版で知られる「新宿西口駅前と」に続く部分に、「みんなが集まる池袋」というフレーズを採用しています。
池袋版は、地域名を単純に「〇〇のヨドバシカメラ」と当てはめるだけではない、店舗独自の表現が特徴です。2026年6月30日に開業したマルチメディア池袋の登場によって、ヨドバシカメラの歌が新店舗の認知を高める役割も担っていることが分かります。
| 曲・バージョン | 特徴 | 原曲・歌詞との関係 |
|---|---|---|
| リパブリック讃歌 | 19世紀アメリカの愛国歌・賛歌 | ヨドバシカメラの歌が使う旋律の基盤 |
| 権兵衛さんの赤ちゃん | 赤ちゃんの風邪を題材にした子どもの歌 | 同じ旋律の系譜に属する替え歌 |
| ともだち讃歌 | 友達同士のつながりを歌う日本語の歌 | 同じ旋律を使った別の歌詞 |
| 新宿西口版 | 山手線・中央線・新宿西口が登場 | ヨドバシカメラの代表的な歌詞バージョン |
| 秋葉原版・名古屋版など | つくばエクスプレス、地下鉄路線、地域名などを反映 | 共通のメロディーを地域向けにアレンジ |
| マルチメディア池袋版(2026年) | 「みんなが集まる池袋」という表現を採用 | 既存の旋律を生かした新店舗向けバージョン |
このように歴代バージョンを追うと、ヨドバシカメラの歌は、年代ごとにメロディーを全面刷新するタイプというより、店舗の出店や地域の変化に合わせて歌詞を増やしてきた楽曲だと分かります。
なお、2024年11月時点の情報では24店舗とされていましたが、2026年のヨドバシカメラ公式サイトには25店舗が掲載されています。店舗網が変化すれば、歌で扱う地域や新しいバージョンにも変化が生まれる余地があります。
【CM NETWORKとは】歌手名義と歴代CM・アレンジの変化
「ヨドバシカメラの歌の歌手は誰なのか」という疑問に対して、JOYSOUNDの楽曲情報に掲載されている歌手名義は「CM NETWORK」です。歌詞検索サイトのUtaTenでも、同じ名義と藤沢昭和氏の作詞クレジットが確認できます。
ただし、CM NETWORKという表記だけで、特定の個人歌手や固定メンバーのグループを断定することはできません。楽曲データベースにおける歌手名義と、実際のレコーディングに参加した個々の歌手・演奏者の情報は別です。歌唱者の個人名や編成を知りたい場合は、クレジットの掲載範囲を区別して見る必要があります。
歴代CMの変化についても、押さえておきたいポイントがあります。ヨドバシカメラの歌は、店舗の場所や売り場の特徴に合わせて歌詞を変えられるため、同じ旋律を維持しながら新しい店舗のテーマソングを作りやすい構造になっています。
たとえば、家電やパソコンなど幅広い商品を扱うことを伝える歌詞と、駅前立地や交通の利便性を伝える歌詞では、訴求する内容が異なります。それでも、基本のメロディーが同じなら、聞いた人はすぐにヨドバシカメラの曲だと認識できます。
2026年の池袋版も、この仕組みを受け継いだ例です。店舗オープン告知動画で新しい歌詞を披露することで、新店舗の名称や地域のイメージを音楽と一緒に印象付けています。店舗別の歌詞が、単なる遊び心ではなく、地域密着型の広告表現として機能しているわけです。
また、ヨドバシカメラの公式YouTubeチャンネルや各種の楽曲配信情報を確認すれば、地域版やCM向けの映像を通じて違いを聞き比べられます。過去のバージョンを比較するときは、曲名だけでなく、どの店舗向けに制作されたものか、どの時期の映像かも合わせて見ると理解しやすくなります。
【プロの結論】原曲の真相と、現在のアレンジを見分けるポイント
ヨドバシカメラの歌の原曲を調べる際に、まず区別したいのは「旋律の由来」「日本語の歌詞の作者」「歌唱名義」「店舗ごとのアレンジ」の4つです。これらを一つの情報として混同すると、「作詞者が作曲者でもある」「権兵衛さんの赤ちゃんが唯一の原曲」「店舗ごとに別の曲が作られている」といった誤解につながります。
原曲を知りたいなら、最初に「リパブリック讃歌」または英語名の「The Battle Hymn of the Republic」を確認するのが近道です。旋律の歴史まで掘り下げる場合は、米国議会図書館の解説にある「John Brown's Body」や「Say, Brothers, Will You Meet Us?」とのつながりをたどると、より広い音楽史が見えてきます。
一方、歌詞の作者を調べる場合は、JOYSOUNDなどの楽曲情報で藤沢昭和氏の作詞クレジットを確認するのが分かりやすい方法です。歌手名義についてはCM NETWORKと記載されているものの、その表記だけから個人名まで特定することはできません。
店舗別バージョンを比べたい人は、新宿西口版、秋葉原版、名古屋版、京都版、そして2026年の池袋版を聞き比べると違いが分かりやすくなります。注目するのは、メロディーが変わったかどうかだけではなく、地名や交通路線、店舗の特徴がどのように歌詞へ組み込まれているかです。
こうした比較から見えてくるのは、ヨドバシカメラの歌の強みが、誰もが知る旋律を使いながら、店舗ごとに違う情報を届けられる点にあるということです。全国共通のブランドイメージと地域ごとの個性を、短い歌の中で両立させています。
【ヨドバシカメラ cm 原曲】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:ヨドバシカメラのCMソングの原曲は何ですか?
A1:アメリカの愛国歌・賛歌「リパブリック讃歌(The Battle Hymn of the Republic)」として知られる旋律です。ヨドバシカメラ版は、そのメロディーに店舗向けの日本語歌詞を付けた替え歌です。
Q2:ヨドバシカメラの歌の作詞者・作曲者は誰ですか?
A2:作詞者はヨドバシカメラ創業者の藤沢昭和氏です。楽曲情報では作曲欄に「リパブリック讃歌」と登録されており、ヨドバシカメラ版の旋律は既存の賛歌に由来します。
Q3:「権兵衛さんの赤ちゃん」と「ともだち讃歌」も同じ曲ですか?
A3:同じ旋律の系譜を共有しています。いずれも歌詞や用途は異なりますが、リパブリック讃歌や「John Brown's Body」につながるメロディーが使われています。
Q4:ヨドバシカメラの歌は店舗ごとに歌詞が違うのですか?
A4:はい。新宿西口版、秋葉原版、名古屋版、京都版など、地域の駅名や交通路線、店舗の特徴に合わせた歌詞が使われています。2026年にはマルチメディア池袋版も登場しました。
Q5:ヨドバシカメラの歌を歌っているのは誰ですか?
A5:JOYSOUNDなどの楽曲情報では「CM NETWORK」という名義で登録されています。ただし、この表記だけでは実際の歌唱者個人やレコーディング参加者の詳細までは特定できません。
まとめ:ヨドバシカメラCMの原曲は変わらず、歌詞は地域とともに進化
ヨドバシカメラのCMソング「ヨドバシカメラの歌」は、アメリカの「リパブリック讃歌」をルーツとする旋律に、藤沢昭和氏が作詞した日本語の歌詞を組み合わせた楽曲です。「権兵衛さんの赤ちゃん」や「ともだち讃歌」とも旋律の系譜を共有していますが、それぞれ歌詞と用途は異なります。
歌手名義はCM NETWORKとして登録され、店舗別バージョンでは山手線や中央線、つくばエクスプレス、名古屋の地下鉄路線など、地域に根差した情報が歌詞に盛り込まれてきました。2026年の池袋版も、同じメロディーを新しい店舗の宣伝に生かした例です。
原曲の歴史を知ると、耳なじみのあるCMソングが、19世紀のアメリカの教会音楽や愛国歌から、日本の子どもの歌、そして現代の店舗広告へとつながっていることが分かります。次にヨドバシカメラの歌を耳にしたときは、メロディーだけでなく、その地域ならではの歌詞にも注目してみてください。